悪役令嬢の集大成
戻った。
いつもの場所、いつもの場面。
「マチルダ様は、(以下略)」
いつものセリフなので略されてもしょうがない。
時間の巻き戻りも5回目、6回目の転生人生である。
前回は、普通にハッピーエンドになりそうな展開だった。あのまま最終回でも問題なかったはずだ。なのに国が滅びた。なぜか。
隣国ワルモーンが魔導ミサイルを飛ばしたからだ。
実は、この国がすべての元凶だったのである。
前回、私の前世での知識通り、魔王軍が攻めてくるのだが、うちにはレベル99の聖女マチルダがいたため、結界と光の魔法で反撃し、魔王軍は手も足も出なかった。
降伏した魔王に対して、なぜ攻めてきたのかを問うと、人間への復讐のためだという。
「復讐??」
「そうだ、おまえたちが我が国にゴミを捨てるから…! ダンジョン内の空気が汚染され、次々と仲間が病に倒れた。『ここはゴミ捨て場ではありません』と看板を立てても、直接注意しても、何の効果もなかった! いくら大穴が開いてて捨てやすいからって、あんまりではないか…!」
魔王の城は奥深い大穴の中にあったらしい。
「我が国の人間はそんなことしない。ちゃんと焼却場があるし…」
王子がそういうと、その場にいた国民もいっせいにうんうんと頷く。
「だってそいつらが自分で名乗ったんだ! 自分たちはアッシラ国の人間だと! 文句があるならアッシラ国に言えと!」
私のいる国、アッシラって名前だったのか。
いやそれは置いといて、誰だうちの国民を騙って悪さをしたやつは!
ってことで犯人捜しをしたら、普通にまた魔王城にゴミを捨てにきた人間がいたので、とっつかまえて吐かせ、ワルモーン国の人間とわかったのである。
ワルモーン国はとても悪い国だった。
小国だけど他の国に見下されないようにと、兵器の開発ばっかりやっていた。
その開発で危険な廃棄物がたくさん出るのだが、自国の土壌を汚すのが嫌で、魔族の敷地まで運んでいたのだ。そして自分の悪事をごまかすために、アッシラ国民を名乗っていたのだ。
話を聞いたら魔族も被害者だし、我が国には被害がなかったしで魔族と友好を結び、
「力を合わせてワルモーン国をこらしめよう」
ということになった。
しかし自分の悪事がばれたワルモーンは、
「ええい、もはやこれまで! 制裁を受けるくらいなら国ごと滅ぼしてやるわ!」
と最大級の魔導ミサイルを飛ばしたのである。
向かってくるミサイルを感知した聖女は、迷った。
結界を張れば我が国は守れる、しかしそうすると、結界で跳ね返ったミサイルによって、魔族や近隣の国が被害を受けるかもしれない。
そのことを心配したため、国ごと上空に空間移動させた。天空の城状態で。
そして着弾した場所を浄化して、元の土地を移動させれば、影響なく元に戻せると思ったのである。
ところが聖女はレベルが高かった。ミサイルの軌道のちょっと上に土地を運ぶつもりだったのに、うっかり大気圏外に移動させてしまった。
そのせいで移動した全国民が(聖女も)全滅してしまったのである。
バカか。バカなのか。
「ワルモーン以外の場所を結界で守ったほうが安全確実だったのでは」と思うのだが、聖女もとっさのことで判断ができなかったのかもしれない。
とりあえず、やりなおせるので、このことをふまえて対策を立てた。
まずは今、目の前にいるジェーン侯爵令嬢の絵を見せてもらう。
そしてBL絵本の制作をして腐教に努める。
同時に筋肉も鍛える。筋肉の良さを全国民に伝える。
同時に聖女にも厳しくあたって、レベルを上げてもらう。
そして魔王にワイロ(コロッケパン)を渡し、友好を結ぶ。
メタボにならないよう定期的に検診も受けさせる。
ここまでをスピードアップして行い、ある程度の功績を残したら、卒業までの時間、クラウディアはワルモーン国に留学した。
BLと筋肉を広めるためである。
「BLと筋肉が好きな人に悪い人はいない」法則である。
思った通り、ワルモーン国民はみるみるBLと筋肉に夢中になった。
同好の士として交流も増え、同盟を結ぶこともできた。
これで世界平和は守れた! 国が滅ぶことはない!
と思ったけど滅んだ。
「平和すぎてつまんないにゃ~~」という猫のつぶやきに、神が応えたせいである。
やっとれんわ。




