第88話 神の力
「この者に力を貸すのは無理だ!」
……へ?
「な、何故じゃ?」
俺なんか無礼な事をしてしまったのか……?
「葛葉、儂が長らく神と戦っているのは知っておるな?」
「……うむ、そうじゃな」
……初耳なんだが
「神と対立関係にある儂が神に力を貸す事は出来ん!たとえ葛葉からの頼みであってもな。」
この世界での神とミリシア様達は全くの別物。それこそこの前倒した禍津日喰神などがこの世界の神だ。
「むー、そこら辺の事情が少し複雑でのぅ……取り敢えず今の連は神ではないんじゃよ。」
「……本当か?纏う"力"が神のそれであるが」
確か、白虎にも同じような事を言われた。この世界の「神の力」は天使の記憶を取り戻した際に消失したはずだ。
天使の力がこの世界の神の力と似ているのかとも思ったが、ナハシュリエルを直接見た葛葉によるとそう言うわけでもないようだし……。
「確かに俺は元神だが、今は違う」
俺の目を真っ直ぐ大龍は見てきている。
「それを誠と信じられる証がない」
ここまで来てこんな理由で帰る訳には行かない。利用できる物は何でも使わなくては……。
「……証になるかは分からないが、」
俺は腰に下げてある宝刀を差し出す。
「これは……白虎の奴の」
「これは鳳凰が白滅ノ砦まで取りに行ったんだ」
鳳凰の事を話せば信頼してくれるだろうか?
「鳳凰か……。あいつは元気か?」
「……死んだ」
「!?……そうか。」
大龍は少し驚いてから静かにそう言う。
「禍津日喰神は俺と鳳凰でしっかり倒した」
「そうか……鳳凰は無事やり遂げたのか」
「……良いだろう。信じよう。」
「本当か!?」
これで大龍からの協力も得られる!
「ただし、」
「?」
「先程も言ったように儂は神と対立関係にある。なんならさっきまで戦っていたからな……。」
その割には元気というか……。
「そこでだ、神の中でも上位に位置する禍津日喰神を倒したお前に儂を手伝って貰いたいのだが……良いか?」
協力が得られるのなら文句は言っていられない。
「勿論だ!」
「それで、肝心の戦って貰う神なんだが……不死霊山に建っている建物について鳳凰から聞いているか?」
俺が寝泊まりしたあそこか……
「確か、神が建てたんだったか?」
「ああ、今回戦うのはそいつだ」




