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第86話 起 神卓会議(ナハシュリエル目線)

今回は"消失"を司る智天使・ナハシュリエルが死ぬまでの話です。現時点では「起・承・転・結」の四つで分けて投稿するつもりです。



「ナハシュリエル、今日の予定は何かしら?」


「はい、アルフィナ様。本日の予定は神卓会議とお茶会でございます」



アルフィナ様は赤いドレスに身を包み、派手な扇子を扇いでいる。


気品と優雅を司る女神であるアルフィナ様の従者である私はアルフィナ様の1日の予定、好き嫌い、友人関系……その全てを把握している。



「お茶会のお菓子を用意しなきゃですわ!」


「承知しました。焼き菓子をいくつか用意して参ります。」


「ええ、お願いするわね」



今日の一大イベントは神卓会議。今回は確か、森の神・アルボル様が神卓会議を開くよう申し出たため急遽執り行われることになった。



神卓にて。ドーム状の会場に並べられた席に様々な神が座っている。



「この頃の人間共はどの世界でも森や木を破壊している。その愚行は到底見過ごせない」



森の神・アルボル様はそう訴える。近年どの世界でも森林破壊や焼却などにより森が減ってきており、森の神の力が弱まってきている。



「ならば、人間共を全て燃やして無に返そうぞ!」



そう言っているのは炎の神・アグニル様。



「おい、アグニル!お前が人間共に与えた炎も今回の原因の一つだぞ!」


「ふん、知るか。俺がしたのは炎を"与える"ことのみ。それ以上はなにもしておらん。」


「おのれ、今ここで叩きのめしてやろうか?」



アルボル様はアグニル様を睨みながらそう言う。一触即発のその瞬間、ある神が止めにはいる。



「やめんか、見苦しいぞ?」



審判の神・ヴェリタス様、この神卓会議の最高責任者。



「チッ、」


「……すみません」



アルフィナ様は退屈そうに扇子を扇いでいる。アルボル様はまともな解決策を自分で出すわけでもないのに既に何回も同じ内容で神卓会議の開催してきている。退屈なのは致し方ないことではある。



ガチャッ



扉が開く音が響き、その場にいる全員が音の方向に注目する。入ってきたのは慈愛の女神・ミリシア様とその従者、レベリオだ。



「すみません、遅刻してしまいました」


「いや、よい。早く席に着け」



ミリシア様はアルフィナ様の友であり、その従者レベリオと私は昔からの従者仲間である。



「あら、やっと来たのね」



ミリシア様は慈愛の神であるのと同時に優れた知能を有している。そのため神卓会議で出た問題を一人で解決する。ミリシア様が来ればこの退屈な会議もすぐに終わるだろう。



「それで、今回は一体どういった議題なのてしょうか?」



席に着いたミリシア様はヴェリタス様に問う。



「人間達による森林破壊についてだ。」



ヴェリタス様がそう言うとミリシア様は考える素振りをする。



「相応な罰が必要だと私は考える!」



森の神はミリシア様にそう言葉を投げ掛ける。だが、ミリシア様は冷静に答える。



「……お言葉ですがアルボル様。単に罰を与えるだけでは真なる意味での解決には繋がりません」


「……というと?」


「今いる者に罰を与えれば確かに今の世代の人間達は森林破壊をやめるでしょう。ですが、実際に罰を受けたわけではない次に生まれてくる人間達はどうでしょうか?同じことが繰り返されてしまいます。」


「……では、どうすれば良いというのだ?」


「簡単な事です。ただ罰を与えるだけではなく、褒美を与えれば良いのです。」


「……褒美?」


「……そうですね、例えば森を守る者達に少しアルボル様の力を与えるのはどうでしょうか?」


「力だと!?人間ごときに私の力を与えろというのか?ふざけるな!」



アルボル様に怒鳴られてもミリシア様は顔色一つ変えずに淡々と述べる。



「ええ、森を人間達が守れば破壊されることもなくなり、アルボル様への信仰心も高まる。アルボル様の力はより強大になるのではないでしょうか?そう考えると人間に少し力を与える程度大した損にはならないと思うのですが……いかがでしょうか?」



アルボル様は頷きながらミリシアを見て言う。



「ほうほう、そういうことであったか!さすれば一石二鳥であるな。採用!」



ヴェリタス様がガベルを叩く。






「これにて今回の神卓会議は終了である。解散!」



アルフィナ様は「やっと終わった」とでも言いたげな表情を浮かばせながら席を立ち、神卓を出る。


次はお茶会ですか……

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