第135話 天狐
「なんじゃ、そんなに小さくなって……」
振り返って見てみると先ほどよりも遥かに小さな目玉がギョロギョロとこちらを見たり空を見たりとしていた。
とても話が通じそうではないのぅ。
「邪魔じゃ」
葛葉は自らの手で目の前の目玉を握り潰す。
これで終わりとは思えんのじゃが……これ以上出てきそうにも無い。腹の穴をさっさと塞いで連と烏の元へ急ごうかのぅ。
「ふふっ!」
「む?」
更に後ろからケルビムの声が聞こえる。少し油断していた葛葉はまたもケルビムの一撃を避けきれず……。
「ぐっ……全く何体おるんじゃ目ん玉。」
「ふふっ!何体だろうね!」
気配的に周りには目の前のを含め5体。……上空にも一体おるのぅ。この手の敵は面倒臭いが、力業に案外弱い。大技を決めてここら一体ごと消し飛ばす……でも、国を消しては元も子も無いのぅ。
「困ったのぅ」
「どうしたんだい?もうお手上げかな?」
「ぐぬぬ、今考えておるところじゃよ!少し黙っとれ!」
「ぼ、僕一応殺す気でやってるんだけどなぁ……」
この際封印の類いでも良いが、それでは負けた気がするのぅ。まぁ、上空で爆破するなら地上の国には被害は出んじゃろう。
葛葉は空を急上昇、国に被害が出ない高度まで上がって止まった。
「こんくらいで大丈夫じゃろ」
「なんだい、いきなり上に飛んで……僕からは逃げられないよ!」
はぁー、まじで何なんじゃこいつ……さっきから煽ることしかできんのか?本気でぶっ飛ばしたくなってきた。
「禁術・天狐」
「……え?ちょっ、待っ…!」
一掴み、巨大なきつね色の腕……というかきつねの腕が何も無い場所から現れてケルビムを鷲掴みする。
他の場所で潜伏していた他のケルビムもそれぞれ突如目の前から現れた尻尾や腕に掴まれる。
「うっ……こ、これは」
「良いぞ、捻り潰せ。」
「あ、」
グチュッ
周辺にいたケルビムは全て跡形も無く潰された。
これで本当に終わりじゃよな?流石にもう出てこんで良いからな。
少し待ってみても新たにケルビムがやって来る様子も、紫色の光線が飛んでくる様子も無かった。
「っ、!流石に痛いのぅ……ここまでの傷を負ったのいつぶりじゃろうな……」
「……行くか」




