第136話 刃物耐性
主人公視点に戻ります
葛葉がケルビムと行ってから少し経ち、連と烏月はエリュシエルの気配をしっかりと知覚できる距離まで近付いた。
「もう俺達二人だけか……」
「ですね……」
牙王は死んだ……。大龍は報告がまだ無いが、今のところは無事なはず。葛葉は大丈夫……?なはず。
「恐らく気付かれてるだろうな」
「敵は3体。こちらが仕掛けるのを待っている?という感じですね。」
恐らく3体の内、2体は下位階の天使。さほど驚異にはならないが、いると邪魔だな。
「二体は烏月に頼めるか?」
「はい、お任せを!必ずや敵の首を主様の元へ」
いや、首なんて持って来なくても……ここまで貰って困る物無いだろ。
「死ぬなよ、」
「はい」
「……行くぞ!」
今出せる最高の速度でエリュシエルらがいる国の中央広場へと翔ぶ。相手にバレているから奇襲とも言えないが、少しでも相手の意表を突ければ良い。
粘土や焼いた土で作った家々の間を抜けて行き、開けた場所に出て、その姿を確認する。
「聖光・連弾」
中心に金色で長髪の男天使。腰には大剣を携えている。左側には腹が異様に大きな肉の塊の様な天使、右側にはとても細く、木の枝の様に放射線状に伸びている身体をしている天使。
放った聖光は肉塊天使に防がれてしまったので、宝刀を抜く。
「左右のは頼んだぞ!」
「はっ!」
距離は数m、このままの速度で行けば一秒も経たずに接触、斬れる。
「遅い」
「なっ!」
気付いた時には目の前にエリュシエルはおらず、後ろから強烈な殺気。咄嗟に宝刀を後ろに回してエリュシエルの攻撃を受けるが、当然受けきれずに吹き飛ばされてしまう。
「弱い」
「抹消弾」
「無駄だ」
抹消弾は全て避けられ、まだ俺が体勢を立て直せていないのにも関わらず、エリュシエルの大剣が目の前に。思わず目を瞑る。
ぐはっ?
確かに斬られたが、そこまで痛くない。斬られたというより鈍器で叩かれた様な……。
「何!?我が剣で…斬れない、だと!?」
恐る恐る自分の胸元を見てみると大剣を押し付けられて破れている服と俺の肌。
「え?」
「は?」
「……」
「……」
いや?なんで?大剣だよ?もっとぐはぁぁ!ってなるだろ……もしやどれかのスキルが発動した?というかそれしか考えられない。
「刃物耐性か!」
自分で口に出してから「何言ってんだ?」と自分でも思うが、これしかないのは事実だ。刃物耐性ってそんなすごいのか。
だとしても宝刀で自分の腕が斬れたのは疑問だが……。




