第134話 雷鼬
「どうしたんじゃ?手も足も出ないようじゃな。……全く、舐めておるのはお主の方じゃったな目ん玉。」
「目ん玉って言うな!」
「食らえ!」
「む?」
何故後ろからこやつの声が?まさか……分身!?
だとしたら厄介、燐火結界は外からの衝撃にはさほど強くない。……破られる。
バリンッ
「ふっ!やはり、やっぱり舐めていたのは君の方だったようだね!僕も本領を発揮しよう!」
目玉の前に紫色の光が集束し始める。
「金行術・鉄壁」
鉄の塊を自分の前に出して防御を試みるが、紫色の光線が貫通して葛葉の元へ飛び込んでくる。
プスッ
「あ、危ないのぅ」
間一髪で避けれたが……あのまま当たっていたら今頃胸にぽっかりと穴が開いておったわ。
「今ので死んでくれたら良かったのに……」
「ふん!そう簡単にわらわを殺せるとは思わん事じゃな。」
「まぁいいさ、どうせ君じゃ僕の攻撃は防げないから……君も穴だらけにしてあげる!」
「抜かせ!雷行術・雷鼬」
「おっと!」
この技は相手に当たるまで追尾する、狐火の雷版じゃ。そして、恐らくあの目ん玉、防御系統に著しく弱い。
連に事前に聞かされておった話じゃと分身体が何体かおり、幻術や空間転移も可能……さらには高威力の光線まで撃てるときた。
何か特出した能力や技があるわけでは無いが、それぞれの精度やら威力が凄まじいらしい。確かにあの連が穴だらけで片腕失って来る程の相手。わらわに勝てるかどうかは正直怪しいようじゃな。
「分身体はどうしたんじゃ?」
雷鼬から逃げているケルビムに煽るように話しかける。
「レベリオに殆ど殺られちゃって地上にいるのは僕と何体かだけだよ。全くレベリオがあそこまで暴れるとは思って無かったよ。」
「ふ!わらわ達の主君は暴君じゃからのぅ!目ん玉如きで抑えれる程良い子じゃないんじゃよ!」
ケルビムの顔……というか目ん玉?が少し赤くなる。
「だーかーら!目ん玉って言うな!!!」
ケルビムがうっかり逃げるのを止めて葛葉にキレた瞬間、雷鼬が激突。ケルビムは粉々に吹き飛ぶ。
「なんじゃ、案外弱いんじゃな……。」
プスッ
「………む?」
自分の腹を見ると穴が空いているのが分かる。そこまで大きい穴ではない。太さは子供の腕程。
まぁまぁ痛いのぅ……
「なんじゃ、そんなに小さくなって……」
振り返って見てみると先ほどよりも遥かに小さな目玉がギョロギョロとこちらを見たり空を見たりとしていた。
とても話が通じそうではないのぅ。




