第132話 消滅
「天使共が撤退していくのぅ……わらわらの勝利ということでよいのじゃろうか?」
角笛が聞こえたかと思ったら天界守護団が撤退して行った。
「いや、まだ総大将の気配はする。多分天界守護団だけ先に撤退したんだと思う。」
「ならこのまま向かうという事で大丈夫ですね」
(……主様、ご報告です。)
急に夜蔵の声が心伝で頭に響き渡る。
(ん?どうした?天界守護団ならもう撤退して行ったから大丈夫だぞ?)
(いえ、その、言い難いのですが……)
夜蔵の声のトーンからただ事では無い事を悟る。
(良い、言ってくれ)
(……はい、牙王様が…消滅……つまりは…死にました。)
「は?」
あまりに想定を越える事だったので遂、心伝ではなく口に出して驚いてしまう。
驚く…というか信じられない。というか嘘だろ?こんな状況で夜蔵が冗談や嘘を言うわけが無いとは分かっている。
だけど……やっぱり信じられない。
(報告ありがとう……引き続き戦況の確認を…ああ、天界守護団はもう居ないのか……怪我人の手当てをしておいてくれ。)
(承知しました)
通信が切れた瞬間どっと身体が重くなった様に感じる。
「……何があったんじゃ?」
「……。」
「…牙王が……死んだらしい。」
「は?」
皆そう反応するだろう。だって牙王が死ぬなんてあり得ないというか……信じ難い。
「が、牙王が……じゃと?それは……誠か…誠であるか……そうか、あやつは…死んだのか……。」
「すまない、俺が巻き込んだから……」
「よい、いや、よくは無いんじゃが……あやつもわらわ等も死ぬ覚悟でお主についた。」
牙王を殺ったのはエクエスか……確かに牙王に引けを取らない強さと技術を持っている。だが、牙王が死んだ?あいつが?
あいつがただで死ぬとは思えない。エクエスに何か痛手を与えたか相討ちか……だから天界守護団は撤退したんだ。そうだ。そうに決まっている。そうじゃないと割に合わない。
心の何処かで大丈夫だと思っていた。これはそれこそ生死をかけた戦いだというのに……どちらかは負け、死ぬ。
能天気で、子供の様に無邪気で、何処か偉そうで……俺がこの世界で初めて出会った友。いや、友なんて物でもない。
俺とあいつはもっと何かこう……やめよう。言葉で表す必要は無い。
「敵襲です!」
烏月の言葉で我に返り、飛んできた紫色の光線を避ける。
「お仲間が殺られて傷心中な所悪いけど、今度こそ死んで貰うよ、レベリオ!」




