第122話 左手
「あちらを、」
指差された国の方を見ると国の上を飛び回る天使が見えた。
「ま、まさかもう制圧されて……」
「いえ、恐らくこの森に皆潜伏しているはずです。元森の者である我々妖からしたら人間の産物である国は少し分が悪いですからね。」
「そ、そうか」
確かに国や建物は俺が言い出した事で、こいつら妖からしたら最近取り入れたばかりの場所や知識。天使と戦うなら自分達が慣れている森での戦いの方が有利に戦えるということか。
俺の配慮が少し足りてなかったということか……。
「では、皆さんと合流しましょう。恐らく森の中心に居ると思うのでそちらに、」
夜蔵に着いて行こうとして、後ろに気配を感じる。恐らく大して強い敵ではない、階級は天使だろうか?
あえて振り返らずに右手を気配をする方向に向けて、
「聖光・狙貫」
当たったかどうかは分からないが、気配は消えた。恐らく撃墜できただろう。特に夜蔵達も気付いていないようだし言わなくてもいいな。
「主殿、行きますよ」
「ああ、」
夜蔵に着いて行くと程なくして皆と合流できた。今のところはまだ誰も殺られていないようで、作戦を練っていたらしい。
「奴ラガ此処二来ルノモ時間ノ問題ダ。」
「そうじゃのぅ、もう全員で突撃するしかないのぅ。」
「儂が先陣を切ろう!」
「私は主様のお側に」
なんか勝手に話が進んで行ってる……まだ誰も殺られていないのは良かった。只でさえあちらの方が多いのだから、一人の犠牲も後々影響してくる。
「それにしても連よ、すごい穴の空き具合じゃな。」
「ああ、そうなんだ。治してくれないか?」
強がらずに本当の事を言うと今にも倒れそうだ。意識は割とはっきりしているが、身体はもう限界に近い。
「む?わらわはその系統の術は殆ど使えんぞ?」
「え?」
「それこそ連、お主の方が得意じゃろ。」
……あ、"花々の祝福"を使えばいいのか。なんで今まで思い付かなかったんだよ。
少し力も回復してきていたので"花々の祝福"を発動させる。
「はぁー、治った治った!」
身体中の穴が塞がり、力も殆ど回復した。だが、
「ん?なんで左手が戻って無いんだ?」
左手の事を葛葉に聞こうとして視線を上げて俺はまたもや驚く。
「ぜ、全員オーラがえげつない……」
全員の身体をとても濃いオーラが覆っていた。




