第120話 誇り
(了解しました。皆にそう伝えておきます。)
ここからどうするか……、
(よろしければなのですが主殿。私が主殿をお迎えに上がりましょうか?)
(……え?俺がいる場所分かるのか?)
(はい、大体把握できております。どうしますか?主殿。)
俺でさえ何処か分からないのに……。ここは頼るしかないな。
(頼む!今頼れるのはお前しかいないんだ!)
(承知、空でお待ちください。すぐにお迎えに上がるので。)
それから俺が空で少し待っていると夜蔵が付き添いの飛倉二人と迎えに来てくれた。
「本当に助かった、ありがとう!でも……何で俺のいる場所が分かったんだ?」
「……男の勘ですかね。羅童殿に教えて頂いた帰巣本能というやつかもしれません。」
男の勘!?女の勘じゃなくて?しかも羅童さんも何で帰巣本能を教えてんの!?
……なんというか、妖と話してると安心するというか…さっきまで死闘を繰り広げていたのが嘘のようだ。
「というか、主殿」
「ん?」
「それ、大丈夫ですか?」
左腕を指刺され、何の事だと思って左腕を動かそうとして思い出す。
「ああ、左腕なら切り落とした。この通り、戦闘中に穴開けられまくってな……もう機能しなくなってて邪魔だったから。」
「そ、そうですか……国に帰ったら葛葉殿に治療して頂きましょう。」
国……あっ!
「敵との戦闘はもう始まっているか?急いで戻らないとやばい!」
「戦闘についてはご安心ください。私含め、既に全員葛葉殿に叩き起こされております。」
「そ、そうか。ならまぁ、大丈夫だな。」
ブッフォーネが来ていた時は起きなかったが……酒に入れられていた睡眠効果が効れたみたいだな。あいつらなら智天使相手でも多少は戦えるはず。
「そう言えば、ここから国までどのくらいかかるんだ?」
連絡してから合流までかかったのは数分程度だし、案外近いのか?
「徒歩だと3日かかりますが、ご安心ください。我々と主殿の速度ならものの数分で着きます。」
そ、そんなに離れてるのか……。3日の距離を数分って……俺が全速力で行ってそんくらいだ。こいつらはそれを平気で成し遂げている。
「妖ってすごいんだな……」
口から漏れた俺の言葉に夜蔵がにこりと微笑む。
「ええ、それなりに皆、妖という自分達の種族に誇りを持っていますよ。少なくともこの世界では我々は強い部類ですから。自信家が多いんですよ。」




