第117話 輪っか
右手に握っていた宝刀で自分の左腕を斬り落とす。
左腕がぶら下がっていて鬱陶しかったので斬ってしまった。こちらの方が無駄なく戦えるだろう。
「おい、ケルビム……」
「ん?」
今作れる最大限の笑顔をケルビムに向ける。
「最後まで付き合えよ!」
「端から君を殺すまで帰らないつもりだよ!」
少し足をふらつかせながらケルビムに向かって走る。少し近付いた所で宝刀を振り、斬撃を放つ。
斬撃は木もろともケルビムをなぎ倒して行き、俺の視界から木が消えた時にはケルビムは数えられる程しか残っていなかった。
「最初からこうすれば良かったな……」
そう一人呟いていると、残りのケルビム達が集合し始める。
「一体何のつも……り、?」
ケルビムのその姿に出かけた言葉が喉へ戻っていく。ケルビムの特徴である目玉の姿をした身体が巨大になっている。
その姿は元のケルビムと大した差がないと言われればそうかもしれないが、やはり明らかに大きくなっている。
そして、どこから出てきたのかは分からないが謎の輪っかがケルビムの体の周りを回っている。
「……一体どこからそんな力が湧いて出たのかは知らないしどうでもいいけど、君はやっぱり危険だ。仲間を殺したり神に反逆するような奴を生かしておく訳にはいかない。」
真剣な顔でそんな事を言われても……、大体俺もはめられただけだというのに、やはりケルビムはブッフォーネやナハシュリエルのように真相を知っている訳ではないようだ。
智天使総括のケルビムが知らないなら殆どの天使は知らされていないのだろうが……。
改めて宝刀を強く握り、構える。
"白虎、聞こえるか?"
合体したケルビムの方向へ走りながら宝刀へ心の中で語りかける。
"力を貸してくれないか?"
白虎が反応したかの様に宝刀の白い気が濃くなる。
「ふっ、派手に頼むぞ!」
ケルビムから第一の光線が放たれる。大きさが今までの光線の2倍程あるが、まだ対応圏内だ。
光線をスレスレで避けきり、跳躍して宝刀を振り上げる。
バチッ
振り下ろすタイミングで宝刀から静電気のような音が聞こえ、宝刀が黄色く光る。
宝刀がケルビムの身体に接触した瞬間、刃が入るよりも速く雷が落ちる。
ケルビムは大龍や牙王より強いです。




