第115話 紛い物
""己が為に力を欲せよ""
ち、か…ら……。
何度助けられても、幾ら強くなっても、負けて…負けて負けて……何かが足りないのか?
……何かが?…何が足りない?
俺は……何を欲している?
俺は……何、を……
「もう穴だらけじゃん……皆のためにも、大人しく死んでよ」
その言葉で一気に現実に引き戻され、放たれた攻撃を咄嗟に避ける。
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……少し違和感はあった。
初めに違和感を感じたのは、天使の記憶を取り戻した時。
俺は重りを乗せられた様な感覚がした。技の精度や威力は昔と対して変わっていないのに、なぜかその感覚がずっとした。
次に違和感を感じたのは、神としての能力を取り戻した時。
常に何かに縛られている様な感覚がした。技を使う度に何故か、体力がごっそり持っていかれている気がする。だから、今まで一度も起こしたことの無かったオーバーヒートをここ最近は何度も起こしている。
自分の身体がまるで自分の身体ではないような感覚。確かに、この身体は転生して新たに手に入れた身体だから天使時代の身体とは別物だろう。
だが、俺は原因はもっと根本的な何かな気がする。確証も何も無い、ただの勘だが……。
""己が為に力を欲せよ""
また、頭に俺の声で語る誰かの言葉が響き渡る。
誰だ?お前は誰なんだ?
力って………何なんだ?
""数多の力が混じりたる紛い物よ、真の力を欲せよ""
紛い物か……ふっ、確かにそうかもな。
死んで、また死んで、転生して、また転生して、その繰り返し……永遠に終わる事の無い転生の輪の中で様々な者になり、力を手に入れ、死んで、死んで、死んで死んで死んで…死んで。
今の俺の口調、人格、姿を見たら天使仲間やミリシア様はきっと驚くだろう。俺も自分で驚いている。
うっ、……どこかが痛む。
……今の俺は立てているのだろうか?まだ生きているのだろうか?
敵と戦い、死を感じると、あの場所を思い出す。真っ白で何も無く、一人の少女のみが佇むあの場所を思い出し、考える。
「俺はまた、終わる事なき転生を繰り返すのではないか?」と、そう考えると死ぬのが一層怖くなる。
今の俺は本当に天使レベリオと呼べるのだろうか?
全てが変わってしまい、かつての仲間をもこの手にかけ……俺は結局何がしたかったんだ?




