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異世界に聖女召喚(失敗)されたおじさん 婚約破棄された悪役令嬢と一緒に世界を救う旅に出ます  作者: 世界


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お嬢様は押しが強くて

ネトコン11応募作品、一日一回、17時更新を目指します。

「いや、勝負って…そんな無茶苦茶な」


 アビーのあまりの提案に、天児はそんな言葉を絞り出すのが精一杯という有り様であった。

 

 いくらマリアロイゼが心配だからと言って、そんな物言いは彼女の意向を無視しすぎている。

 大体、何故アビーと戦う必要があるというのか。

 怪物や悪人ならいざ知らず、罪もない人間と殴り合いが出来るほど、天児は荒っぽい性格をしていない。

 しかも相手は貴族のお嬢様だ。決して一般人ならいいというわけではないが、万が一怪我でもさせたら、階級社会であれば間違いなく罪の重さは違うはずだ。

 これはさすがに看過できず、年長者としても本気で窘めなければならないだろう。


「あのですね、そもそも…」


「上等ですわ!受けて立ってやろうじゃありませんか!私のテンジ様の力をみて、吠え面かいても知りませんわよ!」


 天児が怒るよりも先に、マリアロイゼが立ち上がって吠えていた。

 せっかく心を鬼にして発言しようとしたのに、全て台無しである。


「いや、あのー…ロゼさん?」


「フフフ、テンジ様、これはチャンスです!アビーは学園の戦闘実技では私に次ぐ実力者でしたから、彼女を黙らせる程の力を示せればポイントが上がります!」


 何のポイントが上がるのかもわからないし、論点はそこではない。

 第一、戦闘に関しては右に出る者はそういないマリアロイゼに次ぐ実力の持ち主が相手では、天地がひっくり返っても天児に勝ち目など無いではないか。

 しかし、完全に()()()()()()()()マリアロイゼとアビーは、天児の話を聞こうともしていない。

 盛大に肩を落とす天児の背中を、黙ってフィナがさすっていた。


「で、勝負の内容はどうしますの?」


「そうだなぁ…殴り合いじゃアタシが勝つのは目に見えてるしな。よし、殴り合いにすっか!」


「はぁ!?いや待ってください。そりゃおかしいでしょう、色々と!」


 全く意味の解らない結論の出し方に、天児はさすがに声を荒げて猛抗議する。

 だが、アビーはそんな天児には目もくれず、マリアロイゼを挑発するように笑ってみせた。


「あらあら…自分の得意分野で勝ちを拾いに行こうだなんて、ずいぶんと御都合の宜しいことで…アビーも臆病になったものですわね」


 それを受けたマリアロイゼも、返す刀で蔑むように笑い、挑発し返す。

 仲が良いのか悪いのかよく解らないが、どうやら二人が似た者同士なのは間違いなさそうだ。


「アビーちゃんとロゼって、普段は仲がいいんだけど、すぐ喧嘩するんだよね。昔はしょっちゅう殴り合いしてたもん、次の日には仲直りするんだけどね」


 睨み合う二人を余所に、背中をさすってくれているフィナが呟く。

 なるほど、二人は親友であり、ライバルだと言う事か。どうやら異世界でも喧嘩するほど仲が良いということわざは当てはまるらしい。

 できれば知りたくなかった雑学に天児は頭を抱えるしかなかった。


 一方、アビーとマリアロイゼは睨み合いを通り越して頭をぶつけあっている…どこかで見た事のある光景だ。


「こういう時の二人って、なんか牛が角突きあってるみたいだよね」


「あ゙あ゙?!」


 そう言って笑うフィナの言葉に反応して、二人が殺気を込めて威嚇する。

 あまりの剣幕に、フィナはピェッと不思議な悲鳴を上げて涙を流していた。

 無理もない、その横にいた天児も飛び上がって怯えるほどの迫力だ。

 今のは彼女が悪いだろう。フィナはどうやら、一言余計なタイプらしい。


「よーし!そこまで言うならそっちの得意な勝負も受けてやるよ、三本勝負だ!おら、おっさん。何が得意なのか言ってみろ!」


 もはやアビーの口調は完全に輩のそれである。

 昔、営業先のスナックでヤクザに絡まれた時もあんな感じだったなぁと天児は遠い目をしていた。


「ふふ、テンジ様の得意なもの…それは料理ですわ!テンジ様のご飯は最高です。私の胃袋はもう握り潰されてしまいました!」


「ハァ!?ズッリぃぞ、ロゼ!アタシもアンタも料理はからっきしだろうが!!」


「あらあら…?確実に勝てる勝負で勝ちを狙いにきたのはどちら様でしたかしらねぇ?まぁ、例え殴り合いでもテンジ様は勝ちますけど?」


「ぐぅぬぬぬ…!」


 勝ち誇るようなマリアロイゼの挑発に、アビーは何も言い返せない。

 それにしても料理対決ならかなり平和だ、そんな勝負で済むならいくらでもやる。

 マリアロイゼが穏便に済む勝負を提案してくれたことは、本当に天児にはありがたかった。

 …ただ、胃袋を掴むならともかく、握り潰したらダメだと思うが。


 天児が安堵していると、横にいたフィナは顔を真っ白にしてカタカタと震え、何事かを小声で呟いている。

 先程殺気を受けた時よりも、はるかに顔色が悪いようだ。

 何を呟いているのだろう?天児はそれに意識を集中してみた。


「あ、アビーちゃんの料理…怖いよ…ヤバイよ…」


 前言撤回…どうやら、あまり穏便には済まなさそうである。


お読みいただきありがとうございました。

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