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ソファベッド  作者: 中島 世期 seki
1章 猫にマタタビ:僕の憂鬱
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58話 大物

【二十年経った今でも、僕らは一緒にいる】


 家族も増えた。子育てに費やした、僕の二十年間は、長いようで短かった。


 長女はおしゃべりで、何でも首を突っ込みたガールの日咲。二十歳。


 大人しく、いつも傍観者であろうとする十九歳の長男禾一。全寮制の高校を卒業し、サッサっと天十郎と同じ、芸能界の仕事を見つけて、最近、結婚して出て行った。禾一は、いつも静かで手のかからない子だ。どちらかというと、なんでも受け入れて優しかった夏梅の母親に似ている。


 僕が他の人と違う事に、一番先に禾一は気がつき、日咲のように僕を話し相手にすることもなく、だからと言って無視している訳でもなく、淡々としている。うん、淡々というよりは見守っているという感じだ。


 次女の玉実たまみ十七歳は夏梅二世である。


 次男叶一きょういち十五歳が生まれ、二男二女の子供が増えて、天十郎の亜麻家は大家族になった。中でも、掴んだものは決して離さない、スッポン体質の天十郎によく似た、末っ子の叶一はツワモノである。



【夏梅は四人とも母乳で育てた】


 大きい胸の人は、母乳が出ないと助産婦さんから言われ、無理をしないで粉ミルクで育てるように言われていたが、夏梅はふんだんに出た。本人はまるでホルスタインみたいだと嫌がっていたが、双子を同時に一人で育てるくらいの事は簡単そうだった。搾乳も苦労しなかった。


 夏梅は菩薩のような顔で、うっとりとしながら授乳している。それを見ると自分もミルクをあげたい天十郎は、授乳中の夏梅から子供達を無理矢理に奪い取ると、粉ミルクを上げようとする。


 夏梅は子供達を奪われまいと、抱いて家中を逃げる。最後には部屋に逃げ込んで、鍵をかけて母乳を上げる夏梅。天十郎が家にいる時の授乳は、いつも大騒ぎになった。四人の子供のうち、末っ子の叶一の母乳に対する執着はすごかった。


 いつも叶一の授乳の時には、男達が敗北感に打ちのめされた。

 自分の頭以上に大きいおっぱいを両手で抱きつき、満足げに俺たち男を目でけん制しながら、片足の指ではもう一つの乳房を、もてあそんでいる。


 漫画でよくみる、授乳中の大きくて、丸い巨乳に抱きつくなんて、ストレートなら憧れの構図だ。この時期にしかできない、乳児ならではの光景ではあるが、叶一は二つある乳房を足まで使って独占しているのだ。


 叶一はいつも、僕をにらむ

「お前…。僕に喧嘩を売っているのか?」

 言葉をまだ話さない叶一だが、独占欲はあるようだった。このおっぱいが自分の物である認識の元に、取られてはいけないと思うのか、それとも、僕達を挑発しているのか…。


 ただ者ではない。


「まあ、話せないから許してやる」とクールを装う蒲も、横目でちらちら見ている。よせばいいのに、天十郎はそんな叶一の挑発に我慢できずに、乳房から引き離そうとする。他の子と違い叶一は黙っては、いない。泣き叫んで大暴れである。


 さすがの天十郎も、叶一が挑発しているとは、夏梅に言えずに、粉ミルクの方が栄養がいいとか訳の分からない事を言って、なんとか引き離そうとするが、夏梅と叶一の抵抗にあい、叶一は粉ミルクを拒絶し母乳だけで育った。


 十五歳になった叶一だが、いまだに、なにかと、天十郎と敵対関係となって、やり込める事に力を注ぎ、たまに中学の寮から帰ると二人で火花を散らしている。


 もちろん、叶一は僕を睨むことを忘れない。

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