表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソファベッド  作者: 中島 世期 seki
1章 猫にマタタビ:僕の憂鬱
43/88

43話 誰が、傍にいるか…?

 プロの集団である。それぞれが、言われなくても記念式典に向かって、自分達のやるべき事と調整を短時間で終わらせた。



【そして、最後に議題は夏梅になった】


「黒川さん、夏梅は、うちの記者として連れて行けば、ゲストモデルとして舞台に一時期立ったとしても、そのあと目立たずに、誰かが見ていられるだろ?」

「立花編集長は、夏梅ちゃんのそばにいられるのですか?俺は隣にいるっていうのは無理ですよ。奥さんに抑えてもらわないと襲っちゃう」


「要するに、蒲さんと、てんちゃん日美子さんだけがセーフなのね。皆さん、忘れていませんか?この子に化粧は出来ませんよ」と、和樹が口を挟んだ。


「だからさ、恋人説が過熱しているから、それを逆手にとって、天十郎の婚約者として、茂呂社長の天十郎への抑止力にすればいい。そんな使い方しか出来ないだろ。さらにそのまま籍を入れれば、ストーリーが完成するだろ?」


 立花編集長はあきれたように

「まったく、なんて言い方だ。蒲は夏梅の使い方しか考えないのか?」

「どんな言い方をしても同じです。ここはプラスマイナスをきちんと見極めて対応すべきですよ?」


 入籍だって?婚約者まではわかるが…。僕は戸惑った。やはり、蒲の奴め、またなにか企んでいるな。


 ソファベッドの上から夏梅の、のんびりとした「私、お留守番でいいよ~」と声がした。すると、日美子さんはソファベッドに向かって

「そうは、いかないの」

「なんで?」

「元カノのリークで、茂呂社長の条件の中に、あなたが入っているの」夏梅はびっくり顔をした。

「まったく夏梅が爆弾とは知らずに、茂呂社長も簡単に要求するなよ」

 蒲が吐き捨てるように言った。


 日美子さんが不審そうに黒川氏に尋ねた。

「公の場ではなくて、個人的に会社に夏梅を連れて行ったら?一度、夏梅を見たら茂呂社長も落ち着くのではないの?」

「そんなのは、カバーガール候補として呼び出せば簡単だろ?公の場で曝したいのは、恋人説の真偽を確かめるためだろ?」

「別に、公の場所だから真偽が確かめられる訳じゃないわよね?」


 すると和樹が

「あの社長、ずる賢いからね。自分の手は汚さずに多くの記者の前で、公になれば何もしなくても、彼らが真偽を明確にしてくれる。それが茂呂社長の狙いだわ。俳優一人に、えらい執着している。恐ろしいよ」


 蒲は笑いながら

「天十郎の彼女だから、かばっているわけではないのに、世間なんて笑えるな。それを逆手にとらないとダメですよ」

「知らないのだからしょうがない。みんな憧れ症候群に陥っているからね」立花編集長の言葉に日美子さんが反応した。


「あーそれは認める。私も最初、天十郎君を見た時は憧れ症候群にかかったわ。でも、夏梅の自爆で正気に戻ったけれど、あれがなかったら今でも、お目めキラキラで憧れていたかもしれない。全体のほんの一部、真実ではないところしか見えないからね」


「そういう仕事でもあるしね」立花編集長はニッコリ笑った。

「そうだな、難しいよな。とにかく、夏梅をどうやってお披露目するか、慎重にしないと後が難しくなる」蒲以外、みんながこっくり頷いた。



【蒲は天十郎と夏梅に近寄ると】


「天十郎、お前達の一番の心配は、公の場での幼児帰りだ」

 黒川氏達が真剣に記念式典に向かって話し合っている間、天十郎と夏梅は相変わらず、ソファベッドで小競り合いを続けていた。蒲がそれを見かねたようだ。


 天十郎は蒲をチラッとみると「なんだそれ」と白を切った。

「そうやっている。お前と夏梅の言い争いだ。両方とも仲良く喧嘩し過ぎだ。押さえろよ」

「まさか、公の場でそんなことしないよ」

「だと、いいけど」蒲の言葉に棘がある。


「天十郎がおとなしくしてれば、参加してもいいよ」夏梅が言いきった。


 その様子を見ていた黒川氏と日美子さんは微笑んだ。

「天十郎君が来てから、夏梅ちゃんが少し変わって来たかな?」

「うん、そう思う。水と油のような関係なのに、イザという時には助け合おうとする。蒲の彼氏に、あんなに、よくするのは初めてかな」


「良い事だよな?」黒川氏は日美子さんに聞いた。日美子さんは、考え込みながら「良い事だと思う」二人で顔を見合わせた。


 僕にとっては、夏梅を地獄に落とさない事が一番だ。そのためには、色々と迷惑をかけている彼らの事業に、利益をもたらす事も重要なのではないかと思い、夏梅の入籍の話も、強く反対が出来ずにいた。


 僕は、一連の出来事にとても迷った。とりあえず、明日、記念式典に向けて、黒川氏の事務所で採寸する事になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ