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85 部屋の主はいずこに
秘書官に案内されて議長の執務室のドアが開いた時、まず目を引いたのは、その部屋の異様さだった。
ピアノ塗装の白い猫脚の調度品が並べられ、大きな花柄のファブリックが大小、いたるところに積み上げてあった。
天然木らしき床板は磨き上げられ、可憐なデザインのペンダントライトが天井からぶら下がっていた。
窓のない部屋だが、明るい雰囲気がして、いい香りがしたが、大量の大きなクッション類のせいで窮屈な印象だった。
中央には、とてつもなく大きな丸いクッションが一つ。
細かい花柄の模様が美しい白いクッション。
その脇のコンソールテーブルには、クッキーやプチケーキがピラミッド状に盛り付けてあった。
私は部屋に一歩入り、立ち止まった。
ここで待てばいいのだろうか。
秘書官は扉をバタンと閉めて出ていった。
と、声がした。
「何の、ご用?」
美しいが甲高い声に、濁りの混じった波長。
そして、
「面会時間は三分」
あ。
巨大クッションが動いた。
が、部屋の主はいずこに。
どちらに向かって話しかければいいのか。
私は迷って、「あの、アイーナ議長ですか」と、間の抜けたことを口にしてしまった。
話は、クッションを転がして、アイーナが現れてからだ、と言わんばかりの口調で。
「ふん、失敬な」
「え」




