84 私、失敗をしでかしたみたいなの
「大丈夫?」
レイチェルの気遣いに、チョットマは首を振って、続けて、と気持ちを示した。
イコマはユウを振り返った。
今聞いた話によれば、二十日足らずでパリサイドの星に到着するのだが、ユウは知っていたのだろうか。
無表情だったが、イコマにだけわかるように目の隅で笑った。
それが彼女の仕事にどんな影響を及ぼすのかわからないが、後で聞いてみよう。
「船長からはプリブの行方について、なにも得られなかった。次の人もそう。でも、彼女のことも知っておいて欲しいから話すわね」
レイチェルが次に会ったのは、市民代表議員主席、パリサイド中央議会議長、アイーナという女性。
「実は私、失敗をしでかしたみたいなの」
母船に移乗してから、アイーナから面会の申し出が来ていたという。
「落ち着かれたら来て欲しい、って書いてあったから、私、悠長に構えてた。それに、地球人類の代表みたいに書かれてあったから、それにも抵抗があって」
レイチェルはニューキーツでの出来事に翻弄され、しかも死にかけたこともあって体調も悪く、長官であり続けることに疲れていた。
今でこそ、気持ちを奮い立たせているが、つい先日まで、ことあるごとにンドペキやスジーウォンやコリネルスに代表者の役割を替わって欲しいと言っていたのだ。
「それにね、こう言うとなんだけど、なんだか高飛車な感じでね」
そういってレイチェルは、私の失敗、という言葉を繰り返した。
「面会といっても、彼女が一方的に喋るばかりで……」




