79 観察、いい加減にしてよね……
「よし! わかった」
「はい!」
「いや、わからない」
「はい?」
いい加減にしてよね……。
ようやくクッションに顔の輪郭が見えてきた。
目もあるし、口もある。
その眼を見つめ、待った。
「聞きたいことがある」
アイーナが初めてまともな声を出した。
ハスキーだが、威厳の備わった声だった。
「クローンなのに、本人と同じではないんだな」
「はい」
「顔も姿も、髪の色も」
「そうです」
「お前は何のために作られた?」
「さあ。存じません」
知っている。
レイチェルが私やサリに望んだこと。
しかし、それを話すわけにはいかない。
きっと、アイーナは馬鹿にするだろうし、レイチェルに悪い。
「知らない?」
「ええ」
「クローンとは」
アイーナの言うことは理解できる。
何らかの役割を持たせるために、生み出されたコピーなんだから。
そしてそれが多くの場合、かなり似通った容姿で作られることも。
かなり昔に、その技術は禁止されたことも。
「まあ、そうだな。地球のホメム、今は生粋の血筋も絶えようとしている。人類。その生き残りとして、作ったのかもしれないな」
アイーナの想像は間違っているが、大きく外れているわけでもない。
チョットマは、もしそうだとすれば光栄なことだと思います、と応えておいた。
「まるで、クローンに見えないね。チョットマと言ったか。おまえ、自分の頭で考えている」
さすがにこれには、「当たり前です!」と反応してしまった。
生意気に聞こえたかもしれない。
「私は、あくまで私です」
とまで、付け加えてしまった。




