79 当船の乗組員ではない
パリサイド達が住む星、パリサイド。
過ごしやすいところだとか、地球と似ているといった情報は、それなりに得ている。
太陽のような恒星を回る惑星のひとつだろうか。
それなら、地球と同じように、光溢れる昼と、闇があらゆるものの姿を隠す夜が交互にやって来るのだろうか。
そんな想像を膨らませることはあったが、それより今は目の前のことを。
「なにか、ご存知のことがあれば、教えていただきたいのです」
ようやくキョー・マチボリーが何かを言いかけた。
知らぬと言ったように聞こえた。
ただ、予想していた回答ではある。
「では、お伺いします。一般市民を連行する権限を持っているのは、どんな組織でしょう」
これなら答えられるだろうか。
「少なくとも、当船の乗組員ではないと言えます」
と、椅子の背。
「私が統括している武装部隊は、船の安定的な就航を維持するためだけに配備しているものです。市民の生活に、いかなる関わりも持ちません」
私は頷いて、次の言葉を待った。
またしばらく間が空いた。
どう返答したものか思案しているのか、私には聞こえない方法で船長としての指示を出しているのかもしれない。
粘り強く待った。
思い起こせば、プリブが連行された時、相手は完全武装していたという。
この船で武装した者を見たことがなかったチョットマもスミソも、それがどこに所属する者か、見当もつかないと言った。
車両や飛空艇に乗っていたわけでもない。プリブを抱え込むや否や、走り去った。
終始無言で、拉致はあっという間だったという。
部屋の中に乗り込んできたわけではない。
白昼堂々、公道での出来事だったが、あいにく目撃した市民はいない。




