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80 一風変わったご仁もおられるようです

「調べてみました」と、ようやくキョー・マチボリーの声。


「おっしゃる日時に、当船の者は誰も当該エリアに居合わせた記録はありません。また、プリブというニューキーツ市民に関わるいかなる記録もありません」

「ありがとうございます」


「それで、先ほどのご質問ですが、私からお応えすることは、立場上、できません。しかしながら、この街の市民代表議員主席、パリサイド中央議会議長、ありていに言えば市長ですが、彼女ならお応えするでしょう」


「わかりました。ありがとうございます」

 再び礼を言った。



 船長という立場では、口は差し挟めぬ、ということだ。

 空振りに終わったと言えるが、それでもここに来てよかったと思った。

 キョー・マチボリーの声音に、嘘はついていないという安定した響きを感じたからだった。



 いつの間にか、すぐ後ろに立派な椅子が現れていた。



「会談は終了です」と、後ろからオーシマンの声がした。


「どうぞ、お座りください。今まで、長官に立っていただいたままで、失礼しました」と、椅子の背の声。

「さあ、これからは座談会ということで」


 奇妙な成り行きだったが、これがこの男の流儀なのだろう。

 申し出に従った。



「それはそうと、地球からみえた人の中には、一風変わったご仁もおられるようです」

「はい?」

「まあ、それはそうでしょう。地球もニューキーツの街も、一切の進歩を止めていたわけではないでしょうから」



 ひとつ目の歌のお姉さんのような少し異形を持った人のことを言ったのだろうか。

 それとも、アギのパリサイドや、マトやメルキト、そしてクローンのことを指しているのだろうか。


 しかし、キョー・マチボリーは、

「まあ、私は仲間として認めますよ。今のところは。危害を加えられそうでもないので」

 と、笑うように言った。



「さて、レイチェル長官に聞いていただきたいことがあります」

「ええ」

「地球の方はご存じないでしょう。この船のことを」


 キョー・マチボリーは語りたかったようだ。


「プリミティブエナジー、ご存知でしょうか」


 知らないと応えると、打って変わって雄弁になった。

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