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婚約破棄されたので普通の生活を目指します。なお私は剣聖らしいのですが自覚はありません  作者: 翡翠


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7500PV突破記念SS リリアーナが人を拾ってくる件について家族会議


 ――アルヴェイン公爵邸、会議室。


 珍しく、家族全員が揃っていた。


 父、公爵。

 母、公爵夫人。

 長男、レオニード。

 次女、エリシア。


 そして。


 議題は一つ。


「……また増えたな」


 公爵が静かに言う。


「ええ」


 夫人が穏やかに頷く。


「今回は三人ね」


「エマと、その家族」


 レオニードが補足する。


 資料は既に整理されている。


 経歴。

 状況。

 影響。


 すべて。


「……拾ってきたのか」


 公爵が言う。


「正確には」


 一拍。


「“思いついた”」


 レオニードが修正する。


 エリシアが小さく笑う。


「それが一番怖いんだけどね」


 沈黙。


 誰も否定しない。


 ――事実だから。


「影響は」


 公爵が問う。


「良好」


 レオニードが即答する。


「対象者、安定要因に転化」


「周辺への影響も問題なし」


「むしろ」


 一拍。


「内部安定度が上昇」


 公爵が目を細める。


「……増えるほど安定するのか」


「条件付きで」


 レオニードが答える。


「“内側”に入った場合のみ」


 エリシアが補足する。


「中途半端が一番ダメ」


「完全に入れるか、触れないか」


「その二択」


 夫人が静かに頷く。


「いい分析ね」


 公爵はグラスを軽く回す。


「問題は」


 一拍。


「どこまで増えるか、だ」


 沈黙。


 全員が同じことを考えている。


 ――制限がない。


「上限は存在しない」


 レオニードが言う。


「ただし」


 一拍。


「“必要以上には増えない”」


「なぜそう言える」


「傾向だ」


 資料を示す。


「すべて“関与した対象”のみ」


「無作為ではない」


 つまり。


 ――意味がある。


「偶然ではない」


 エリシアが言う。


「全部、お姉様の中で繋がってる」


 夫人が微笑む。


「ええ」


「無意識でね」


 公爵が小さく息を吐く。


「……つまり」


 一拍。


「止められない」


「ええ」


 夫人が即答する。


「止める必要もないわ」


 その一言で、空気が決まる。


 レオニードも頷く。


「同意する」


「現状、リスクよりリターンが大きい」


「ならば」


 公爵が言う。


「管理する」


 結論。


 それしかない。


「方法は」


「受け入れ体制の整備」


「離れの拡張」


「教育の統一」


 即座に案が出る。


 すでに想定済み。


「……完全に前提化しているな」


 公爵が苦笑する。


「はい」


 レオニードが答える。


「“拾う”のではなく」


 一拍。


「“増える”と認識しています」


 エリシアが笑う。


「言い方」


「正確だ」


 否定しない。


 ――その時。


 扉がノックされる。


「失礼いたします」


 使用人が入る。


「リリアーナ様が……」


 一拍。


「新たに一名、お連れになっております」


 沈黙。


 完全な沈黙。


 エリシアが天を仰ぐ。


「……ほら来た」


 レオニードが即座に立ち上がる。


「対応する」


「資料は後で」


「了解」


 動きが早い。


 迷いがない。


 公爵が小さく笑う。


「会議の意味があったな」


「ええ」


 夫人も頷く。


「すぐに使えたもの」


 ――廊下。


「この人ね」


 リリアーナが言う。


「困っていたから」


 それだけ。


 説明はない。


 だが。


 十分。


 レオニードが一歩前に出る。


「確認する」


 短く言う。


 エリシアも横に立つ。


「ようこそ」


 柔らかく言う。


 ――受け入れ完了。


 公爵邸は、また少しだけ広がる。


 だが。


 それで崩れることはない。


 むしろ。


 安定する。


 会議室に戻る途中。


 エリシアが小さく言う。


「ねえ」


「なんだ」


「これ、もう止まらないよね」


「止めるものではない」


 レオニードが答える。


 一拍。


「維持するものだ」


 それが結論。


 そして。


 家族全員の共通認識だった。

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