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婚約破棄されたので普通の生活を目指します。なお私は剣聖らしいのですが自覚はありません  作者: 翡翠


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5000PV突破記念SS レオニードから見たリリアーナ

 結論から言う。


 リリアーナは、危険ではない。


 ――“危険になり得る存在”だ。


 この違いは大きい。


 そして、この違いを理解しているかどうかで、生存率が変わる。


 幼少期。


 五歳の頃。


 剣の稽古をつけた。


 理由は単純だ。


 公爵家の者として、最低限の武を身につけさせるため。


 それ以上の意味はなかった。


 最初の印象は、今でも覚えている。


 ――素直だな、と思った。


 指示通りに動く。


 無駄がない。


 癖もない。


 だからこそ。


 “危ない”と思った。


 通常、人は癖を持つ。


 無駄を挟む。


 躊躇する。


 だがリリアーナには、それがなかった。


 だから、こちらが調整した。


 必ず寸止めにする。


 必ず“勝たせない”。


 だが。


 たまに入る。


 意図しないタイミングで。


 意図しない角度で。


 意図しない速度で。


 ――“正解”が来る。


 その時は、褒めた。


「いいぞ」


「将来強くなる」


 事実だからだ。


 ただし。


 “今はまだ弱い”という認識を維持させる必要があった。


 理由は簡単だ。


 ――制御不能になる可能性があるからだ。


 結果として。


 リリアーナは「自分は強くない」と認識した。


 それでいい。


 それが最適解だった。


 ――現在。


 その判断は、正しかったと断言できる。


 リリアーナは、変わらない。


 自分を過大評価しない。


 力を誇示しない。


 支配を望まない。


 つまり。


 “動機が存在しない”。


 これが最大の安全装置だ。


 逆に言えば。


 動機が発生した場合、対処不能になる。


 だから。


 発生させない。


 それが役割だ。


 私の。


 エリシアの。


 そして――母上の。


 ――黒竜。


 あれは分かりやすい。


 評価者だ。


 絶対的な基準で、リリアーナを測定している。


 そして結論を出している。


 ――最上位。


 誤差なし。


 比較不能。


 人間の評価は不要だ。


 あれがある時点で、答えは出ている。


 だが。


 リリアーナはそれを理解しない。


 理解する必要もない。


 むしろ、してはいけない。


 ――剣術大会。


 あれは想定外だった。


 だが、収穫もあった。


 観測者が増えたことで、逆に“認識が固定された”。


 曖昧な恐怖は消え、明確な理解に変わる。


 結果。


 不用意な接触が減る。


 合理的だ。


 ――日常。


 リリアーナは、今日も普通に過ごしている。


 花を見て、

 お茶を飲んで、

 笑っている。


 それだけだ。


 だが。


 その“それだけ”を成立させるために。


 どれだけの調整が行われているか。


 本人は知らない。


 知らなくていい。


 知る必要もない。


 ――私は、守っているわけではない。


 正確には。


 “維持している”。


 状態を。


 均衡を。


 前提を。


 それが崩れれば、世界が揺らぐ。


 だから維持する。


 それだけだ。


 ――最後に。


 個人的見解を記す。


 リリアーナは、優しい。


 これは事実だ。


 疑いようがない。


 だからこそ。


 危険になり得る。


 優しさは、判断を曖昧にする。


 境界を消す。


 そして。


 “排除”と“保護”の区別を曖昧にする。


 だが。


 それでも。


 私は、この状態を選ぶ。


 なぜなら。


 これが最も安定しているからだ。


 そして。


 最も望ましい。


 ――リリアーナが、普通に笑っている状態。


 それが維持されている限り。


 世界は、問題ない。

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