夕食
読んで戴けると嬉しいです。
聖流は、聖詞がエリザベータで働くようになってから夕食をエリザベータで摂る事が日課になっていた。
時々、聖流の夕食を聖詞が作るのだが、真面目なのか、ふざけているのか信じられない物を食べさせられる事が多々あった。
「聖詞、今日のこれは真面目に作ったのか? 」
目の前に置かれた皿の中に、ストロベリー色のスープの中でパスタが泳いでいた。
トッピングにパフェ用のブルーベリーやバナナなどの果物が飾られている。
聖詞は涼しい顔で言った。
「心からの敬愛を籠めて作ってるよ」
弟想いの聖流は恐怖を感じながらも食べた。
「甘い........
聖詞、この甘い味はなんだ? 」
聖流は聖詞を睨んだ。
「パフェ用のストロベリーソース」
「これを、どう見てもパフェには見えない様だが? 」
「名付けるとストロベリーパフェ風スープパスタって処かな」
聖詞は微笑んだ。
聖流は頬杖をついて皿の中を見詰め、ため息を一つつくと食べ始めた。
かなしいブラコンの定めである。
聖流はスープまで食べ尽くすと淡い期待を籠めて聖詞に言った。
「オレも三十路を迎えて生活習慣病を気にしたいんだけどな、聖詞」
聖詞の横で魁威が声を殺して笑っていた。
聖流が睨むと魁威は慌てて言った。
「俺も犠牲者ですって! 」
「魁威、口直しにコーヒー淹れてくれないか」
「うっす」
魁威は同情を籠めてキリマンジャロを淹れて聖流の前に置いた。
「この間、おかしな子供に逢った
まだ子供の癖に大の大人をて名付けて、オレに一目惚れしたと言って家まで付いて来たんだ」
「ふーん
幾つくらいの子? 」
「もうすぐ十五になるって言ってたかな
確かにキレイな少年だったが、まとわりつかれそうで気が重いよ」
聖流はタバコを取り出して吸い始めた。
聖詞はカップをさらしで拭きながら言った。
「聖流、昔から男女関係無くモテたからね
今、思うと貴都李さんもその一人だったのかな?
よく哀しそうな顔をして聖流を見てた」
「貴都李を憶えているのか? 」
「憶えてる
命の恩人だからね」
聖流はゆっくり煙を吐き出した。
「そうだな
貴都李が居なければ、今のオレたちはいなかった」
聖詞は目を伏せて言った。
「本当にね
とても優しい人だったのを憶えてるよ」
「恩を返す事ができなかった........」
聖流は遠くを見ていた。
読んで戴き有り難うございます。
このシーンは、貴都李の章の聖詞のお料理ルーツを思い出しながら読んで戴けると、もとは聖流自身が招いた事に気付きます。笑
生活習慣病を理由に自分の味の無いパスタを正当化しましたが、今度は聖詞の常識を超越したパスタに生活習慣病を引用しなければならなくなっています。
聖流がいかに聖詞にいい加減な物を食べさせていたかが想像できます。笑




