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隆一朗と云う聖詞

 読んで戴きましたら倖せです。

 聖流(さとる)は定期的にエリザベータに顔を出して魁威(かい)から聖詞(さとし)の様子を聞いた。


 その日もエリザベータを訪れると魁威は笑顔で迎えた。


「聖詞の様子はどうですか? 」


「クリーニング店をクビになったみたいなんですよ

 配達のおっさんと揉めたらしくて

 本人はけろっとしてましたけどね」


 魁威は聖流にコーヒーを出しながら言った。


「有り難う

 それで、聖詞は.....? 」


「今日は新しい仕事探しに行きました

 そうそう、最近ギターに凝ってて、毎日練習を欠かさないですね」


「ギターを? 」


「エレキギター教えたら、いたく気に入ったみたいで指の血豆が潰れるくらい必死になって練習してますよ」


 店のドアから聖詞が帰って来た。


「聖流.......」


 聖流の姿を認めると聖詞は立ち止まった。


 聖流は普通に訊いた。


「聖詞、仕事は見つかったのか? 」


 聖詞は少し戸惑いながら答えた。


「..........うん

 美容室で見習い募集してて、明日から来てくれって言われてる」


 聖詞は聖流の隣に座った。


「魁威、僕にもコーヒー淹れてくれる? 」


「あいよ」


 魁威はカップを置くとそれにコーヒーを注いで聖詞の前に置いた。


「有り難う

 今、お金貯めてるんだ

 いつまでもここにお世話になってる訳にも行かないし」


「そうか.......」


 聖詞は上着のポケットからタバコとライターを取り出した。


 聖流は驚いて言った。


「聖詞、お前まだ未成年だろ! 」


「聖流も吸う? 」


 聖詞はボックスを軽く振って取りやすくすると聖流の前に差し出した。


「そう云う問題じゃないだろ」


 聖流は呆れて一本取って火を点けた。


「お前にタバコを勧められる日がこんなに早く来るとはね」


「三年ズレタだけだよ」


 聖詞はタバコを持った手でコーヒーを飲んだ。


「ねえ魁威、今日は飲みに行かないの? 」


「行きたいのは山々だけどね

 そろそろ行ける店も無くなって来たよ

 行く店、行く店で隆一朗が喧嘩おっぱじめるから、出禁の店続出でね」


 聖流は驚いて言った。


「聖詞、酒まで飲んでるのか! 」


 聖詞は肩を竦めた。


「飲み屋に行って酒飲まないで何飲むの? 」


「こいつ蟒蛇(うわばみ)ですよ

 お兄さん」


「聖詞が蟒蛇......」


 聖流は頭を抱え込んだ。


「隆一朗、お兄さんがショック受けてるよ」


「真実がいつも優しいとは限らないよ、聖流」


「お前が言うな」


 聖流は額に手をあてた。


 気を取り直して聖流は言った。


「処で、ギター始めたんだってな」


「うん、ギター弾いてると嫌な事全部忘れていられるんだ」


「そうか.......

 忘れられるなら忘れた方がいい」


「僕は忘れない、決して

 あれは許されない僕の業だから........」


「聖詞.........」


 聖流は聖詞を見詰めた。


「そんな顔しなくても大丈夫だよ

 もう、自殺しようなんて考えないから」


 聖詞は微かに笑った。


「そうか..........」


 聖流は眉間に皺を寄せタバコを揉み消した。





 読んで下さり有り難うございます。

 あと三話で、聖詞の章終わります。

 聖詞の章は割りと穏やかに終わります。笑


 聖流編、読んで下さる方居て良かったです。

 沢山では無いけど、読んで下さる方いらっしゃるだけで有難いです。

 何せ人気の全く無い作品でしたので。笑

 それでもブックマーク二人付けて下さった方が居らして、それが誇らしかったです。笑

 


 最近、雨降らない日が珍しいくらい、毎日雨が降ります。

 夜に雨が降って朝に陽が照ると草に銀色の雫が輝いて、本当に綺麗です。

 自然は本当に美しいなあと感動します。



 

 

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― 新着の感想 ―
[一言] あと3話お疲れ様です。 穏やかに終わりますか?
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