消息
読んで戴きましたら、倖せです。
聖詞が失踪して一年が過ぎた。
警察にも捜索願いは出していたが、聖流は方々手を尽くして聖詞の行方を捜した。
だが、手掛かりすら掴めずにいた。
もう、人知れず死んでしまったのかもしれない。
そんな不安が頭をもたげた。
ある日、バンド仲間と別のバンドをやっている何人かで飲んでいる時だった。
別の街から来ていた野崎と云う男が言った。
「そう言えば聖流、弟さがしてたよな
似てたんだよなあ、隣街の飲み屋街で喧嘩おっぱじめた奴に」
聖流は身を乗り出して言った。
「何処だって? 」
「H市の飲み屋街
前に探してるって写真見せて貰ったろ
似てたんだよね」
聖流は写真を出して野崎に見せた。
野崎は写真を受け取ると暫く見詰めて言った。
「やっぱ、似てるわ
ここら辺で、こんなキレイな顔した子なんて、そう居ないからさあ」
早速次の日、仕事を終えるとH市の飲み屋街へ車を走らせた。
近くの駐車場に車を預け、徒歩で飲み屋街を目指し、聖流は手当たり次第聖詞の写真を見せては訊いて歩いた。
場末のバーで見掛けたと云う男がいた。
聖流はそのバーを目指した。
途中の店のドアが突然開いて、男が飛び出して来た。
男は道路の中央に立つと、ドアに向かって笑みを浮かべ構えた。
それは聖詞だった。
聖流は黙って様子を見た。
聖詞の後に続いて二、三人の男たちが、飛び出して来て聖詞を囲んだ。
「この餓鬼、言わせて置けばいい気になりやがって! 」
後ろに居た男が聖詞を羽交い締めにした。
店から更に若い男たちが出て来て叫んだ。
「隆一朗、ここも出入り禁止になったよ! 」
『隆一朗? 』
聖流は改めて聖詞を見た。
しかし、聖流が聖詞を見間違えるはずは無かった。
聖詞は羽交い締めする男が、それに気を取られた瞬間に男の脛を踵で蹴って怯んだ処でするりと下から抜け出した。
殴りかかって来る男の拳をすんででかわして、素早く後ろに下がって距離を取った。
もう一人の男が聖詞の腕を掴もうとするが、聖詞はそれに気付くと腕を回転させて身を捩り、男は触る事さえできなかった。
見ていると聖詞は攻撃に出る事はせず、ひたすら男たちをかわして翻弄していた。
「さっきから一発も当たってないけど
大したこと無いなあ」
聖詞は笑った。
男たちはいきり立った。
店の前で高見の見物をしている男たちは、どうやら聖詞の仲間らしいが手助けする気は無いようだ。
「隆一朗、その辺で止めといたら!
なんなら、手を貸すよ! 」
見物している男の一人が言った。
「ご冗談を!
お楽しみはこれからだよ! 」
聖詞が気を取られている隙を狙って男の一人が聖詞のみぞおちに一発くらわした。
聖詞は身体を折って膝をつき、咳き込んだ。
聖流はつかつかと進み出て、その男の胸ぐらを掴んでこちらに向かせた。
「オレの目の前で聖詞を殴るとは、いい度胸してるじゃないか」
聖流は思い切り男を殴った。
男は勢いよく飛ばされ、地面に転がった。
それに気付いた聖詞は見上げると聖流に気付いた。
「聖流.......」
他の二人が飛びかかって来たが聖流はあっという間にのしてしまった。
「警察だあ!! 」
と、誰かが叫ぶと聖流は聖詞の腕を掴んで走り出した。
細い路地に入って身を隠した。
呼吸が落ち着くと聖流は言った。
「危なっかしくて見てられ無かったぞ」
「聖流........」
聖詞は聖流を見詰めた。
「どうしてここに? 」
「オレの情報網を甘くみるなよ」
聖流が見詰めると聖詞は目を伏せた。
一年振りに見る聖詞は聖流と変わらないくらい身長が伸び、大人びた表情を身に付けていた。
「その様子だと、帰る気は無さそうだな」
聖詞は目を伏せたまま黙った。
「今、何処にいるんだ? 」
「僕のことは放っておいて.......」
聖詞はそう言うと去って行った。
聖流はその後を付けた。
聖詞は飲み屋街からそう遠く無いエリザベータと言う喫茶店に鍵を開けて入って行った。
読んで戴き有り難うございます。
このシーンは大好きなシーンです。
私、美少年好きなのですが、美少年みるのも好きですが美少年になりたかったという願望あります。
美少年になって、バンドやりたいです。
男同士のこうゆう関係性、憧れます。
聖流って言うキャラ好きですう。
タブレットに打ち込みながら、聖流のキャラ楽しんでます。
この作品はスピンオフで、あまり沢山の人に読んで貰えなかったのですが、修正版は本編の修正版より少しだけ、読んで下さる方多くて嬉しいです。
もう1、2位に入るくらいお気に入りの作品なので。




