失踪
リスカ表現あります。
沙夜子の自殺によって聖詞が受けた衝撃は想像を絶するものだった。
聖流は通夜に出席する為、喪服を取りに一端アパートに帰った。
実家に戻ると聖詞の姿が見えない。
聖流は嫌な予感がして聖詞を探し始めた。
二階の何処にも聖詞の姿は見当たらなかった。
聖流は勘が働いて風呂場を覗いた。
聖詞は出しっぱなしのシャワーの下で、沙夜子と同じように手首を切っていた。
「聖詞! 」
聖流は真聖を呼ぶと、スマホで119番に掛けた。
真聖と二人で意識の無い聖詞をソファーに寝かせた。
やがて救急車が来て、聖流が付き添いとして救急車に乗り込んだ。
血圧が低下していて危険な状態だったが、なんとか一命をとりとめた。
集中治療室に運ばれ、輸血を受けて眠る聖詞に聖流は片時も離れる事なく付き添った。
一昼夜が明け、疲れて聖流が微睡んでいると、眠る聖詞の手が宙を彷徨った。
聖流は聖詞の手を握った。
聖詞は何かを呟いていた。
その言葉は次第にはっきりして行った。
「目を開けて
目を開けて.........」
聖詞の目から涙が溢れていた。
その声は少しずつ大きくなって叫びになった。
聖詞はベッドの上で仰け反り叫び続けた。
「聖詞! 」
聖流は看護婦を呼んだ。
看護婦は直ぐに飛んで来て聖詞の様子を見ると医者を呼びに行った。
聖詞の身体を押さえつけるが、聖詞はその押さえつける聖流の手を掴んで身体を折った。
医師が来ると鎮静剤が投与された。
それは序章に過ぎなかった。
聖詞はそれから何度も自殺をはかり、何度も死にかけたがそれでも死ぬことを止めようとはしなかった。
その日も病院のベッドで聖詞は目を覚ました。
聖詞は包帯を巻かれた手首を額にあて、死ぬ事ができなかった事に絶望した。
「また、僕は死ぬことができなかったんだ」
付き添っていた聖流は丸椅子に座って脚を組んでいた。
「オレが生きている限り、お前を死なせない」
「どうして.......」
聖詞は起き上がり、足をベッドから降ろした。
「どうして!! 」
聖詞は叫んだ。
聖流は静かに言った。
「いい加減諦めろ
オレは諦める気は無い」
「頼むから僕を死なせて........」
聖詞は顔を両手で覆った。
『生きたくても生きられない者も居たんだ、聖詞! 』
聖流は聖詞の手首を掴んで思い切り殴った。
聖詞の身体はベッドに転がり床に滑り落ちた。
聖流は、のろのろと起き上がった聖詞の肩を掴むとこちらに向かせて、胸ぐらを掴みあげた。
「罪の意識が在るなら生きて苦しめ! 」
見上げた聖流は目に涙をためて、哀しい顔で聖詞を見詰めていた。
聖詞は聖流の顔を見詰めて瞳を震わせ、目を伏せた。
聖流は冷静さを取り戻すと、聖詞から静かに手を離した。
聖詞は力無く切れた口唇を手の甲で拭った。
ドアがノックされて看護婦が入って来た。
「あらら、藤岡さん
ちゃんと休んでないといけませんよ」
看護婦は聖詞をベッドに寝かせると聖流に言った。
「担当医師から、お話があります」
聖流は看護婦と部屋を出た。
ナースステーションの奥にある小部屋に連れられると、そこに医師が椅子に座って待っていた。
医師は聖流に、椅子に座るように勧めた。
聖流は従った。
「聖詞君を神経科病棟に長期入院させてはどうでしょう
神経科病棟なら監視の設備も行き届いているので、聖詞君も滅多な行動を起こす事はできません」
聖流は暫く考えてから言った。
「父と検討してみます」
聖流が病室に戻ると病室はもぬけの殻になっていた。
備え付けの棚に置いてあった聖詞の服が無くなっていた。
聖流は慌てて看護婦を呼び、辺りを探し回りながら下の階へと降りた。
何ヵ所もある出入口に総て行ったが聖詞の姿は無かった。
手の空いてる看護婦も探し回ってくれたが、とうとう聖詞をみつける事はできなかった。
読んで戴き、有り難うございます。
最近、映画のプロモーションの為に鬼滅の刃がやたらテレビで入るので、我が家もすっかりはまってしまいました。
旦那も娘たちも楽しみに観ています。
その内、誰かコミックス買わないかなあと期待してます。
その内、実写化してくれないかなあ。
下手な邦画観るならコミックスの実写版の方が絶対面白いと思います。
どーも日本の映画ってどれもどろどろと垢抜けなくて好きになれませんのです。




