眠れない夜
読んで戴けたら嬉しいです。
家に着くと聖詞は元気を取り戻し、風呂場までダッシュした。
家政婦の河合さんは夕食の用意をして帰った後だった。
聖流は荷物を降ろすと聖詞の後に続いた。
「身体中ジャリジャリ」
聖詞は服を脱ぐとバスルームに駆け込んだ。
頭からシャワーを浴びて聖流が来るのを待たずに頭を洗いだした。
風呂から上がるとパジャマ姿で夕食を食べ、聖流は聖詞の部屋で眠るまで本を読んでやり、聖詞が眠ると自分の部屋に戻ってベッドに入った。
『そんな事されたら胸が苦しいよ
だって、ボク聖流君が好きだから』
そう言った貴都李は、熟れた果実のように口唇を紅く輝かせ、乱れた髪の隙間から覗く目が異様に艶かしく見えた。
疲れている筈なのに、眠りの壁は厚く聖流をなかなか眠らせてはくれない。
何度も貴都李の言葉が頭の中で繰り返された。
やっと、うとうとし掛けた頃、玄関のチャイムが鳴った。
父の真聖が鍵を持ち忘れたのかと思い、部屋を出て階段を降りた。
だがパジャマ姿の真聖がリビングの戸口に立って玄関の様子を見ている。
「こんな時間に誰だろうね」
聖流が言うと真聖は首を傾げて見せた。
「どちら様ですか? 」
「.....聖流君.........」
貴都李の消え入るような声が聞こえた。
「貴都李! 」
聖流は玄関のドアを開けた。
そこには傷だらけの貴都李が立っていた。
貴都李は聖流の顔を見ると安心した笑みを浮かべ、崩れるようにその場に倒れた。
「貴都李! 」
着ている服に何ヵ所も血が滲んでいる。
「親父か?
親父にやられたのか? 」
聖流は貴都李の肩を掴んで揺すった。
「くそお、ぶっ殺してやる! 」
聖流が駆け出そうとすると、真聖が怒鳴った。
「聖流、止めなさい!
人様の家の内情に首を突っ込むんじゃ無い! 」
聖流はギリギリして右足で地団駄を踏んだ。
「とにかく、怪我の手当てをしてあげなさい」
聖流は怒りに呼吸を荒くして、貴都李の腕を自分の肩に回して立たせた。
リビングの長椅子に座らせると、真聖が救急箱を持って来た。
貴都李が着ているシャツをそっと脱がせると血が傷口から流れ出していた。
聖流は綿棒に消毒液を染み込ませて傷口を静かに拭いた。
血は次々と流れた。
痣と傷だらけの身体を見ているだけで聖流は、歯を食い縛らなければならないほど怒りが込み上げた。
「救急車を呼んだ方がいいかもしれないな」
真聖は傷の様子を見て言った。
着替えて聖流が家の前の道路で待っていると救急車は直ぐに来た。
救急隊員たちが来るとその内の一人が聖流に事の成り行きを訊いて来た。
聖流は貴都李が養父に虐待を受けている事などを話した。
ストレッチャーで貴都李を救急車に乗せると聖流が付き添いとして付いて行った。
救急車の中で貴都李は聖流に仕切りに謝っていた。
「聖流君ごめん
迷惑かけてごめん........」
聖流は怒りで何も言う事ができなかった。
貴都李は近くの病院の救急治療室に運ばれた。
救急隊員が看護婦と話していると聖流の耳に児相、警察と言う単語が聞き取れた。
聖流が待合室で椅子に座っていると、貴都李の養父と母親と思しき男女が来て、母親が看護婦に色々質問されている間、養父は椅子に座ってイライラと足で床をならしていた。
母親は看護婦に何度も頭を下げて、聖流に気付くと聖流の傍に来て、お世話を掛けて申し訳ないと何度も頭を下げた。
聖流は返事をする気にもなれなかった。
母親が養父の処に戻ると、養父は忌々しそうに言った。
「なんで俺が、あんな餓鬼の為にこんな処に居なきゃなんないんだ! 」
聖流はその言葉に怒りが爆発しそうになった。
立ち上がると聖流は養父の前に進み出て、養父を睨み付けて言った。
「貴都李の身体を見て病院が児童相談所と警察に連絡したみたいだ
あんたが貴都李にして来た事は立派な傷害罪だ
楽しみだよ、あんたみたいな奴に罰が下るのは」
「なんだと、この餓鬼! 」
養父が聖流の胸ぐらに掴みかかった。
胸ぐらを掴まれても聖流は顔色一つ変えず、養父を睨み付けた。
母親が養父にしがみついて言った。
「よそ様の子供に手を出したら大変な事になる」
養父は舌打ちして聖流を離した。
聖流は踵を返すと病院を出た。
読んで戴き有り難うございます。
貴都李の章、後三話で終わります。
次の聖詞の章では隆一朗の藤岡沙夜子とのいきさつが明らかになります。
姐御、もとい、水渕成分様が復活しました❗
私がなろうライフを楽しめるのは、やっぱり姐御に出逢ったと言うのが、とても大きいです。
だから、姐御の居ないなろうは私にはあり得ないので、本当に淋しかったです。
姐御、お帰りなさい❗❗
早速、感想を戴き「異世界から来た女王蜂様は働き方改革を断行します」も休む事無く更新されました。
ひゅーひゅー、パチパチパチパチ。(⊃¨⊂)
さすがですね❗
水渕成分様、まだお仕事も落ち着いてないのですが、ご苦労様です。
そして、有り難うございます。




