告白
読んで戴けたら嬉しいです。
どれくらい時が経ったのか、目を覚ますと聖詞が心配そうに聖流の顔を覗き込んでいた。
聖流は突かれたように飛び起きた。
「聖詞、何処か怪我してないか? 」
聖流は聖詞の身体を調べた。
「うん、大丈夫」
聖詞はけろっとして言った。
「でも、貴都李さんが.....」
「貴都李! 」
聖流は慌てて仰向けになって寝転がっている貴都李の傍に駆け寄った。
「貴都李! 」
聖流は貴都李の身体を揺すった。
貴都李はゆっくり目を開いた。
聖流に気付くと微笑んだ。
「良かった......」
聖流は貴都李の手を握って額に当てた。
「有り難う
有り難う、貴都李」
貴都李はじっと虚ろな目で聖流を見詰めた。
「そんな事されたら、胸が苦しいよ
だって、ボク聖流君が好きだから........」
「え? 」
聖流は顔を上げると貴都李を見詰めた。
二人は暫く見詰め合った。
そっと近付く聖詞に貴都李は気付いた。
聖詞は人差し指を口に当てて微笑み、聖流の真後ろまで来ると、聖流の頭に昆布の塊を載せて叫んだ。
「昆布ウィッグう!! 」
聖流は頭からびろびろと昆布を垂れ下げて静止した。
貴都李はこらえきれず吹き出し、声を上げて笑い出した。
「さぁーとぉーしーぃ
こいつ、こらっ! 」
聖流は逃げ回る聖詞を追い駆け回し、捕まえると聖詞の胸や腹をくすぐった。
聖詞はキャーキャー言って脚をじたばたさせた。
貴都李は起き上がると、眩しそうにその様子を眺めていた。
帰りの汽車の中で、疲れ切った三人は人目も憚らず寝捲り、危うく降りる駅を乗り過ごす処だった。
駅から出ると夕陽が朱い色を伸ばし、雲を彩っていた。
聖詞を真ん中に手を繋いで歩いていたが、聖詞は数メートル歩いただけで居眠りした。
それに気付いた聖流は手を離して屈んだ。
「ほら、聖詞」
聖詞は目をこすりながら聖流の後ろに立つと聖流におぶさった。
「貴都李
お前を下僕から友達に昇格してやるよ」
聖流は聖詞を背負い上げて言った。
「命の恩人だからな、敬意を払って異例の昇格だ
有り難く思え」
「とても敬意を払った言い方とは思えないけど嬉しいよ」
貴都李は笑った。
「お前がオレにどんな感情を持とうが勝手だが、オレはそれには応えられない」
「解ってるよ、そんな事」
貴都李は聖流を見ずに言った。
その後、二人は無言で歩いた。
だが、貴都李は倖せだった。
好きな人と一日中海で遊び、好きな人が自分を認識して一緒に歩いている。
貴都李の儚い恋心は、それだけで充分満たされていた。
別れ道に差し掛かると聖流は貴都李に向き直った。
「今日は本当に有り難う
お前が居なかったら今日がオレと聖詞の命日になる処だった
オレは性格はSだけど、恩には篤い男だからな、この恩は必ず返すよ」
「ボクこそ有り難う
こんなに楽しかったのは何年振りかだよ」
「じゃあ、オレこっちだから」
聖流が歩き出すと、貴都李は聖詞をおぶるその後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから、深いため息をつき歩き出した。
読んで下さり有り難うございます。
私、このシーンは大好きです。
多分、貴都李が一番倖せな時だったのじゃないかと思います。
聖流編はスピンオフで人気無かったけど、凄くお気に入りの作品なんですよ。
自分では、とても劇的なストーリーだなあって思ってます。
だから、読んで下さる方いらっしゃると凄く嬉しかったです。
最後まで、お付き合い戴けると嬉しいです。




