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【第35話】散りゆく不純物と忍び寄る掃除人

いつもお読みいただき、本当にありがとうございます!


絶体絶命の危機に駆けつけた魔族の幹部・リターニア。

「お話は終わりよ」の冷徹な一言とともに、ガイゼルを完全に縫い止める制圧魔導が放たれます!


仲間を喰らい、暴虐の巨腕を振るう外道な頭領に対し、ユーリの【手】がすべてを終わらせる剥ぎ取りを敢行!

そして仲間全員の怒りの必殺技が炸裂する、超ド級の『ざまぁ』完全決着!


大破した広場に静寂が戻った後、闇の中から現れる「あの掃除人たち」の暗躍にもご注目ください。


第2章クライマックスバトル、どうぞお楽しみください!

「お話は終わりよ」


リターニアの冷徹な宣告が、張りつめた夜の静寂を切り裂いた。

その双眸に宿る魔族の真紅の光が妖しく輝き、掲げられた細い指先から、人間が扱う魔導とは根底から次元の異なる禍々しくも静謐な暗黒のマナが渦を巻く。


「——真冥の鎖陣・黒銀の重力縛鎖(ヘイン・グラヴィタス)!」


天空の虚空が軋み、空間の裂け目から無数の黒銀色に輝く重力鎖が雨あられのごとく降り注いだ。


ジャラララッ、ドガァァァンッ!


「グ、ガァァッ!?」


部下を喰らい、常軌を逸した巨体へと肥大化していたガイゼルの身体へ、幾重もの黒銀の鎖が容赦なく突き刺さり、四肢を石畳へと力任せに縫い止める。

地面が蜘蛛の巣状に陥没し、どれほど暴虐の巨腕を振り回そうとも、魔族幹部が放つ絶対の制圧力の前には指一本動かすことすら叶わない。

完璧なる、絶対の隙。


「ユーリ、いまよ!」


リターニアの鋭い声が響き渡る。

ユーリは迷うことなく前傾姿勢で石畳を蹴り抜いた。

その【眼】には、刺客たちを強引に捕食・融解させて取り込み、増幅装置の暴走回路と不気味にドロドロと絡み合っている【黒紫色の巨大な不純物】が、脈動する巨大な核として鮮明に捉えられていた。


世界の調和を歪め、命を冒涜する醜悪な澱み。

ユーリはガイゼルの懐へと飛び込み、両手を剥き出しにして、黒紫色の不純物の中心部を力任せに鷲掴みにした。


ガシィッ!


指先に伝わってきたのは、分厚い鉄板に焼き付いた強力なテープを素手で強引に引き剥がそうとするような、生々しく硬質な抵抗の手応え。


皮膚を裂くようなノイズの奔流が両腕を襲うが、ユーリの足は一歩たりとも退かない。

背負ってきた仲間たちの想い、そして見過ごすまいと誓った不退転の意志を両腕の筋力へと注ぎ込み、喉が割れんばかりに叫んだ。


「剥がれろぉぉぉーーーーッ!」


全身全霊を乗せ、力任せに腕を振り抜く!


——ビリリィーー……ッ!


空間そのものが引き裂かれるような、凄絶な剥離音が夜空へと炸裂した。


ガイゼルの肉体と増幅装置、そして喰らわれた刺客たちの残留マナを不気味に繋ぎ止めていた巨大な不純物が、まるで強固なテープを引き剥がされたかのように、根底から一瞬にして破砕・霧散していく。


「ギ、ギャァァァァァッ!?」


不純物という根源のエネルギーを強奪された増幅装置の試作品は、その瞬間に脈動していた光を失い、ただの不活性な鉄屑へと変わり果てて石畳へと転がり落ちた。


同時に、部下を取り込んで肥大化していたガイゼルの右腕が、マナの結合を断たれたことで急激に崩壊を始める。膨れ上がっていた筋繊維が悲鳴をあげて縮小し、体内へ無理やり押し込められていたマナが激しい逆流を引き起こした。


ボキボキ、メキメキと骨が逆方向に軋む凄惨な破壊音。


「グギャァァァァァッ! 俺の……俺の秘術が、破壊の腕がぁぁぁっ!?」


ガイゼルは血を吐き散らしながら地面を転がり、激痛に顔を歪めてのたうち回った。

だが、あれほど残虐に仲間を喰らい、街を蹂躙しようとした男の瞳には、いまだ狂乱と醜悪な負け惜しみが爛々と滾っていた。


「ふざけるな……! 許さん、許さんぞぉぉぉっ! てめぇらみたいな下等な生物に、仲間を喰らって至高の存在へと生まれ変わった俺が負けるわけがねぇんだ……! 殺してやる、生かして返さねぇ……全員八つ裂きにして食い千切ってやるぁぁぁっ!」


反省の色すらなく、口から泡と鮮血を撒き散らしながら呪詛を吐き散らすガイゼル。

その醜態の前に、ユーリの仲間たちが怒りの形相で一斉に歩み出た。


「身の程を知りなさい!」


メリッサが杖を掲げ、高密度の重力球を凝縮させる。


「極大集束魔導・重圧の槌《グラビティ・ノヴァ》!」


天空から降り注いだ圧倒的な質量の不可視の槌が、立ち上がろうとしたガイゼルの膝を容赦なく叩き潰し、石畳深くに圧殺・沈下させた。


「ぐああぁぁぁっ!?」


「魔導商都グランデールの住人を踏みにじった罪、その身で償えッ!」


ルシアンが完全循環させた莫大な魔力を宿し、聖大剣クラドを豪快に振り抜いた。


「地破連撃《ちはれんげき》!」


ズドォォォォォンッ!


大剣の強烈な峰打ちが、残っていたガイゼルの異形の痕跡を回路ごと粉々に叩き折り、衝撃波でその巨躯を宙へと跳ね上げる。


「ユーリ様たちの平穏を脅かす悪党に、絶望の冷気を与えますわ!」


エリアナが冷徹に氷の聖剣を大地へと突き立てる。


「氷華絶開《ひょうかぜっかい》・絶対零度《ぜったいれいど》の楔《くさび》!」


パキパキパキッと青白い冷気が走り、宙に浮いたガイゼルの四肢を極寒の氷爪が捉え、地面へ縫い付けるように完全に凍結・拘束した。


「これでお仕舞いよ! 我が秘伝の忍術、喰らいなさい!」


キャシーが影から疾風のごとく躍り出る。


「忍法 影爪《かげづめ》・飛斬連撃《ひざんれんげき》! 」


電光石火の爪撃が急手を寸分違わず撃ち抜いた。


「ア……ガ、バッ……!?」


仲間たちの怒涛の連続攻撃を浴びせられたガイゼルは、白目を剥いて泡を吹き、二度と立ち上がれない無惨な姿で完全に昏倒した。




傲慢を極めた頭領が沈黙し、広場には静寂が戻った。

周囲を覆う『虚無の遮断領域』の薄い皮膜が、静かに外の世界からの視線を遮断し続けている。

シエラが黒刀を静かに鞘へと納め、リターニアの前へと歩み寄り、深々と頭を垂れた。


「リターニア様……お救いいただき、心より感謝いたします」


「礼ならユーリに言いなさい。シエラを助けるために、私のお願いすら蹴り飛ばして全力を尽くした男なんだから」


リターニアは悪戯っぽく微笑むと、ユーリへと視線を移した。その知性的な瞳が、柔らかく細められる。


「約束を守ってくれて……本当にありがとう、ユーリ」


「当然のことをしただけだ」


「ふふ、そういうところが憎めないのよね。……行くわ。長居すると怪しまれるもの」


リターニアがそっと手をかざすと、空間を満たしていた遮断領域が、朝霧のように静かに溶けて消え去っていった。

屋根の端に軽やかに飛び乗ったリターニアは、翻る夜風の中で振り返り、優しく微笑んだ。


「また会いましょう……私の大切な人」


その姿は、夜の闇へと溶け込むように滑らかに消え去った。


「私も行くよ。魔族がここで長居しているわけにもいかないからな」


シエラがユーリに笑いかける。


「また会えるかな」


「ああ、きっと。お互いが理解するには時間が必要だ」




遮断結界が消滅した、まさにその直後であった。


「……ウ、ァァァァッ!」


「オオォォォッ!」


広場の隅に転がっていた『漆黒の影』の残党刺客たちが、突如として異様な叫び声をあげて立ち上がった。


ガイゼルに無理やり捕食されかけた影響と、暴走したマナの毒気に当てられたことで、彼らの精神は完全に崩壊し、正気を失っていた。血走った眼球を濁らせ、人の言葉を失った狂乱の獣と化して、無差別にユーリたちへと襲いかかってくる。


(正気を失っている……! 止めるには、息の根を止めるしか……!)


戦う意志や覚悟を持たない者——ましてや狂気に呑まれた無力な人間を直接手にかけることに、ユーリの足が一瞬だけ躊躇いを見せた。


その刹那——。


闇の帳を破り、気配すら漂わせずに数人の黒装束の男たちが滑り込んできた。


シュッ、トンッ。


無駄のない洗練された動作。飛び込んできた男たちは、狂乱する刺客たちの喉元や延髄の急手を瞬時に突き、一切の苦痛を与えることなく、電光石火の手際で命を絶ち、完全な沈黙をもたらした。


「なっ……!?」


ルシアンが剣を構え直すが、男たちに敵意はなかった。

男たちのひとりが静かに一礼し、穏やかな声でユーリへと告げた。


「今回は私どもを頼ってきてくださったので、サービスさせていただきますよ」


男たちが左右へと道を開けると、その後ろから作業着姿の男が、煙草の煙をくゆらせながらゆっくりと歩み出てきた。

タートル清掃会社の店長——ハリスであった。


「やあユーリ君、見事な解決だったね」


ハリスは足元に転がる刺客たちの躯を一瞥し、穏やかな笑みを浮かべた。


「綺麗な街に『不純物』を残しておくわけにはいかないからね。ここからの処理は、本職である私たち清掃会社に任せてくれるね?」


帝都の暗殺部隊の死体、そして事件のあらゆる痕跡を、裏のルートで完璧に事故として処理する手はずが、ハリスの凄腕の手腕によってすでに整えられていた。

ユーリはハリスの静かな、底知れぬ眼差しをまっすぐに見つめ返した。


「……助かるよ、ハリス店長」


「なぁに、街を綺麗にするのが仕事ですから」


ハリスは短く笑い、煙草の吸い殻を携帯灰皿に収めると、真剣な瞳でユーリを見つめた。


「……これからも、私を疑い続けてくださいね」


「……ああ」


相容れない立場でありながら、奇妙な均衡で結ばれた二人の視線が交錯する。

ハリスの部下たちが手際よく現場の清掃を始める中、魔導商都グランデールの地平線から、眩い朝陽が静かに昇り始めていた。

第35話をお読みいただき、ありがとうございました!




リターニアの『黒銀の重力縛鎖』による完璧な足止めから、ユーリの全身全霊の素手剥ぎ取り「ビリリィーー……ッ!」!


増幅装置も暴走マナも根こそぎ引き千切られ、元の腕に戻って激痛にのたうち回るガイゼル!




往生際悪く呪詛を吐き散らす悪党に対し、メリッサの重圧、ルシアンの剛剣、エリアナの氷結、キャシーの爪撃による怒涛のフルボッコ……! まさに溜まりに溜まったヘイトを一気に吹き飛ばす、最高にスカッとする『ざまぁ』大回収でした!




そして、遮断領域が解けた後に訪れたリタとの静かな別れ。


「また会いましょう……私の大切な人」という言葉を残して夜闇へ消えるリタの姿には、思わずグッときてしまいますね。




さらに、正気を失った刺客たちの暴走を瞬時に処理したトータス清掃会社・ハリス店長の手腕。


「これからも、私を疑い続けてくださいね」という言葉が、清濁併せ呑む裏社会のスパイとしての凄みを感じさせます。




激動の夜が明け、昇りゆく朝陽——。




次回、激闘を終えた『酔っ払い亭』で大混乱の朝食がスタート!?


帝都から着替えを持って戻ってきたシエラ、そしてユーリを巡るヒロインたちの「正妻争奪戦」が勃発します(笑)!




【読者の皆様へのお願い】


もし少しでも

「ガイゼルへのざまぁが最高にスッキリした!」

「ユーリの剥ぎ取りが熱い!」

「リタとの別れやハリスの暗躍に痺れた!」

と思っていただけましたら、画面下部にある【☆☆☆☆☆】を**【★★★★★】**にして応援していただけると、毎日の執筆の大きな力になります!


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【3連休特別企画! 1日5話・怒涛の一挙更新中!】

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いつも本作をお読みいただき、本当にありがとうございます!


10月10日(土)〜 10月12日(月・祝)の3連休は、

感謝を込めて【毎日5話ずつ(3日間で計15話)】の超・連続更新でお届けします!


■ 連休中の更新時間(1日5回)

【朝 07:40頃】/【昼前 11:40頃】/【午後 15:40頃】/【夕方 18:40頃】/【夜 21:40頃】


連休のお供に、ユーリたちの熱い戦いと逆転劇をたっぷりお楽しみください!


「更新を見逃したくない!」「面白い!」と少しでも思っていただけましたら、

ぜひ下の【ブックマークに追加】や、評価の【★★★★★】をタップして応援していただけると、執筆の大きな力になります!

次回もお楽しみに!

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