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第21警備隊隊長、奔走中!  作者: 桜木るさ


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第21話 ゼリスの独白

 僕には弟がいた。


 名前はテオン。


 僕より6歳下だった。


 とても可愛くて、僕はよく構っていた。可愛がりすぎてしまった。


 話は変わるが、僕の氷の魔素吸引体質は先天的なもので、常に体質を抑える魔術具を使っていた。


 ただ、珍しい体質だからか、借りるのにさえお金がかなり必要だったそうだ。


 富裕層ではない僕の実家では、ずっと支払い続けるのがとても難しかった。なので、初等学校で習う魔法を習う事になった。


 幸いな事に母が初等学校の教員だったので、5歳の時には氷魔法のみだが使えるようになった。


 僕は何度も何度も氷魔法を使った。


 使えば使うほど、自分の身体から寒いのが少しであっても消えて嬉しかったし、上手に使えると両親はたくさん褒めてくれたから。


 半年も経てば、小さな物なら物を模したものを作れるようになった。普通に氷魔法を使うよりも楽しくて、たくさん作った。


 たくさん、たくさん。


 あの日も、たくさん作った。


 両親は仕事に行っていて、テオンと2人で留守番をしていた。


 1歳を過ぎ、歩けるようになったテオンは僕が作った氷像に手を伸ばす。


 目の前で作ってあげるとキャッキャッと笑って喜んでくれた。


 可愛い弟が僕の作ったもので喜んでくれる。


 普段僕の周囲は魔素が集まる所為で冷えているので、テオンが寒くなっちゃうから直接触っちゃ駄目だと言われていた。


 直接触れる事は出来なくても笑顔にする事が出来た。


 嬉しかった。だから、夢中になって氷像を作った。


 一度テオンは大泣きしたけれど、手袋をしてミルクをあげたりおむつを変えてあげた。気が付くと、テオン眠ってしまった。


 でも僕は起きた時に喜んでもらえるように、たくさん作った。


 夕方になり母が帰ってきた。


「ねぇ、見て見て!」


 母の手を引き、テオンとたくさん作った氷像の元に連れていく。


 すると、母は慌ててテオンを抱っこした。直ぐに別の部屋に走っていってしまった。


 そこからは、よく覚えていない。母が慌てて外に行き。真っ青な顔をした父親に病院に連れて行かれた。


 その後、何人かの大人達に今日は何をしていたのか聞かれた。


 それから、テオンに会えなかった。


 テオンに会えなくなってから、1週間が経った。


 黒い服を着た親戚が家に集まった。


 そして、儀式が始まった。


 そこでやっと僕は分かった。


 テオンが死んだ事に。


 儀式には見覚えがあった。数ヶ月前に曽祖父が亡くなった時に行った儀式と同じ、見送りの儀式だったからだ。


 見送りの儀式が終わって、テオンが死んでからも僕は成長し続けた。


 成長し続けて、ふと、どうしてテオンは死んだのだろう、と思った。


 そこでやっと理解した。


 僕が弟を、テオンを殺してしまった事に。


 最初は悲しみだけだったテオンの死に、段々と罪の意識が強くなっていった。


 成長すればするほど、理解してしまう。


 テオンが死んで数年経ってから分かった事だが、魔素吸引体質は本人の魔力に反応するらしい。


 だからあの日、テオンの近くに置いた僕の魔力で作った氷像の周りにも氷の魔素は反応して集まっていたんだろう。なんの抵抗も出来ない1歳のテオンを殺すには十分すぎるほどに。


 自分が人殺しだと理解した僕に両親は、殺した罪は消えないけど、それ以上に人を助けなさい、と声をかけた。


 その言葉に僕は縋った。そうしないと潰れそうだったから。


 そして、人を助けるのが仕事の自警団に就職する事を決めた。伝えた時、両親は喜んでくれた。


 人殺しがこんな職業に就いていいのか、胸の奥にずっと黒いモヤを抱えたまま仕事を続けた。今もそのモヤは消える事なく僕の中にある。


 見習いを終え、正式な団員として何年か働いていると、1つ後輩のルミリアさんが第21警備隊を作り、隊長になった事を知った。


 その隊員を探しているという事を聞き、僕は手を挙げた。


 ルミリアさんなら、僕のモヤを理解してくれるかもしれない。だから、僕はルミリアさんが隊長の第21警備隊に入る事を決めた。


 初期の隊員という事で面接のようなものがあった。その時に、家族と医者しか知らないテオンの死についても話した。


 ルミリアさんは僕を肯定も否定もしなかった。


 そうして、僕は第21警備隊の隊員になった。

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