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異世界防衛隊  作者: とも
さよなら高校。ようこそ異世界防衛隊へ。
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14.病室内


「….ううん」


 今の時間は、8時頃、社会人が出社してくる時間帯だ。

太陽も登り始め、地上に直射の光と熱で空間を温める。

その光が顔に差し、有里の口から苦悶の声が漏れる。

しかし、意識が徐々に出てきた。

数分後、有里は目を開けた。


「….もう朝?」


 有里は、上半身を起こし、目を擦る。

まだ眠たいのか、いつもの元気な表情はない。

覚醒状態には程遠いが、いつもと違う部屋へ視線を向けた。

部屋は、白色。

光も合わさって、純白色に引き出される。

そして、微かな化学薬品の匂い。

その部屋で白い布団に寝ていた。

彼女は記憶から引っ張り出し、答えを導き出す。


「病….室?」


 あまり見慣れていない場所に有里は、意識がはっきりしない表情で目を動かす。


「あれ?起きたの?」


 横から少女の声がした。

有里は、横に視線を向ける。


そこには、真っ白な髪、微笑んだ顔。

有里は優しさの醸し出すその顔を、いつも見慣れていた。

神楽坂 無月だ。


「無月….」


「うん、おはよう」


 有里も朝の挨拶を返答する。


「おはよう」


 有里は、まだ覚醒しないのか、目が点になっている。

しかし、意識が覚醒し始め、徐々にかっぴらく。


「無月?」


「うん、何?」


無月は、微笑みを絶えないまま、首を傾げた。

数秒後、有里の体が止まった。

その後、


「無月いいいいいいいっ!!」


有里は、両手を前に出し、無月に突撃した。

それは、猪突猛進する勢いに感じた。

無月もそれに反応する。

しかし、


「ちょっと!?勢いがつよっ!!」


 驚嘆の意味でだが。


 そのまま、有里の突撃をモロに直撃し、吹っ飛ぶ無月。

勢いを殺せず、部屋の壁に直撃した。

衝突が静寂な病室に重く鳴り響く。


「いっっっっっっった~~~!!」


 後頭部を壁に直撃した無月は、大声で叫んだ。

そして、重力に沿って、2人は病床に倒れこんだ。


 無月は、頭を両手で抑える。

痛みが引かないのか、体を蹲る。

無月は、この痛みを引き落とした元凶に視線を落とす。

無月の体を抱きしめ、顔を押し付けていた。

表情が見えない

無月は、叫んだ。


「痛いよ!?」


 しかし、有里からの返答がこない。

子が母にしがみ付くように離れない。

無月は、怒りが収まらず、口を開いたが、


「….うう、無月~生きててよかったよ~!」


 有里の顔を見て、口撃できなかった。

無月の為に涙を流す有里。

無月は、ため息を吐き、有里の頭に手を置いた。


「もう、生きてるよ?だから、泣かないで?」


有里は、頭を何度も振る。


「やだ~!!」


 いつもと変わらない彼女の行動に思わず笑う無月。

再度、無月は、ため息を吐いた。

しかし、先ほどと違い口辺から笑みを浮かべる。


「もう….仕方がないなあ~」


 彼女は、有里が落ち着くまで頭を摩る。

有里が、感情を露わにするのには、二度々会えないと思っていたのだ。

奇跡という状況に、有里は奥歯を噛みしめ実感する。

彼女らの心電図の音だけが病室に鳴り響く。

それは、地獄の時間から解放された、生きているという祝いの音だった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「で、これはどういう状況ですか?」


 二人で共感した時間が終わり、再び地獄の時間が訪れる。

有里と無月は、ベットに座り、頬から汗が垂れる。

目の前にいる人物から発せられる圧が肌に突き刺さっている。

看護師だ。

彼女は、冷めた目で2人を見ていた。


「神楽坂さん」


「はっ、はひ!」


 突然の名指しに、無月も変な声が出る。

しかし、看護師の背後には鬼面した背後霊が見える。

拒否などできなかった。

無月は、口を震わせ意を決したように


「綾瀬 有里さんがすべて行いました!」


「無月!?」


 親友を売った。


「なんで!?無月も大声出したじゃん!」


「それは、有里が突撃したからでしょ!!

死ぬ間際までいって生還したのに、まだ死にたくないよ!!」


 無月と有里の二人で、口論が始まった。

それは子供が行う口論に等しい、論理もおかしな内容ばかり。

加えて口論もヒートアップし、有里は無月の髪や頬を引っ張り出す。

無月も同じく引っ張る。


「はらして!」


「そっちもはらしてよ!」


 二人は、口を引っ張られて、言葉の滑舌が悪くなる。

どちらも痛いのか、涙を目に貯めていた。

子供の喧嘩を行う二人は、どんどん過激になろうとしていた。

しかし、目の前いる看護師の圧により静止される。


「….2人の意見は分かりました。

しかし、ここは病院。安静にされている患者様もいらっしゃいます。

――お静かに」


 二人は即座に両手を収め、土下座を行った。


「「すみませんでした!!」」


「うるさい」


「「はい」」


 二人は、頭を下げ、表情全体が沈み込んだ。

両親に怒られた子供の用に落ち込んだ二人に

看護師がため息を吐く。


「私は、病室で暴れている患者様がいるとしか聞いておりません。

その止めるために来ただけです」


「「すみませんでした」」


 謝罪する2人。

彼女らの行動が、病院内に響き渡り今に至っている。

結局、彼女ら。特に有里の事業自得なのだ。


「謝罪は受け取りました」


「しかし」と言う看護師。


「2人とも元気そうで何よりです」


 看護師は、微笑んだ。

その顔は、安心したような安堵した表情だった。


「ここに来たときは本当に焦りましたよ。

 無傷なのに、大量な血痕を残して運ばれていたんですもの

 ――本当に無事でよかったです」


 看護師の言葉に数秒固まる有里と無月。

しかし、徐々に明るい顔に変わる。

看護師も。心配してくれたのだ。

胸の奥が温まったように感じた。


「「ありがとうございました!!」」


「うるさい」


「「すみません」」


 病室には、心電図の音だけが響いていた。

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