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19/31

19、主演作品

閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

m(_ _)m


励みにしております。

「おはようございます!」


 三花ちゃんが元気良く挨拶をする。

ここは某TV局。番組収録する為に訪れた。

まずは台本の読み合わせが行われ、セリフの確認をした後実際に動きを伴いながらの演技の稽古をした。

三花ちゃんは幼稚園の頃から歌手としてデビューして約8、9年だけど、本格的に顔出し芸能界デビューしてまだ数年しか経っていない。


 芸能界の大御所の方々や先輩、後輩、スタッフまで分け隔てなく挨拶と握手していく様に皆好印象を持ったみたいだった。


 「なにかあれば相談してね。」


 とある大御所の方にそう言ってもらえた。


 大御所の方々と言えば、将来大御所と呼ばれるであろう方々もこの頃は若手の俳優、女優として頑張っていた。


 「みかんさん、初めまして。貴女の活躍は聞いてるわよ。」


 前々世でファンだったアイドルに言われて、僕は喜んだ。

何しろあの頃はTV越しの遠い存在だったから、こんなにも近くでしゃべれるとは夢にも思っていなかった。


 「初めまして。この度は宜しくお願い致します。」


 と三花ちゃんは返す。


 《雄蔵君、何デレデレしているの?》


 《いや、夢にまで見たファンだった芸能人に逢えたんだ。とても嬉しいよ。》


 《そうなんだね。私も憧れの方々に逢えて嬉しいわ。》


 三花ちゃんも喜んでいる様だが、これ以上は嫉妬を買いそうだと思い自重した。




 顔合わせの挨拶も終わり、いよいよ撮影本番になった。

流石はベテランである俳優、女優の方々。演技がとても上手く撮影も佳境に入っていった。


 いよいよ三花ちゃんの出番になり、そつなく演技をこなしていた。

これには出演者、撮影スタッフ一同も驚いていた。何しろ演技は素人と思われていたからだ。


 監督は撮影映像を確認しながら、


 「いいよ。いいよ。みかんちゃん。初めてにしては上手だよ。この調子。この調子。」


 と上機嫌だった。


 そうこうしている内に無事撮影が終了し、始めは三花ちゃんにあまり意識していなかった人まで夢中にさせた。


 衣装は年相応なセーラー服で下にブルマを履いていた。

スタッフの中には三花ちゃんのファンになった人も多く、芸能人の方々も魅力に引き込まれていた。


 思いの他予定よりスムーズに撮影が終了したので、急遽2本目も撮る事になった。

改めて台本を渡され本読みがされ、大道具の方々がセットを設置し直していた。

2本目は体育の授業風景で三花ちゃんも体操服に着替えて撮影された。

1本目はセーラー服を着ていたのであまり目立たなかったが、体操服に着替えると幼い顔立ちとアンバランスな身体つきが強調されてわき役ながら主役を食ってしまいそうな破壊力だった。


 三花ちゃん本人としてはわき役に徹していたが、監督が主要人物に抜擢した。

カメラも主役を通して遠巻きに三花ちゃんが映されており、出演者の方々も監督の英断に賛同していた。 


 スポンサーの方々も撮影風景を見ており、後日CMオファーが来たのは自然の流れと言っても過言ではないだろう。


 なんだかんだと1日が早くも経過して、三花ちゃんが帰宅する時間になった。

 監督が、


 「みかんちゃん、また頼んだよ。」


 「ありがとうございました。こちらこそ初めての経験で緊張しましたが、とても楽しかったです。また宜しくお願い致します。」


 と三花ちゃんが言い、帰宅の途についた。



 三花ちゃんと僕がタクシーで帰宅している頃、芸能事務所社長、スポンサー、監督等主要スタッフが集まってとある会議がなされた。


 「どうでしたか?うちのみかんは。」


 社長が言うと、


 「みかんちゃんは話題性抜群だと思います。ぜひともCM契約を結びたいと思います。」


 スポンサーが言う。


 「みかんちゃんはまだまだ原石。これからが期待されますぞ。」


 監督が言った後、参加者一同が頷いた。


 「今日初めて演技したとは思えないくらいうまかったですからね。今後は主役もありえるでしょう。」


 スタッフの1人が言う。


 「あとは本人のやる気次第だね。みかんは真面目で努力家だから問題無いと思うがね。」


 社長が言うと誰かが、


 「みかんちゃんは実生活では生徒会長をしているそうではありませんか。今度役に抜擢しませんか?」


 と提案してくる。


 「では、生徒会の一員で会長にほのかな恋心を寄せていると言うのはどうだろう?」


 「面白そうだね。で、相手役はどうする?」


 「無難にオーデションがいいと思います。話題性も含めて一般からも募集したらどうでしょうか?」


 「そういえば一般人と言えば、みかんちゃんの付き添いの彼なんかどうだい?彼の前なら素の姿を見せていただろう?」


 社長が言う。


 「確かに彼女らを見ていると仲睦まじい光景に見えましたな。一応彼にも打診してみましょう。」


 スタッフが答える。


 『きっと彼が受かるだろうな。まさにお似合いのカップルだからな。』


 社長が心の中で呟いていた。


 『雄蔵君、是非とも受かってくれよ・・・。』


 淡い期待を寄せて、役柄とは言え2人の成就に思いをはせた。

この時はまさに2人が成就するとは夢にも思ってはいなかったが・・・。




 新進気鋭のみかんちゃんとの共演が出来るとあり、オーディション希望の数が増えた。

その中に僕もいる。この話を聞かされた時、ぜがひでも受かりたいと言う気持ちが沸き起こった。

まずは書類選考の1次審査。面接の2次審査。を無事くぐり抜け後は三花ちゃんと実際にワンシーンを演技する段階までこぎつけた。

 プロ、アマ問わず数名が最終オーディションを受ける事になる。

朝三花ちゃんは僕にエールを贈りつつ先にオーディション会場に向かった。


 僕は会場に着くとさっきばった視線を浴びた。

よく見ると観た事のある芸能人達ばかりで、一般人は僕1人だけだった。


 最終オーディションが始まり、プロの役者達の演技に圧倒された。

三花ちゃんは輝いていた。プロの方々が魅力を引き立ててくれている。

最後に僕の番になり、プロデューサー並びに面接官が普段通りに演技。もとい行動して下さい。と意味深な言葉を投げかけてきた。


 生徒会長と一役員と言う役柄だけど、彼女の喜怒哀楽を表現させて面接官達はあっけにとられていたと思う。

こんな短時間で三花ちゃんの感情を色々変化させたのだから。

後日聞くところによれば素の状態をさらして自然体だったのは僕に対してだけであり、

他のプロの役者の方々には逆に緊張したのか演技が目立つ状態だったらしい。

誰もが相手役としてうまかったけど、上手すぎるのが足を引っ張りぎくしゃくしていた。


 そんなこんなで三花ちゃんの初主演作品の相手役が僕に決定した。

台本を貰い確認すると僕と三花ちゃん2人にとってごく自然の演技が出来そうであり、

演技すると言うより、生徒会の役職が変わるだけで今まで通りごく普通にすればいい物だった。


 撮影初日、衣装に着替えていた三花ちゃん。

僕達の通う学校のセーラー服はごくありふれた物で、衣装のセーラー服も全く同じであった。

三花ちゃんのおうとつが良くわかるサイズであり、実際の普段でもだが役どころのキャラは普段からブルマを着用していると言う設定で、体育の授業シーンもあり素早く着替えが出来ると言う利点があった。


 僕ら男子生徒は学ランであり、これまた一緒だった。

違う所と言えば校章と名札、学年とクラスのバッジだけだった。


 舞台はとある中学校の僕扮する生徒会会長と会長に対しほのかに恋心を寄せる一緒のクラスの一介の生徒会役員の三花ちゃんが中心となり、2人が恋を成就させると言う王道の物語である。

球技大会でお互いに活躍する様や、勉強を教えてあげると言うまさに鉄板の内容であった。


 共演者を確認すると子役タレントが大勢出演しており、後世有名になった子もいる。

この時はまだ自分も含めあどけない顔立ちをしており台本の読み合わせ等に夢中になっていた。


 いよいよ撮影が始まる・・・。



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