私の永遠のライバル
『疲れちゃったなぁ……』
何やってるんだろ私
私はある意味で女性にはなれない
永遠に、子どもの侭だ
奇妙なお腹の痛みで診察中、急に担当の医師が触診でハッと顔が強張ったかと思うと急いでどこぞに内線で指示を出した
「こちらへどうぞ」
看護師の優しいお姉さんの案内で検査を受診したのはCTスキャン
ゴトゴトジージー五月蠅い機械音の中、体内の撮影
で結論ーーー私には「子宮が無い」
先天的に欠損して体内に存在しない事がわかった
約4,500〜5,000人に1人の割合で発症するというロキタンスキー症候群だ
幸か不幸か性器外陰部、及び卵巣は正常に機能しているとの検査結果
未だ1度も生理が来た事が無い
いつ来るんだろうか?
皆の話をへぇ〜っと、眩しい様に聞いているばかりの頃の私は何とお目出たく愚かだったんだろう
つまり女性として不良品、欠陥品
生涯子どもが産めないのだ
恋も愛も医学的に言えば、子どもを得る為に遺伝子に組み込まれた事だ
自分は一体何なんだろう
男でも
女でも無い
何の為に存在しているんだろう
生きてる意味、理由が無いじゃない?
両親は私をそっとしておいてくれた
学校は当然休みがちになった
ある日、気が付いたらいつの間にか1人で夕方、部屋着を無意識に着替えた外出着で電車に乗っていた
座席で揺られている今、全然記憶に無い
パッと見るとチャッカリお財布だけ手に持っていたのには笑えた
中を見ると小銭とお札と切符が1枚、金額は如何にも適当っぽいボタンを押したんだなってわかる
もぅいいや
どうでもいい
なんでもいい
車窓をボーッと眺めてたら急に海が見えた
水面が午後の傾いた日の光を受けてキラキラ反射して美しい
『わーーー』ーーーー懐かしいわ
この景色、覚えがある
コドモの頃によく両親と遊びに来た海だ
そうだ次の駅で降りる事にしよう
特に目的は無いけど、誘蛾灯に誘われる夏虫みたいよね、クスッと笑みが湧く
改札口から出る
何も考えずにひたすら歩く
頭空っぽにしコンクリート防潮堤の脇を歩き、観光用幅広の低い段差の階段を下がり砂場を歩く
ザザザーーーーーー
偽物でないおおらかな波の音が耳に心地よい
ひゃぁひやぁひやぁ〜……
カモメの鳴き声が遠く穏やかに聞こえる
フワッと懐かしい磯の香り
サラサラチャプチャプと、緩やかにうち寄せる水の音
耳に波の音が柔らかに届く
ふーーっと緊張が解れる、こんなのは久し振りの事だ
随分幾晩もグッスリ眠れなかったのを思い出した
気持ちがいい
暫く歩みを止めーーー
ゆったり隅々まで全身に太陽と空気を感じ
大きく足をーーー
輝く魅惑の、苦しみのない海に向かって真っ直ぐ歩き出そうとしたその時
「おい!」
急に何かが腕に絡みつく
?
振り返ると、どうしてだか『永遠のライバル』
遠夜が居た
頬をブルブル振るわせ、見た事もないほどコワイ顔、引きつった表情で私の腕をしっかり掴んでいた




