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私の気持ち ③


「いただきます」



今日の朝食は正統派の和食、両親とは違い、病み上がりの私にはふんわりお腹に優しい茶粥


優しい味の合わせのお味噌に、新鮮な小口切りの薬味ネギと爽やかな三ツ葉の香りが心を癒してくれる温かな汁物


甘塩の鮭の焼き魚


ほんのり甘いお出汁タップリのフワフワな京風だし巻き卵焼き


以上のこれらが、絶妙な塩梅の量で各各食材の色彩に合った器に盛りつけられていた


心配げな両親の視線の中、全部残らず綺麗に食べきった



********



「ねぇカレンちゃん……」



学校に登校しようと最後の身だしなみチェックを玄関の姿見の鏡の前でしていると、何故かいつだって明るいママが、奇妙に硬い表情でスルッと側に立つ


『ーーどうしたのママ?』


いつもあんなに元気なママ、何だか変よ?


「ねぇカレンちゃん」


訝しい顔の私に、ママは思い切ったような暗い貌でこんなびっくりなことを話し始めたのだ




「あのね? ママーーーあなたに謝らなくちゃいけない事があるの」


「?」


ママはスーーっと、一息を大きく吸った



「ママーーなかなか赤ちゃんに恵まれなかったの


だから どうしても欲しくって 頑張ったの、不妊治療


カレンちゃんが産まれた時ママ天にも昇る幸せな気持ちを味わったわ?


ーーーーーごめんなさい

ママがあなたにあいたいだなんて、赤ちゃんが欲しいだなんて


ベビーをこの腕に抱きたいだなんて我が儘さえ言わなければ


きっと神様からのコウノトリはあなたを、別の祝福された立派なお母さんのお腹に宿るように運んでくれたのに


ごめんなさい、私がママになってしまってゴメンね



病院で検査を受けたらーーー

偉いお医者様に身体的に年齢的に出来たとしても、移植手術は無理だって


でも食い下がったら、娘のあなたに体質的に適合しないから駄目だって告知されてしまったの


私の宝物のカレンちゃんを、健康な体に産んであげられなくって本当にごめんなさい

駄目なお母さんでごめんなさいーーー」



ママは両手で顔を隠し、ボロボロと泣きじゃくって身体を震わせていた



私はそんなママをそっと、何も言わずに柔らかに両腕で抱き締める



つよくつよくつよくーーーしっかり力を込めて抱き締める


ブルッと一瞬、素晴らしいスタイルの、背の高いからだが震えたのを腕の中で感じた



「ううん〜?ママは私の自慢のママだよ?

私はママ以外のお母さんから産まれて来たくないなーーー


絶対ママがイイ

今度生まれてくる時も絶対ママがいい!」



私がそんな事をうにゃうにゃ言うと、更に更にワアンワンワン大泣きした


だって世界で1番の大切で大好きなお母さんだよ??


そんなの当然でしょ?!当たり前じゃない


そりゃ喧嘩だってイッパイするけれど、ママの娘で生まれてきて良かったと本気で思ってるよ



大好きなママ


私の事をいつも真剣に大切に考えてくれている素敵なママ



私こそママをこんなにも悲しませてしまいゴメンナサイだよ……



最後にギュッーーーとママを強く抱き締めて


「行ってきます〜〜♪」



キラッキラのあえて明るすぎる声で家を出た



「途中までお送りしましょうか?」の自家用車の送迎は断った



でもママがそんな事を、まさかあんなにも思い悩んでいただなんて全然気がつかなかったなぁ



オバカさんな私は自分の事でイッパイだった

悲劇のヒロインにひたりこんでいた



体の事は〜あの心優しいママのせいじゃ無い


断じてないっっ!!



胸がギュッと、キリキリギリギリ切なくいつまでも痛んだ





私は空を見上げる




朝特有の爽やかな瑞々しい青空が頭上にどこまでもどこまでも大きく豊かに広がっていた




ググッと奥歯を嚙み締める

唇に力を入れる






ーーー私は負けない


だって決してひとりじゃない




私は絶対に負けない




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