私の気持ち ①
ーーーー私は遠夜に全部話した
深夜に急にぱちり、どうしてなのか?いきなり突然目が覚めた事
しゃくり上げながら正常な人が聞いたらば鼻で嗤う、呆れるような恐怖体験を全部晒して打ち明けた
『今何時?』なんて思う余裕なんて無く急に体が硬くなって
部屋に何か居る?!
恐怖でドキドキドキドキバクバクする鼓動が止まらず、心拍数が一気に跳ね上がり、けれど部屋にいるのが遠夜じゃ絶対無いのは何故かわかった事
禍々しい気配
ジーーーッと天井の上からベッドの上に横たわる私の体をベロベロなめ回すように見下ろしている視線を感じた事
床から滲み出すおぞまし過ぎる昏い気配があり、何かがベッドの裾からソロリソロリと私の上に乗り、ずしりとゆっくりゆっくり
静かにヒタヒタ体の上が重くなって恐怖を感じた出来事
ジワジワジワジワ胸の方までおぞましい気配が上がって来て、ヒヤリと身体中の皮膚、毛穴という毛穴がそそけ立ってチリチリした事
何かが私の事を、切れ間なく凝視する視線をハッキリ体感したこと
凄く怖かった事
全身ブワッと冷たい嫌な汗がわき始め、目が覚めてるから当たり前の如くに目を開け、必死に周囲を見ようと頑張って瞼を開けようとしたのだけれど
出来ない事に戦慄
経験した事の無い禍々しい恐怖
背骨まで震えた事
固くどうしてか、全然瞼が開かない事に余計に怯えたこと
しかし目を開いたら最後その途端、異形の悪い物に確実に体を深々貫くほど何かで突き刺され、襲われる気がした為怖くて
恐くて……
恐ろしくって
今からだと何もかも言い訳になってしまうけれど〜
私も言われたように音声でも、必死に何度も遠夜のことを呼ぼうと試みたんだけど無理だったこと
ピクリとも体はやっぱり全然動かず相変わらず瞼も開かず何も見えなかった
声も幾ら頑張ってもやっぱり出ず、だけどひゅうと一度だけ、奇跡みたく喉から大きく呼吸音が出た事
”遠夜が助けに来てくれたこと”
そんなこんなを一生懸命訴えた
だけど、とてもーーー取り止めのない話
頭がおかしい馬鹿らしいこの話を信じるだなんて、いくらなんでも優しい彼ですら絶対に信じてくれやしないだろうと自分でも恥じた
でも遠夜はやっぱり予想外
ばーかバーカと絶対に鼻で笑うだろうな至極馬鹿馬鹿しい嘘臭い話を、頷き全部を聞いてくれたばかりか今度もまた斜め上をゆく行動をしたのだ
彼は実際は物語に出て来る異能者か、はたまた閃きで生き抜くレオナルドダビンチ的な天才なのかもしれない
「ちょっといいか?〜腕を放すよ?」
ゆっくりと優しく微笑み、床に落ちていた自分の荷物を手に取った
遠夜がごそっとエコバッグから取り出した、どっさりアレコレの品々
取り出された品々、まずは本体が銀色で濃いブルー×スカイブルーの蓋が付いた少し大きめな水筒
カップ式のスープパスタ
(素敵な写真とお洒落なロゴでわかった)
あとはイエローのテレビCMでお馴染みのカロリークッキー
可愛いイラスト付きティーパック
残りは携帯式の箸やスプーンの数々だった
私はさっきまで大恐慌だったくせに、ホントげんきんなもので、目の前で何が始まるのか?
遠夜がすること全部ワクワク興味津々、思わず目がキラキラ輝いた
でも予想出来る”答え”なんか1つしか無いでしょ?!
これって遠夜が今夜食べようと持ってきた自分用のって事?
ソレをどうしてこの部屋に持ってきたの??
???????
『まさかーー!』
遠夜の優しい気持ちを慮りヒヤリ不安に襲われる
で現実、その「まさか」になってしまったのだ
遠夜は事も無げにアッサリと私にこんな風に言ったのだ
「これさ、1食分150キロカロリー、かなり低カロリーなんだ
夜中に食ってもまぁ……アレだ?
1度少しなんか腹に温かい物入れてほっこりしてから、もいっぺんしっかり寝ろ」
「〜〜〜〜っっそうじゃなくって!!」
悲鳴に似た声、喉が引き攣った
「!!でもこれって遠夜のご飯でしょ?!」
すると遠夜はフワリと、今度もとても優しく甘やかに微笑んだ
「俺はさっきメチャウマなコロッケ、沢山お前に貰ったから大丈夫さ
〜そんな心配そうな泣きそうな顔はするなよ
な?
大丈夫だから俺は」
「……」
「お前はとにかく疲れてるんだ、しっかり体を温めて我が儘に休め
俺も側で明け方まで見張りでついててやるから
そうすれば悪いものも襲ってやきやしないさ
コイツはクラムチャウダーにチョッピリネジネジのマカロニが入ってる奴
原材料にアサリとホタテエキス使ってッから結構美味いんだ
それにアサリは特に女子の味方、悪い熱の籠もりからくる緊張やイライラ浮腫、喉の乾燥や痛み、肺も健やかに健康に近づけるらしいぞ?
つまりまぁ
ーーー息がしやすくなる」
「ーーいいの?」
ほんとにいいの?
「ああ、食えたら全部食え
まぁ無理には食わんでもいいけどな、食品残りは俺が食っから安心しろ」
話しながら手早くパッケージの透明フィルムをピリピリ、やっぱり手際よく長い指で取り去りテキパキ準備に取りかかる
「カレンはこんな大きなお屋敷住まい、レストランチェーン経営者の愛娘だから、こんなインスタント食品は禁止だろ?
『食べちゃ駄目!』
〜で、今まで口に入れた事なんか1度も無いだろ?」
「……そんなことないもん」
「嘘つけ」
遠夜はキュッと唇の端を持ち上げる
にしゃーーーっ悪魔みたいな悪そうな顔をした
「前居た東京の、小学のお坊ちゃまなんか、炭酸飲料は当然禁止
オーガニック食品中心の高貴な食生活で、添加物の入ったレトルトはおろか、マックも口にしたことないってポヤンとしてたぞ?
〜まぁ息子を思う親の安心安全な気持ちを考えるとスッゲーわかるけどな」
「?『マック』って何?」
「あ〜〜〜〜コレだよ……」
だからお嬢はーーーと、遠夜は天井を仰ぎぶつぶつ言った
「でもさ
偶にはうーーんと背徳の『悪い事』しようぜ?
〜親に内緒でさ」
「……」
ドキドキドキドキドキドキドキドキ




