↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
30/36

私の夜の出来事 ②


黒く口を開ける、どす醜い感情ーーーー



生まれて初めて感じた、周囲の幸せな人へのたぎるような激しい憎しみをベースとする「羨望」……


理屈抜きの「憎悪」


妬みや嫉妬や抱えきれない自分の中に有ってはならなかった負の感情


自分でも制御出来ないドロドロの燃えさかる憤懣



ーーーーショックだった



自分の中によもやこんな醜い心が眠ってただなんて、今までちっとも知らなかったし気づけなかった。


それを私は、思わず遠夜にどんどんスラスラ喋ってしまったのだ。



医師から体の事を告知されてから全世界が足下からガーンと、全部文字通り音を立てて崩れ堕ちた苦しみ。


告知を受けてからクラクラと、真っ白に目が回る目眩がずっと体をフワンと繭みたいに押し包んでいた事ーーー


自分に関係なく、それなのに世界は何事もなく廻っている不思議さ。



本当にカチカチと正確に、時間は過ぎ日常は私を置き去りにし関係なく進んでいた事に呆然とする


ああそうなんだーーー


本当は私の存在なんて、この世に居ても居なくともどっちでもいいんだと、偶然に図らずも知った、突きつけられた世界の真実。


吐きそうで気が狂いそうで、今にもワァーーーーッっ、突如叫び出しそうになってしまう



こんな症候群、絶対学校自分1人、きっと誰にも理解されないーーー

凄まじい孤独



将来への不安、先が見えない、急にブツリ手折られた未来に対する喪失


ーーーー自分以外にいない




全身の血液がスーーーッと冷える昏い恐怖と孤独


誰も私を本当にはわかってくれない



そんなこんなを切々と、零しすぎた涙としゃくり上げる嗚咽で擦れきった小さな声で話す


ーーーー声が震えてしまう



「私そう思って、全身がバラバラに分解される感覚でーーー

完全におかしくなっていたーーの……」


ほんのり常夜灯で薄明るいベッドサイドのモニター越しの、機械を間に挟んだ会話


思いつつ話す私の告白を、遠夜はすべて無言で聞いていた



私は喋るだけ喋って……

顔が見えないから安心して、山ほど言いたい放題喋りまくったくせに、なぜか急にヒュッと不安になってしまう


つい、思わず焦ってしまう



だってだってだってーーーー……嫌いにならない?


こんな人への悪口三昧



「なーんだ、お前の本性はこれなのか?」幻滅しない??


だから遠夜にモジモジおそるおそる聞いてしまうのだ


スッキリしたのと後ろめたさと、相反したグチャグチャにミックスするなんとも言えない気分




「遠夜はーーー怒らないの?」



「……」


遠夜の答えは想像と少し違った


だけどそれが凄く嬉しかった


再び遠夜の優しさに胸が潰れ、涙がポロポロ零れそうになる


ーーーー私を精一杯 真っ直ぐ気遣う気持ちが嬉しいの……




でも、だからこそ……少し困っってしまうの



私が言う問いかけの〜 ”次の答え”が恐いのだ



「そうじゃなくってーーー…… ”私”に お前自己中で我が儘すぎるって


幻滅したって、嫌いだって 『お前最低だ』怒らないのかなっーーーて」




ーーーー自分の発した声が微かに震える


気丈に頑張って声を出したんだけれど、それが精一杯、やっとだった



もうこれが私の精一杯 〜虚勢を張るのの限界!


思わずーーーキュッと堅く目を閉じて。

柔らかな枕にバフンと顔を押し付け、ぐりぐり突っ伏してしまう




「あのなぁ〜」



その時だった。


深く溜息を零した、困った声の遠夜の声がいきなりハッキリ装置から聞こえて来たのだ




え?…… それってどういう……



すると遠夜は、思いがけないこんな事を。

それも結構なキッパリした声色で、サバサバ呆れた感じで言ったのだ



「今は取りあえずブーブー盛大に文句言っていいんじゃね?


正直その権利があると思うゼ? ……違うか?

 

俺がお前の立場だったらそんな大人しくない


家中部屋中、滅茶苦茶にぶっ壊してパッキンのリーゼントのヤンキーになってやるわっっ!!


ありとあらゆる思いつく限りの悪さして、周囲を泣かすーーー


刑事の母親に『親子の縁を切ってやる!』だなんてさ、そんくらいは絶対確実に暴れまくるだろなぁ〜


俺サ…… ホント思うよ? カレンは偉いよ


全然グレたりしないんだーーーなんてーーーさーー


俺だったら耐えきれないとーーーー思う、自分に負けて堕ちるだけ堕ちる

 

だからせめてさ……沢山、山程悪口言って言って言いまくって

『バカヤローーー』でスッキリして

 

本物の友人達だったら、そんくらい大目に見て貰えるだろ?


我慢しすぎて自分を壊すなよ


言われた方だって

こんな超弩級の異常過ぎな非常事態ぐらい HAHAHAHAHAで許してくれるさ?


皆お前が大好きなんだ 周囲に気を遣いすぎんなよ 偶には痛いとこ見せろよ?


ーーーー弱いとこ見て俺は安心したよ


何かホッとした 温かい親しみが湧いたんだ


あんさ〜 カレンは今までも今でもホント良く頑張ってるって


そんなにーーー無茶すんなよ?


少なくともここには俺がいるっし?


ちょっとはブースカブースカあたれよ? 


ぶっ殺したいお前の永遠のライバルなんだろ? 元々大っ嫌いなんだろ?


ーーーおーし上等だ タップリ恨まれてやる


サァどんどん来い ドントコイやーーーーーーッッ


おぅおぅおぅ全力で受けて立ってやるっっ……!」



「〜〜〜〜!!」 私は思わず言葉を無くす



ーー……!! ばかばかばかばか遠夜のバカっっっ!!


ばか〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!


そんな事言われちゃったら本当に好きになっちゃうでしょ?!


生涯最大最強の ”最上級”〜 永遠のライバルじゃ私無くなっちゃうでしょ?


ぐすっっ 恋人になりたい〜ーーーだなんてーー



ずっとアナタの隣に居たいって



身の程知らずのこと!!



それこそ、ホントに本気で夢見ちゃうじゃ無いの!!



そうなってしまったら…… 


私の存在理由が 本当に 欠片すら 無くなっちゃうーーーことーーー



ーー……わかっ て 〜 ……る……のーー ?!




ポーーーーンと感情的になり、頭が混乱しすぎたのかーーー


いろんな事を一度に考えすぎた為?? 急に瞼がずしっと重くなる


体も腕も 急速に泥の様に重くなり、そのまま意識が解け闇の中に途切れてゆく




「寝たのか?」



……微睡みの中、最後に


あくまでも 私を気遣う遠夜の、微かな柔らかで優しい声が聞こえた気がした



遠夜のことが好き




ーーーー大好き




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。