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カレンのお屋敷に俺が行って ⑧


淡々とした奇妙に冷静な声色ーーーー……


しかし俺には逆に、カレンの歯を食いしばる、やるせない悔しさや言いしれぬ不安や


ーーーー……怒り



激しい怒り 気が狂いそうな激情



「なんで私が?」 「私だけが!」



精神がビリビリ張り裂ける憎悪が直に伝わって来た気がした




ソリャそうだろーーー……


女の子は概ね

「いつか素晴らしい人が現れて素敵な結婚をして優しいお母さんになる」


それこそ約束された絶対の安定の鉄板ルート


まるで定型文みたく、フォーマットとしてガキンチョの頃から誘導される



「そう言う人間以外は落伍者」

〜とまでは言わないけれど『道に外れた碌でもない人間』ってか?


刷り込みの文化的持ってき方が露骨すぎてスゲーもんなァ


実際は人それぞれなのに




映画好き母の話じゃ、大昔麗しのリチャードギア様主演の映画で某「シンデレラストーリー」、富豪と娼婦のハリウッド映画が大ヒットした際


当のアメリカ内部から

「未だにこんなストーリーの映画がもてはやされているだなんて本当に悲しくなる」


そういう内容的、マジな意見もハッキリ上がって出ていたって事を聞いているんだよな〜

日本では全然紹介されなかったけどさーーーー…



くだんのロマンティックな映画は、華やかにジョークを交えながら実際は人間の尊厳、プライドを真のテーマにしていたと思う


カレンにとって素晴らしい人生って何なのか……


自分らしく生きていくってどう言う事なんだろとか?


それって他人と比較してどうこういう生き方じゃ決して無いと思うんだがな……って

 

「男のアナタに何がわかるのっっっ!」


〜っーー言われたらそうなんだろうけどさ……



俺はギュウギュウ大人の価値観に押しつぶされそうになって、よるべなく心細い思いを抱えて一人で苦しむカレンが気の毒過ぎてならなかった


誰かが誰かに、強権発動で

自分達が叶えられなかった『夢』『希望』『見果てぬ夢〜理想』を無意識にグイグイ押し付けるのはフェアじゃない


なぁカレン、形のない、顔が見えない不特定多数の世間様なんてホントいい加減だしさぁ


別にそんなにそこまで気を遣わなくっていいんだよ


だからずっとーーーーーー……口を挟まず聞き続けた




彼女の心をーーーー心正しい真面目さを、言い分を最後まで尊重したかった


 

「遠夜はーーー…… 怒らないの?」



は? まぁ確かに


イケズな運命の神様になら「いい加減にしろぃ!」


ーーー位はズカズカ乗り込んでいって、ブウスカ文句の1つも言いたいわっ!


ンなの当然だ


俺の大事な生涯のライバルに対して何やってくれたんだって、奥歯ガタガタ言わしたる〜てか?!


モニター越しにそう言うと、どうしてなのか困った様な溜息がスゥ……と聞こえて来たから驚いた



「そうじゃなくってーーー……”私”に お前自己中で我が儘すぎるって」


「???なんで?」


「幻滅したって…… 嫌いだって


『お前最低だ』って……怒らないのかなって」



「あのなぁ〜」


今度は俺も深く深く溜息を零した



「今は取りあえずブーブー盛大に文句言っていいんじゃね?


正直その権利があると思うゼ? ……違うか?

 

俺がお前の立場だったらそんな大人しくない


家中部屋中、滅茶苦茶にぶっ壊してパッキンのリーゼントのヤンキーになってやるわっっ


ありとあらゆる思いつく限りの悪さして、周囲を泣かすーーー


刑事の母親に『親子の縁を切ってやる!』だなんてさ〜

そんくらいは絶対確実に暴れまくるだろなぁ


俺サ……ホント思うよ? カレンは偉いよ

全然グレたりしないんだーーーなんてーーーさ


俺だったら耐えきれないとーーーー思う

自分に負けて堕ちるだけ堕ちる

 

だからせめてさ……


沢山山程悪口言って言って言いまくって『バカヤロー』でスッキリして〜

 

本物の友人達だったら、そんくらい大目に見て貰えるだろ?


我慢しすぎて自分を壊すなよ


言われた方だって、こんな超弩級の異常過ぎな非常事態ぐらいHAHAHAHAHAで許してくれるさ?


皆お前が大好きなんだ 

周囲に気を遣いすぎんなよ? 偶には痛いとこ見せろよ?


弱いとこ見て俺はーーー……安心したよ、何かホッとした


温かい親しみが湧いたんだ


あんさ〜カレンは今までも今でもホント良く頑張ってるって


そんなにーーーー……無茶すんなよ?


〜少なくともここには俺がいるっし?


ちょっとはブースカブースカあたれよ?

ぶっ殺したいお前の永遠のライバルなんだろ?


元々大っ嫌いなんだろ?


ーーーおーし上等だ タップリ恨まれてやる


サァどんどん来い ドントコイやーーーーーーッッ


おぅおぅおぅ全力で受けて立ってやる……!」


「……」



?……


カレンは再び黙り込んだ


 

「寝たのか?」



すぅすうすぅ……微かな吐息が聞こえて来た



『あーそりゃ疲れたもんな……』



俺もゴソゴソごそっと寝具の中に潜り込む



お休みカレン 安心して今はしっかり眠れ……



どんな君でも 異常者でも 女で無くても 俺が側にいるから



ところでさ、舐めんなよカレンーーー


言っとくが自分にだって絶対人に話せない秘密、いっこくらいあるぜ?




”俺の秘密”




君が好きだ


                   


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