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カレンのお屋敷に俺が行って ①


「今晩は……!」


「ヤァ遠夜君、カレンちゃん待ってますよ〜!」


「何度も問い合わせが来てさ、いやぁ若いっていーね

君達青春してるねぇっっ!」


俺が顔を知っている守衛さんは二人〜

親切にレクサスで学童保育施設まで送ってくれた年かさベテランの鈴木さん


で、彼に比べるとチョイ若手に見える佐々木さん


お二方は門の守衛室に居て缶コーヒー片手に熱心な井戸端会議中だった


どうも同僚として”仲良しさん”らしい


ひゅぅひゅう冷やかされて思わず赤面、顔処か首筋まで熱くなる

めちゃめちゃ照れくさかった


「遅くなって済みません」


「おっっスンスン、ははーん湯上がりかい?

ヤッパ水も滴るいい男は、意中の女の子の前で清潔じゃ無くっちゃイケねーねぇ〜!」


「や〜鈴木さん、ちょっっ〜オヤジくさい事言わないで下さいよー!

”THE昭和!”って感じですってっーーーひきますよっっ

セクハラにパワハラですよ」


「そうかぁ?

でもカレンちゃん、ボーイフレンド家に連れてくるの初めてだろ〜?

ぃやぁ〜子どもの成長ってめざましいねェ

くーーーっっオジサン、グスッ涙が出ちゃうよ


それもこんなしっかりしたイケメン君、苦労人の人格者で出来過ぎな立派な坊ちゃんでさっっ

おいちゃんは感動して嬉しぃ〜〜〜……

カレンちゃんデカシタッッ


お嬢さん今後ともよろしくな〜〜〜……!」



「遠夜君、学童に預けてた弟さんや妹さんの入浴の面倒見てきたんだろ?


毎日、君自身もまだまだ、オールで遊びたい盛りなのに大変だねぇ〜」


「ホントホント!」


「ウチの息子なんか勉強も手伝いもせず、妻の話じゃずっっと課金のソシャゲー三昧だぜ?」


俺は和気藹々に盛り上がる2人に何だか熱い物を感じた


ジーーンーーーー♪


自分は年の離れた長男で、元々両親も一旦職場に家から出て行ったら最後

〜ゥン凧の糸と長いシッポがヒュルヒュルぷっつん切れたみたいな?


〜〜刑事というもぅマジでいつ帰ってくるか全然時間が読めない特殊な仕事に就いている訳で、世間一般的に求められているパターンタイプの親業にかけてはどうにもならん


アテになるはずの大人は全く頼りにならず、ホント言うと時々寂しくって堪らなかった……

 

でもさ?

子どもも、大人の彼等だって決して遊んでる訳じゃ無いのは重々知ってる


共働き家庭の子どもなんてどこもそんなもん


日本全国津々浦々、現在の俺みたいなガキが子どものお守り〜大人代わりに面倒見る家庭なんか今やごまんと居るだろう


てか?

弟妹どころか親の面倒も見てっし!


生活をすると必ず『吹きこぼれ』の部分が出る

結局これを「誰が見るか?」っていう話なんだろーなぁ


で?結論

”我が家の場合”はどんな時も


何時も気を抜かず、親の留守中は長男であるきょうだい1番上の俺がしっかりして居なけりゃいけない立場になった

 

責任者として、ずっと突っ張って生きてこなけりゃいけなかったと思う

 

当然親の居ぬ間〜

東京でもやりたい放題に遊びほうける友人もいるには居たが、そんなのはプライドが許さない


ーーーー孤独だった


でもここには

『初めてそれをわかってくれる大人がいる』


その事が単純に嬉しい


裏方の、影に隠れた努力をキチンと認めてくれる人が居るってマジで気持ちが報われる


にしても言葉でチャンと言われるって、こんなにもサイコーでモヤモヤが開放されるってか、パァッと晴れがましい誇らしい気分になるものなんだと、今更ながら自覚する



「済みませんが、自転車預かってくれませんか?」

俺はぺこっと頭を下げて、愛車を優しい彼等に任せた


思いやり溢れる鈴木さんも佐々木さんも「いいよ!」、快く預かってくれたのが本当に有り難かった


このチャリが盗難とかで無くなったら自分マジで真剣に困るっていうか、詰む


使い慣れた最高のアシが無くなる事は、慌ただしい生活全般におけるもはや死活問題なのだ


運転免許のない義務教育中の学生の自分にとっては実質『相棒』〜


どこへもここへもジャッっと短く素早く軽やかに荷物と体を移動させてくれるコイツは魔法の絨毯、俺は物凄く頼りにしている



*******



俺はモンベル、つまりチャリの荷台から引きはがした、シュラフやら着替えやらギューーーッと圧縮して詰め込んだ荷物を。


〜ナイロンのブラックのコンプレッションスタッフバッグを右手にぶら下げて、カレンの居る大きなお屋敷の玄関に立つ


フゥッと一呼吸整え、カメラ付きインターホンのブザーを鳴らす


ピンカーーーーんーーーー♪……



「今晩は」


一声、先ずは失礼の無い様に何気なく訪れの挨拶


声が掠れてなかったかな?




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