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カレンの自宅に遠夜がやって来て〜 ③

ドキドキドキドキドキドキドキドキーーー!!


お願い心臓静まってッッ!

私はワザと素っ気ない様子をツンとする


本当は胸から心臓が飛び出しそうだったんだけど……

ごにょごにょ


何か話の接ぎ穂ーーーーっとあった!!コレにしよう


遠夜はなんかクッションみたいなツヤツヤの黒い丸っこい円筒形の塊を手からぶら下げてた

ナニソレ?


「それはなに?」


「コンプレッションスタッフバッグ

中にモンベルとカバーと、後、寝るジャージの着替えが入ってる」


「?ーーモンベル?」

「あーーー悪い、説明不足だったな?

 これアウトドア系の装備品ブランド名で要するに”シュラフ”、俺お気に入りの寝袋セット、型式がロングタイプだから肩が出なくって快適なんだ


俺がひと晩ずっと寝袋でお前の側についててやる、なら安心だろ?」


「!!!」


「お母さんずっとお前に数日徹夜に近い状態で面倒を見てくれてたと思う

幾ら甘えて当然の子どもでもその辺〜

多少は思いやりの配慮が無いと親だってやってられ無いと思うんだ、完璧な人間なんて居ないんだし〜だろ?」


「……うん」

「安心しろ、俺は廊下で寝るから安全だ」


「!! えっと、じゃぁついてる事にならないでしょ?側に」


「ーーーー大丈夫、その為の道具もチャンと持って来てる

なんか異変があったら直ぐに飛んでくから呼べよ」


遠夜はいつものぶっきらぼうな様子、キッパリ遠夜が言うと”その言葉を待ってましたッッッ!”


背後で壁の陰から首を伸ばして、私達の話す様子をコソコソ窺っていたママとパパが、”如何にも今来ましたっ!”


「イヤァ遠夜君♡!」

「ようこそ♡ 

いらっしゃーーーーーい……!!」


ここぞとばかりに、バレバレなのにそんな振りをして奇妙に明るく和かに登場した

(ぁのぅ私からはぜーんぶ丸見えなんだけどっっ!!)


「おやぁ遠夜君は随分良いザックを使ってるんだねぇ

〜渋カジかぁ、懐かしいよ?

『復刻』ーーーじゃぁ無いみたいだね、グランドツアーのブラック&ターコイズとはいいセンスだ」


「はい、”オリジナル”ーーー

亡くなった父がこれからも、僕が大人になってもズーーっと余裕で使える様にって、ちょっと子どもには分を越えたこれを買ってくれました

大切な思い出の品です


まぁ当時は大きいなぁと思ってましたし、友達の背負う特撮キャラクターの付いたリュックの方が羨ましかったですけどね


僕がブス膨れて〜そう言うと、父と母とショッピングセンターに連れられて行き水筒やら弁当箱やらが全部ソッチ方面になりました

ーーーーいい思い出です」

 

遠夜はニコッと王子様みたく微笑んだ


うううううっっ〜酷い

ぶっすり心臓にキラキラの微笑みが直撃ーーーー


表情を堅く保ち、何でもない事みたく平然とするのが辛すぎる、どういう罰ゲームなの?これ


娘の苦悩を知ってか知らずか、父は豪快にアハアハと笑う


「ハハハハハーーー

まーーー子どもには子どもの世界があるからね?


しかし直ぐ呟きに反応して言い分を聞いてくれたのはなかなか出来たご両親だ

私も見習わないとね?」


「本当にそうよねぇ!素敵なことだわ!

でも廊下で寝るだなんて〜

そんな失礼な事ダメです、”カレンちゃんの大切なお客様”にベッドのある客間を直ぐ用意しますからそちらでお休みになればーーー」


「ぃえ〜それでは全く意味がありません

今現在カレンさんは、まだ堪らなく不安、不安定な気分だと思います


こう言う時は自分の慣れ親しんだ、グッスリ落ちついてくつろげる自室で充分体を休めるべきです


ーーーー僕は構いません、その為の装備も家からワンセット持って来てますから廊下で待機しています


男なんてそんなので充分です


実際自宅でもーーーー

弟妹のインフルの隔離時とか全く同じ事をしていますから、既に数シーズン経験を積んで、まずまず年季がいってますから是非任せて下さい


ですからお母様は今夜はジックリお休みに


僕の個人的な持論ですがーーー

『介護する人にこそ介護する人が本当は絶対に必要』〜だと感じてます


もぅ娘さんに、毎夜徹夜で丹念に付き合ってお体も限界なのでは?」


「まぁ♡」

「いいのかい?」


「大丈夫ーーーー誰も見ていない〜

人の目が無いからってお嬢さんには一切、僕は不埒な事はしません

亡くなった父に賭けて今ここに誓いますから


ぁあ、もしも自分の手に負えない何か不測の事があったら必ずスマホを鳴らします

その時は、どうぞ宜しくお願いします」

 

「……」

「……」


凄いーーー

すごいよ遠夜はーーー……!

 

むしろ出来過ぎ、どこまでも隙がなさ過ぎる〜〜……!!

 

『『手を出してもいいのに……』』

あ〜〜〜〜もぅ

そんな ”ざんねーーーん”を顔にべったり貼り付けてたのが傍目にクスクス面白い私の邪な両親は、心底ガッカリしながらも温かく彼を家の中に招き入れてくれた

 

物凄くおかしかった


でも『つまり』、お泊まりを「認めてくれた」!!


「公認」ーーーーしてくれたって訳



……きゃぁ



胸がドキドキーーーーーパンッと破裂しそうっっ


嘘みたい 信じられない 頭がボーーーーっとする


今夜は遠夜は、私の側に一晩中居てくれるんだ




やったぁ♡



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