第4話 初配信! 数の暴力!
昨日の訓練から翌日。
俺はあの後、誕生日プレゼントと言われて配信用ドローンカメラを2人から貰った。
会ったばかりの奴にプレゼントなんて優し過ぎるよな。
そして今日は初配信だ。
昨日もらった盾と槍。ドローンとそれ関連の物をまとめた。あと一応エネルギーブレードも。
「……これ、本当に初配信でいけるのか?」
やはり一度否定されただけあって、不安が拭えない。
怖い。だけど、ここで止めるのはもっともダサい。
そうしていると美琴から電話がかかってきた。
「もしもし? 美琴だよ、今日初配信でしょ? あーしらも行くから」
えっ、そんなに信用ならないの俺?
「いや、俺の配信だから俺1人で……」
「初配信で死んだら元も子もないでしょ! あーしの重力と極真空手で最悪守るから! あとレイも仕事入れてないから来るよ」
「はぁ……じゃあ、頼んだよ」
そして午後。
3人は揃ってEランクダンジョンの前に立っていた。
「あーしが教えた、このDiveONってアプリ入れたよね?」
「うん。このカメラが同期するんだろ?」
そう言いながらアプリを起動し、配信タイトルを設定する。
【初配信】Eランク探索者、分身でダンジョン攻略します。
タイトルを設定すると、カメラは宙に浮かび上がり、撮影を始めた。
「おー、すごいな」
「ホログラムでコメント欄も出るし便利だよ〜」
駅の改札のようにライセンスをピッとかざす。
ゲートが開き、3人はダンジョンへ入っていった。
現在同接数:7人
「へぇ、完全初心者でも7人くらいは来てくれるんだね」
そう言うとコメントが流れていく。
〈新人君?〉
〈シロガネの誓いから追い出された奴じゃね?〉
〈待って、後ろにいるのレイと美琴じゃない!?〉
〈なんで!??〉
これを皮切りにバッと同接数が一気に跳ね上がった。
7→65→233→551。
それに美琴が反応する。
「ありゃ、あーしらが素人の配信に何故かいるって話題になっちゃったよ」
「想定済み、これが狙いよ。彼の初舞台は晴れやかなものにしたいからね。それよりもアンタ何か喋りなさいよ」
唐突なパスに戸惑った。
大体、配信という文化にあまり理解がない。
全くもってセオリーがわからない。
「えーっと……何を喋るんだ?」
「アンタ、取り敢えず昨日の事説明したら?」
「昨日の?」
「1人軍隊」
「……ああ! そうだな!」
そう言うと広めの場所で披露する。
「まず今、箱を背負って槍と盾を持って、ゴーグルとこめかみのデバイスがありますよね? それが——分身ッ!」
特撮ヒーロー気取りで変身するようにポーズをすると合計5人に増えた。
そしてカメラに向かってファランクスを披露する。
コメントが流れる。
〈あれ?普通に強くない?なんでEランク?〉
〈これでEってマジ?〉
〈でも5人だぜ?〉
〈これで終わり?〉
那由多はニヤリとする。
「もちろん、こいつもあるぜ!」
Eランクの理由は痛覚共有。
これはまだ言わなくていい。弱みだし。
せっかくの初配信なんだ、まずは俺の戦い方を見てもらおう。
背中の母艦がプシューと音を立てて全てのハッチが開かれた。
1機。2機。3機……8機。
それが5人分。
合計40機。
瞬く間にダンジョン内の空間を黒いドローンが埋め尽くした。
コメントの速度はどんどんと速まっていく。
〈!?!?!?〉
〈40機だと!?〉
〈Eランクの武力じゃねぇぞ〉
〈見る限り全て魔弾を撃てる改造魔石ドローンだ!〉
〈これを全部本人が操作するのか……?〉
それに美琴が反応する。
「そうだよ〜、全部那由多が操作している」
それにレイが補足する。
「正確には脳波操作ね」
そこで那由多は、魔物が奥にいるのを見つけて前に出る。
「じゃあ、ここからは俺が1人で頑張るよ!」
そう言って、カメラと2人に向かってサムズアップする。
「無茶すんなよ〜無事が1番だからね!」
「危なくなったら、即座に介入するから」
この2人の過保護気味の対応にコメント欄は憶測が飛び交う。
〈え、どういう関係?〉
〈レイと美琴が新人の護衛って何事?〉
〈この3人が友達ってマジ?〉
〈那由多、何者だよ〉
〈この前探索者の重婚が合法になったけど、もしかして3人ってそう言う関係?〉
〈まじ!? 高身長イケメンの那由多の両手には高嶺の花かい!〉
〈裏山〉
〈規格外の彼氏もランク詐称の規格外ってコト……!?〉
それにレイと美琴が頬を赤くして怒鳴る。
「ち、違うし!」
「そ、そうよっ! アタシ達は数日前に友人になっただけ……それだけだから……」
その会話も聞かずに那由多は、リベンジマッチを始めた。
カメラはグイーンと那由多の方に飛んでいき撮影する。
「ファランクス! 崩さず前進し槍で突け! ドローンはサイドとバックを警戒しつつ遠方の敵に魔弾掃射準備」
そう言いながらジワジワとゴブリンの群れに近づいていく。
魔物達も飛びかかるも長槍に串刺しにされ、間合いにすら入れない。
そこで道の奥からまだ来ているのを那由多は発見し命令を下す。
「ドローン掃射! 撃てぇー!!」
40機からなる青い魔弾が一斉に放たれる。
魔弾の雨がゴブリンの群れを次々と吹き飛ばし、スケルトンもまとめて粉砕していく。
よしっ!
俺は戦術を身につけた!
間違いなく、数日前の俺とは段違いだ
またコメントが流れる。
〈分身が盾役か〉
〈ドローンで左右をカバーしているぞ!〉
〈普通に戦術として完成していないか?〉
〈これ本当にEランク?美琴、レイクラスに匹敵するでしょ〉
〈ナユタン強えー!!このまま全部ぶっ飛ばして行こうぜー!!〉
そして1人の視聴者がコメントをした。
〈これ……1人パーティじゃん〉
「そう! 俺は1人だけど、俺1人じゃないんだ! 数の暴力ってやつ!」
殲滅し尽くした那由多はガッツポーズを取った。
心の底から喜びを感じていた。
美琴が那由多に話しかける。
「うわっ!昨日より全然上手くなってるじゃ〜ん!」
レイも言う。
「昨日の訓練がもう戦術として形になっている」
那由多は幼なげに喜ぶ。
「でしょ! でしょ〜!! ほらもうボス部屋!」
そう言うとドローンから警告音が鳴った。
「高エネルギーを検知」
「何だ……?」
「裏ボスね」
そうレイは言うと髪をフサァっとする。
「初配信から裏ボスかよ!」




