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なにやぶ。それは青春に馴染めなかった人たちが集まる部活です。  作者: 早瀬 渚
球技大会

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18/24

当日

 球技大会当日の朝を迎えた。


 学校全体にはどこかふわふわした雰囲気が流れており、話し声もいつもより色んなところから聞こえてくる。


 特に1年生はほぼ初めてのイベントなので、浮足立つのも無理はないだろう。その気持ちは分からんでもない。




 ただ、自分としてはこの大会での至上命題がある。


 出来るだけ良いところを見せること。それが恐らく、天都先輩の心に一番届くのではないだろうか。


 そのためにふわふわした気持ちは心の奥底に沈んでいる。


 ある程度の強い気持ちが大切だ。じゃないと、自分に打ち勝つことはできない。




 ……本当、ちょっと前まで球技大会なんて適当にやり過ごそうと思っていたのに、この気持ちの変わりようである。


 自分でも笑えてきてしまう。180度気持ちが変わった自分が馬鹿らしくてしょうがない。





 いつもどおり朝のHRが終わる。


 いつもと違うのは教室にあるスピーカーから放送が流れ始めたことだ。声の主は生徒会長で、注意事項や試合時間になったときのことなどがアナウンスされる。


 いつもとは違う状況に否が応でも緊張してくる。緊張には弱いタイプの僕なので、平常心平常心と自分に言い聞かせながらやり過ごす。




 


 運動場で開催される男子のサッカー、体育館で開催される女子のバレーボール。


 それぞれ、同じ時間に開催され、時間になったらそこに試合場所に集まる手筈となっている。なので、それまでは特に予定はなく自由にしていいみたいだ。




 ただ、僕のクラスは2試合目なので、そうもいかず、すぐに運動場に集まらなければいけない。


 とりあえず、緊張してきたことによる尿意を解放するためにトイレへと向かう。




 しかし、出てきた頃には皆運動場に向かっていたらしく、同じクラスの男子生徒は誰もいなかった。


 慌てて、僕は運動場へと向かう。


 まあ、1試合目の試合はまだ終わる時間でもないので大丈夫だろうが、一人遅れたことによる注目は避けたい。ただでさえ、緊張しているのにもっとメンタルが弱まってしまい、プレーに影響が出かねない。……小学生のときはメンタルが弱まった故にミスプレーをしたことも多々あった。




 急いで、スリッパから靴に履き替える。


 しかし、こんなときに限って、靴紐がほどけてしまっていた。


 はぁ……、ついてないな、と思いながら靴紐を結ぶ。




「川湊君。」




 横からそう呼ぶ声がした。


 パっと顔を上げると、天都先輩がいた。


 いつもの制服姿とは違い、体操服を着ていた。普通の半袖、短パン(膝丈)の姿なのだが、見慣れている姿より肌の露出が多く、ちょっとだけドキリとしてしまう。


 ……結構、肌が白いから視線が奪われるんだよな。




「……どうしてここに?体育館は反対方向のはずじゃ。」




「シューズをそこのロッカーに置き忘れてて。たまたま取りにきたんだよ。」




 ああ、なるほどなと思いながら、二言三言会話をしたかったのだが、急ぐ気持ちもあり、言葉が上手く出てきてくれなかった。


 ……本当は色々と話したいところではあるのに。




「私、時間被ってないから、見るからね。」




 そう言われた瞬間、体温が跳ね上がる。


 先日、僕の試合見れたら見てくださいと約束していた。しかし、実際見るからねと言われると、心臓がバクバクする。




「……分かりました。」




 それだけ返し、僕は運動場まで駆けていった。

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