恋のハンター
あたし、佐藤 未来。ラブレターをくれたワンコの飼い主に一目惚れ!ただ今、告白真っ最中
「好きです。私を拾ってください」
若いオッサンはキョトンとした。
「えぇぇぇぇ!突然そんな事を!僕をからかっているのかい?」
「そんな事はない!本気です!」
突然の告白に表情は怯え、ひたすらオロオロするオッサンいや、若いオッサンか?まあ、突然、告白されても困るわな。新手の美人局と思われても仕方ない。
「とっとにかく、ワンコ…テンの散歩を続けましょ!」
そう言うと、喜ぶテンを片手に彼は戸惑いながら歩き出す。あたしは、その横で御機嫌そのもので彼の顔をチラ見る。
「あっ…あの…」
「えっ…何?」
「いや、何も…」
そのまま、散歩を続け
「あの…もうすぐ家なんだけど…うちだれもいないし…」
フムフム、察するところ、この男一人暮らし。そして、この感じだと小汚いアパートの汚部屋であろう。ここはママから伝授された掃除のレシピで是非とも、女らしさをアピールしとこう。
「このまま、テンと別れるなんて…」
としおらしく演出してみた。
「あっ…そうだよね。お礼もしなくちゃいけないし…家に上がってく?」
(ヒャッホーー!やった!)
暫く歩くとセキュリティーの着いた豪華マンション前に来た。
(えっ?えっ?これが彼の家?マジか!)
このダサい男とは合致しない。
(あーこれは、あれだ!家が金持ちで、引きこもりの息子がめんどくさいので追い出されたのだな。ヨシ!任せとけ!ニート脱出ならあたしのが先輩だ。是非、ニート脱出の伝授を!)
エレベーターに乗り彼の部屋に行く。
(まずは、掃除ね!)
”あらぁ〜こんなに、汚くして駄目じゃない”
”えへへ”
”あたしが掃除してあげるね。ほら分別もしなきゃ”
こんな感じか!
妄想に囚われ、部屋の前に行き、ドアを開けると玄関はフレグランスなアロマの香り。しかも綺麗だ。テンは懐かしの我が家にしっぽを振って、ジャンプして入っていっしまった。彼がスリッパを出してくれた、あたしは靴を脱ぎそれに履き変えようとすると
(ヒィィィ!靴下に穴が!)
右足の親指がちんまり出てるじゃあないか!慌ててスリッパを履き何事もなかったように案内され部屋に行く。見たところ2LDKのマンション、部屋は恐ろしく綺麗だった。テンは自分専用のクッションらしき所で早速ゴロゴロ転がっている。
「何か飲む?」
彼が聞いてくる。
「あ…はい…」
「じゃ何飲む?」
あたしが迷っていると
「ここから選んでくれる?」
と案内された。
これは!もしや!コンビニでしか見かけないバリスタの機械ではないか!!
「じゃっじゃあ…カフェラテで…」
部屋は家具も少なくインテリアも小洒落ている。このオッサンのどこにこんなセンスが?
( これでは、あたしの方が汚物ではないか…)
戸惑いながら、ソファにちんまり座った。
(ハッ!このままでは、あたしの女の見せ所がない!このまま帰れるか!)
「あの…テンを預かってくれてありがとう。交通事故にでもあったかと心配してたんだよ」
「あっ…そっそう。そう言えば!お腹を壊して手術をしたのよ!」
「えっそんな!迷惑かけたのかい!」
「お腹が空いて、何か拾い食いでもしたのかしらねぇ」←コイツ
「じゃあ、手術費用とかかかっただろう返すよ」
「いいのよ。あたしは、テンの命が助かっただけで、でもまだ心配だわ。明日からも来ていいかしら?」
慣れない女子語を駆使した。
「ああ、もちろん。テンも懐いているみたいだし」
(やったぜ!)
「じゃあ、あたしはこれで…」(右足の親指も涼しいことだし)
彼の部屋のセキュリティーナンバーを聞くとホクホクで家に帰り着いた。
「おかえり、未来。あら?ワンコは?」
「元の飼い主に引き取られちゃった」
「そう…残念ね…ママも散歩に行きたかったわ。さあ、ご飯にするわよ」
この所、あたしはママの命令で家族とご飯をしている(借金をしているので逆らえない)
食卓につくとパパが
「いや〜未来と一緒にご飯が食べれるなんてパパ嬉しいよ」
と蒸気した顔で嬉しそうに言う。
「そう?あたしも嬉しいわ」
ニッコリ笑って
「じゃあ、コロッケ一個いただき!」
「ああ〜パパのコロッケがぁ〜ママ!」
「知らないわよ。未来に油断するからよ」
弟は咄嗟に自分の皿を庇った。
あたしは、ご飯を食べて立ち上がるバイトは七時から
「さて、じゃあバイトに行ってくら」
「ねぇちゃんが!ふっかつしたああ!」
と言う弟の悲鳴を背に颯爽とコンビニへと向かった。
「佐藤さん、おはよう…」
何故か気の弱いこの店長。だからして店員が居着かないのだ。そして、仕事を始めるが心は彼の事ばかり
(彼…彼…彼…うへへへへ)
甘いふたりのこれからを想像し、恋のハンター
(未来!頑張る!)
グッ!!
「あの…佐藤さん…肉まんが…」
(ん?)
握りつぶした、肉まんの手を洗う未来の恋の行方は何処へ…




