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誕生日ディナー

こうして、ふたりして待望のディナーへと出かけた。緊張しまくりのあたしは、やはり言葉が出ず大人しく横に並んで歩いた。

電車に乗り、街中で降りる。少し歩いて着いたのは、落ち着いた佇まいの家庭風フレンチレストラン。そんなに大きくはないが繁盛してるみたいで、並んで待っている人もいた。あたし達は店内に入ると、女主人とらしき人が、やって来て

「いらっしゃいませ。よくお越しくださいました。予約のお客様ですね」

とにこやかに挨拶され、リザーブされた席に案内され座る。中のインテリアも欧風の家庭を意識してあり可愛らしい、窓からは庭が見えてとても落ち着く感じだった。あたしは、その感じにちょっとホッとした。

「あ、あのとてもいい感じのお店ね」

「う、うん前に一度だけ編集さんに連れて来てもらったんだ」

「えっ編集さんって、久米さん?」

「いや、違うよ。まだ駆け出しの頃に違う人……男の人だよ」

そう付け加える。そして、料理が運ばれてくる。とても美味しくて初めて食べる物ばかり、料理が好きなあたしは

「これ、おいしー!どうやって作ったのかな?」

と緊張も無くなり、ご機嫌で料理を食べていた。たっくんはそんなあたしをいつも以上に優しく笑って見てる気がした。

そして、最後のデザートを食べ、コーヒーを飲んでいると

「あっあの…これ」

何やらリボンの付いた箱を出してきた。

(あっそうだ!今日はあたしの誕生日)

「お誕生日おめでとう」

そう渡された。

「ありがとう。あの、あけてもいい?」

「うん、つまらない物だけど…」

開けてみると、そこには額に納められた、あたしの似顔絵がはいっていた。彼らしい画風で優しく、色鉛筆で書かれたあたしの笑ってる顔。テンもちゃんといる。ボーとして見ていると

「もっと、高価な物とかのがよかったかな?ごめん、それしか思いつかなくて」

心配そうにあたしを見る。

「ううん、すっごく嬉しい!」

昔から気が強くて、人からの風当たりが強くなりやすい、あたしは自分がこんなに優しく描かれているのを見て嬉しかった。

(彼の目には、こうやってあたしが映ってるのかな?)

あたしが満足気な顔をして見てるのが解るのか

「良かった」

と、やっとたっくんも笑った。

食事も終わり、家へと送ってもらう。

その帰り道だった。

「あ、あの未来ちゃん、今日は気に入ってくれたかい?」

「うん!美味しかったし楽しかった!」

「良かった…あの…その…」

歯切れの悪いたっくんの言葉

(ん?どした?愛の告白かぁ?照れ…)

と思っているうちに家に着いてしまった。

帰るとお待ちかねのテンが玄関に走ってきて”ピョーーン”と跳ね上がり、たっくんに抱かれた、そして、たっくんはお礼を言って帰って行った。その後ろ姿を見つめながら幸せな時間と彼からのプレゼントを抱きしめた。

部屋に入ると

「ねーちゃん、どうだった?」

弟から珍しく声をかけてきた。

「プレゼントをもらったよ」

「どれどれ?」

あたしは、たっくんの描いたイラストを見せた。家族が集まってくる。

「いやぁ、未来可愛いい!」

と感動して涙まで浮かべるパパ。

「やっぱりイラストレーターだけあってセンスあるのねぇ」

関心するママ。

「ねぇちゃんこんな感じか?いいよなぁ俺も欲しいな!なっ頼んでくれよ」

「なんで、よく知らないあんたの顔を書けるのよ!」

「そんな事言わないでよ。”yakuta”の似顔絵イラストなんて友達に、自慢できるじゃん!」

「はん!やーだね。じゃ部屋に行くわ」

妄想の様な告白こそ無かったけれど幸せな時間を過ごし、今日の余韻が無くならないように早々に部屋に帰った。

それにしても、気になる。帰り道のたっくん。絶対何か言いたげだった!

(何だろう、告白?ならいいのだが…)

「もう、来ないで欲しい」

かも、それを考えると既に涙が、とにかく真相究明だ!

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