いざ、出発!
そして、とうとう誕生日の当日となった。約束の時間は夜だと言うのに朝からいや、前日からか、とにかく落ち着かない。その日はテンの散歩だけをして家に帰ってきてディナーの準備。洋服は、ママと一緒に選んで買っておいた。メイクも日々練習してモンスターメイクではなくなった。
(女は準備が大変…)
大体が普段から、放置に近いし(ため息)しかし、今日と言う日はそうも行かない。なんせ、レストランで食事。しかも愛する人と誕生日ディナー!期待度99%
(めんどくさいなんて言ってらんない!今の彼はイケメン。それなりにオシャレしなくちゃ)
とバタバタ、走り回りながら準備していた。ディナーの時間は五時から、たっくんの部屋に行き出かける予定だった。
そして、昼過ぎごろだった。あたしは準備を終えて、そろそろ出ようかと時計とのにらめっこをしていた。そこへ、家の呼び鈴が鳴る。ママが出たようだ。階下から
「みらい〜!みらい!」
大きな声でママがあたしを呼ぶ
(なんなのよ!こんな忙しい時に!不幸の手紙でも届いたのか)
そんな事をぶちぶち思いながら下に行き玄関の扉の向こうを見ると。たっくんが立っていた。
(なに!)
たっくんは、洒落たジャケットにスラックスシャツ(多分全てブランド物)ネクタイこそしてないが、超かっけースタイルだった。昔のように、もう笑われる事もあるまい。そして薔薇の花束ではなくテンを抱えていた。
(犬を抱えた王子さま?)
ボーと見つめるあたしを横目で見てママに
「あっその…突然すいません。この子は夜ひとりになった事が無くて、その…あの…預かって貰えたらと…」
見た目は変わったが、相変わらず恥ずかしがりやで、しどろもどろで顔を真っ赤にしながら話す。テンはたまにデート?の時には預かって貰っているしウチには慣れっ子だ。飼い主には適わないが、ママもパパも弟も大好きで喜ぶ。
「まあまあ、おやすい御用よ。テンの物はウチにも全部あるから安心して出かけてらっしゃい。おいでテン」
ママがテンをたっくんから預かる。
「あ、ありがとうございます。お願いします」
たっくんは、深く深く頭を下げる。
「その…未来ちゃん、もう出かけられる?」
「大丈夫!準備万端よ!ちょっと待ってて」
あたしは二階に駆け上がり、バッグを持っておりてきた。
「じゃあ、行こうか」
「うん!ママ、テンの事よろしくね」
「よろしくお願いします」
またも、深々と頭を下げるたっくん。
「はいはい、わかりましたよ。楽しんで来てね」
「行ってきま〜す」
突然のお迎えに嬉しくとも恥ずかしく、いつも爆喋りのあたしはドキドキで言葉にならず。イケメンな彼が隣に居て不似合いじゃないかと心配しながら並んで歩いた。




