さっちゃんの日記
「あれ?何か落ちてる。」
洸が、芝生の上に落ちている一冊の手のひらサイズの手帳を拾い上げた。
「これ、みっちの?」
「いや、俺のじゃない。…さっちゃんのか?」
その手帳は、黒地に金色の小さな星がいくつも散りばめられたデザインで…星空みたいだ…。洸が手帳をパラパラ読む。
「これ、さっちゃんの字だ!日記みたいだね…。」
「勝手に読んじゃダメだろ…。」
「昨日のことも書いてあるよ。『今日は、先輩に別れて欲しいと言いました。そしたら、先輩が別れたくないとしつこく迫ってきてキモかったです。そしたら、目の前に王子様が現れて僕を助けてくれました!』」
王子様って俺のことか?…てか、さっちゃんが勝手に俺の所に来て…キスを…!
「おい、洸。もう読むのやめろよ!」
洸は、読むのをやめない…。
「『王子様の名前は、みちるです。明日は、みちるのためにお弁当を作ります!料理をするのは、初めてだけど洸に手伝ってもらえば大丈夫だと思います。洸の作る玉子焼きは、世界一いや、宇宙一美味しいので』…本当にそう書いてあるんだよ。『みちるに作ってあげたいです!明日は頑張って早起きします。』だって…。」
「さっちゃんは、本当に俺たちと同い年か?小学生の作文みたいだったぞ…。」
「さっちゃん、理数は得意だけど、文系はさっぱりなんだよ!」
「へぇ…。」
「みっち…。さっちゃんに謝った方がいいんじゃない?さっきのは、やっぱり言い過ぎだと思う!!」
まあ…たしかに、言い方がちょっときつかったかな…。
「5限終わったら、さっちゃんに手帳を渡すついでに、謝りに行こう。俺も一緒についていってあげるから!」
「…わかったよ。」
「それでこそ、みっちだ。俺の見込んだ男だ!!」
「うわあ…!?洸、抱き着くなよ!…気色悪い!」
そして、5限が終わり10分休み。俺と洸は、2組の教室へ。
「あれ?さっちゃん、いないみたいだね?」
教室を覗き込むが、さっちゃんは、見当たらない…。トイレか?
「ねえ、誰かさっちゃん知らない?」
洸が、教室に向かって言う。
「さっちゃんって…星空君のこと?…星空君なら、昼休みから教室戻ってきてないけど?」
「そうなの…!?」
まさか…俺に言われたことがショックで…授業サボるとか…!
「みっち。さっちゃん…よっぽどショックだったんじゃない?」
「…俺、さっちゃん探してくる!」
「俺も一緒にさっちゃん探すの手伝うよ!」
こうして、俺と洸は、さっちゃんを探すために6限をサボることにした。…6限の英語、今日俺が当てられる番だけど予習してないし!!
先生に見つからないように、校舎内を探すが…さっちゃんは、見つからない。校舎内には、いないみたいだな…。校舎の外に出て、校庭や運動場を探す。
「さっちゃーん!!どこにいるのー?」
「さっちゃーん!!…さっきは、ちょっと言い過ぎてごめん!!だから、早く出てきてー!!」
「いないね…。どこ行っちゃったんだろ?」
「もう、帰ったとか…?」
「…もしかしたら、あの人たちの仕業かも!」
「あの人たち?…おい、洸!どこ行くんだよ!?」




