表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奏でられし聖樹の記憶  作者: ファル
― 五.砂漠に眠る伝説 ―
40/68

5‐8

「あっ、おかえり~!」


 数日後、アリシアはレディアさんの家。居間へと入っていった途端、飛びかかるかの勢いでアスティが抱き付いてきた。


 砂漠をずっと歩いてきたのだ、埃っぽいと断りかけたがおよそお構いなしで、いつもの甘えモードに突入である。何やら背後から、羨ましそうな視線を感じないでもなかったが……色々疲れてもいるので、この際そっと無視しておく事にする。


「レディア、ピラミッドで何か情報は掴めたかい?」

「うん、いろんな情報を手に入れたよ」


「ピラミッドは、どうだった? 私も、ちょっと行ってみたかったなー……」


 リンさん達は簡単な挨拶後、そんな確認をかわしている。途中にアスティがそんな言葉を挿むと、スバノンが珍しく疲れた調子で。


「やめとけ。普通に危険な場所だ。いろんな罠や仕掛けがあるしな……俺らには情報とかってのも何が何だか、だったし」

「え~……で、その情報ってどんなの?」


 一瞬、いかにも拒否されて残念そうな表情をしたが、すぐ別の興味に関して聞いてくる。その問いにはレディアさんが、何か物思う様な顔で返しかけ……少し言葉が止まる。


「主に魔王の事だよ。説明には、ちょっと情報を整理しないと、だけどね……」


 そのまま暫く、何事かを頭で纏め上げている様子だったが、やがてその顔はリンさんに向いた。


「リンちゃん、確か次はギメルのストラウス遺跡に行くんだよね?」

「うん。あそこはエガオンの故郷だから、きっと何か情報があるよ」


「ストラウス遺跡には、かなり強力な魔法具の『精霊王の冠』があるらしいの。ピラミッドにいた精霊がね、魔王を倒すならそれを持って行けって」

「えっ、精霊に会ったの? ……そうか、それも要チェックだなぁ」


「……魔王? 精霊? いったい、何の話?」

「俺らも、まださっぱりだ。帰ったら説明してもらえるはずだったんだけど」


 ひとり取り残されたアスティの疑問はもっともだ。スバノンも、先を促すかの視線をレディアさんに向けるが、彼女は既に1つの案を決定している風だった。


「まず先に、ストラウスの調査を済ませちゃおう。そこで得られる情報と、ピラミッドのそれを合わせてそこからの方が全体像が見える分、説明もより詳しいものができるよ、きっと」


「ふ~ん……俺もついていこうかな。ブルーは帰っていいぞ」

「なんで俺だけ帰るんだよ。俺もしばらくご一緒させてもらうよ、魔王と勇者の話には興味がある」


「お兄ちゃん、私もついていく。もう一人は嫌だもん」

「ははは、相変わらず寂しがりだなぁ。―― でも出発は明日にしよう。今日はゆっくり休もうか……みんな出発まで自由にしてて。眠くなったら、奥の部屋のベッド使って良いから」


「リンちゃん。ここ、私の家だよ? まぁ別にいいけど」


 何だか、いつになく賑やかな光景だ。単に人数が増え、会話が増えたからというだけではなく、この顔ぶれが持つ空気が……まるで昔からずっと一緒にいたかの、不思議な暖かさを持っている。


 或いはずっと、このまま共に居られたら ―― 新たな探検への興味や不安より、何故かそうした気持ちの方がふと、強く胸の内に響き、暫く留まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ