彼女の元へ
ご閲覧ありがとうございます。
最近ブックマークもちょこちょこ頂き恐悦至極…。嬉しくて逝きそうです(殴)
あと下ネタ回です…気を付けてください(笑)
「うーん……?」
「はよ起きんか全く…我がワガママを飲んでやったんじゃ、寝ぼけてないであの娘の元に向かうんだろう?」
「アリストロメリア…ああ、戻ってきたのか。」
俺は気が付くと、先程までの遺跡の真ん中で寝そべっていた。
ルピカさんが居たあの空間からアリストロメリアと一緒に帰還した俺は…俺自身の、そして…彼女の選択を選びに、町へと戻ることにした。
何だか頭がくらくらする…昨日の夜、錬金術の授業の後に起こった頭痛と似ている。
しきりなく続くその痛みに、言葉通り頭を抱えていると…アリストロメリアがそれに気付いて声を掛けてきた。
「ん? お主頭が痛むのか…まあ、無理もないじゃろう。
立て続けに共鳴…そして『狭間』への干渉をしたんじゃからの…まあ半分我のせいなんだが…。
人間と言うのは脆くての、我でさえ…共鳴、干渉を一日に数度とは出来ない物じゃ。
それどころか、数日に何回もそれを起こし続けているお主が…寧ろ頭痛だけで済んでいるのが不思議な位だよ。
流石はあの男の息子…"口癖から分かる素質"は受け継がれている様じゃの。」
「そりゃどうも…何せ天下の天才完璧竜之介様だからな。
こんな頭痛、つば付けときゃ治るわ。」
彼女が親父の姿と照らし合わせているのか、俺に向かってクスクス笑いながらそう言ってきたので…俺も半分冗談に付き合うつもりで自賛してみたが…どうやら受けたみたいだ。
口癖から口振りまでそっくりだ…と言いながら、微笑みを浮かべ、俺を見ていた。
と、そこで彼女が何を思ったのか…座っている俺の横に来ると急に頭を両手で掴んだ。
「ほら、唾をつければ治るのじゃろう?」
「なぁっ!?」
そう言うと…彼女は俺の額に…キスをしたのであった。
慌てて跳び跳ねる様に離れると、その反応が面白かったのか…ますます笑いながら彼女はからかってきた。
「な、何すんだよ! ビックリするだろ!?」
「ほうほう…顔を赤くしおって…初な奴め♪
何なら…痛みを忘れるほどの、もっと凄い事をしてあげても良いんじゃよ?」
「やめろ色欲魔女! 俺はこんな理由で一線越える様なやっすい男じゃねぇわ! 雰囲気もクソもねぇな!?
てかあんたいい加減その欲望加減どうにかしろよな!」
「何じゃつれないの…ほら、もう外も暗いし誰も来ないじゃろ?
ちょっと! ちょっとだけってダメかの!?」
「ちょっとおやつ摘まむ見たいな感覚で何言ってんだアンタァァッッ!!
完全にアブねぇ犯罪者の片鱗見せてんじゃねぇか! このエロババア!」
「えーーっ…ほらお主今逃げかた結構イカっぽかったし…その三本目の足ももっとイカっぽく…弾力性あるし焼き物のおやつって事で?」
「俺の大事なおイカ様はいい味が出る…ってやかましいわ!! ゲソと違うわ!!」
相変わらずこのババアはどうやらその姿に悶々としているみたいだ。何とかならねぇのかその生物欲求の塊。400年の欲求とか考えたら怖いわ。
と、下らない話をしているうちに…彼女がサラッと言った通り外はいつの間にか大分暗くなっていた。
あの空間に居ると時間感覚が麻痺するみたいだ…短い時間だと思ったが、相当経っていたらしい。
急いで戻らないと…きっとフィオラやレン達が俺を探しているかも知れない。
そうアリストロメリアに伝えると…やっと真面目に答えた彼女が、再び指輪の力を使い…レンの店へと転移させてくれたのであった。
※※※
「レンさん! リュウノスケさんは何処へ行ったのでしょうか…? そちらには居ましたか?」
「いえ…あのお客様と一緒に話しているのは見ましたが…気付いたら居なくなってまして…何処に行ったのやら…。フィオラさんの方も…居ませんよね。」
夕方の空、暁の夕日が照らし、町の人々は次々と店を畳んでいる中…フィオラとレンは消えた竜之介と一緒に居た常連客を探していた。
フィオラが買い物を終え店に戻った時には…既に彼等の姿は無かった。
時間も遅くなり、探索を打ち切る事を決めた二人は、一旦店の方へと戻ることにした。
「一体何処へ行ったんでしょう…まさか変なことに巻き込まれてないですよね…?」
「レンさん! 不安になるので言わないでくださいー!」
「ご、ごめんなさい!」
半泣き状態になりながらも…二人が渋々店の扉に手を掛ける……するとフィオラはふと、ある匂いがしている事に気付いた。
彼女が知っている花…とある品種の『バラ』の匂いがしたのだ。
「…? この匂い…『スノーローズ』の匂い…どうして?」
「フィオラさん…?」
その甘く、心を落ち着けるような香りはどうやら店の中から匂うらしい。
不思議に思った彼女達は、何かを感じたのか…一気に扉を開いた。
そして駆け足で店へと入ると…そこにはそれまで消えたと思っていた少年…そして、見知らぬ女性が立っていたのであった。
「りゅ、リュウノスケさん!!」
「ん? おう! やっぱり探し回ってたか…悪かったな、心配かけ…ってうおっ!?」
竜之介がそう言い切る前に、フィオラは走りだし…手に持っていた購入物の入った袋を投げ捨て…竜之介の胸へと飛び込んだ。
驚いたものの、竜之介はダイブしてきたその華奢な身体を、しっかりと受け止め…その彼女の行動の意味に…少し反省していた。
彼の腕に抱かれる彼女は、上目遣いにその瞳を見た。
ブラウンで、何処と無く光を絶やさない真っ直ぐな彼の瞳に訴えるように…彼女は言った。
「心配したんですよ! 何処を探しても居なくて…もしかしたら悪いことでも起きたのかと思って!
最近…特にそう言う人達が増えてきてるって聞きましたし…それで…。」
「わ、分かった分かった…すまんな、やっぱりかなり心配掛けてしまったらしい。
悪かったなフィオラ…。」
今にも目から一粒涙が溢れそうになっている彼女の顔を見て、微笑みながら答えた。
今から彼女に…もっと酷いことを言ってしまうかも知れないと言うのに…その顔を見て、竜之介はまた心の何処かで揺らぐ気持ちを、抑えていた。
何とか再会を果たしたものの…一度冷静に物事を運び直す必要があると思った竜之介は、取り敢えずまたこの店の客間を借り…話をすることにした。
「えっと…リュウノスケさん…この綺麗な女の人は…?」
「あ、ああ…そうだったな。
この人の話もしなきゃいけないんだったな。
レン! また少し客間借りていいか?」
「はい! どうぞお使いください!」
それにこのババア…じゃなくて、アリストロメリアの事も彼女には知ってもらっても損は無いだろうしな。
「まあ綺麗だなんて…口の上手い娘じゃ。
流石はあやつの娘じゃな…ふむ、良くみるのは初めてじゃが、やはり似ておるの。」
「へっ? 私…?」
「あーフィオラ、それも後で話すから。」
「しかし初のぉ…我もそうやって熱く抱き締めてもいいんじゃぞ竜之介!」
「大事な話するんだから一旦黙れやセクハラ魔女。」
「ふふ…何だかそう言われるとゾクゾクするのじゃが…何でかの? あはぁっ癖になりそう…。」
「ドMじゃあねぇか!! ちょっと育成に悪いからやっぱり向こう行ってくれ!!」
はあ……。
人の運命を決める話をすると言うのに…魔女の考えることは分からないものだ。
400年って言う歳月は…こうも雰囲気壊すような人柄を作るのだろうか。
冷静に考えても取り敢えず我慢ならなかった俺は、アリストロメリアに飛びきりのドロップキックを喰らわせておいたのであった。




