女心
ご閲覧ありがとうございます。
今回短めですーごめんなさいね!
ジャックとレンに連れられ…竜之介とフィオラは町の中枢部までやって来た。
周りにはいつも出歩く町の風景とは違い、何処か厳かな雰囲気を漂わせた建造物がたくさんだ。
ここは王門通り前商店通路。どうやら、ここに彼等の店を建てたと言うのだから驚きだ。
最初はこの通りで強行的に活動しようとか言ってた奴等が…まあ今度は正攻法で活動し始めたわけだ。
その成長は嬉しく思うし、何せ彼等にはそんな事してほしくは無いものだからだと竜之介は思っていた。
どうも場違いな雰囲気の中、恐る恐るその通路の端を歩く竜之介達は、中枢部に入って10分程でその場所へとついた。
「こちらですよ、ささっ! どうぞ!」
「お、おう。」
「何だか凄く綺麗なお店ですね…。」
「そりゃあ新築って奴ですからね。」
外観はとても綺麗で悪くない。パリにでも建ってそうな豪華な建物だ。
綺麗に彫刻された柱やステンドグラスによって、更にその美しさを引き立てていた。
レン達に誘われ、中へと入ると…そこにはまたまたお洒落に装飾されたランプや道具で一杯だった。
客人用に座るスペースも用意されているし、何せ清潔だ。
タイル一辺一辺もしっかり手入れがされていて、お店…と言う分には文句なしの合格点だ。
問題は…『何をしている店』かだが。
「ここが…滅茶苦茶綺麗だな! 良い感じだぜ!」
「うわぁ…! えっと…ここは何のお店をしているんですか?」
綺麗な店内を眺めながら、レン達に聞くと、その言葉を待ってたかの様に、レンがポケットからある物を取り出した。
それはこの前、フィオラが彼等の成長を見越して授けたあの道具…錬金箱だった。
「え…じゃあこの店って…?」
「そうです! わたし達はお客様の望む薬や道具を錬成したり、色んな道具を直したりする仕事…つまり『錬成鍜冶屋』を営んでいるんです!」
「因みに、鍛冶屋って言ってるからな。勿論武器や刃物、鈍器や身を守る道具も作ったりしてるんだぜ。」
「すげぇなお前ら!? たったの一ヶ月位だろ!? 成長早すぎない!?」
彼等が営んでいたのは『錬成鍜冶屋』と呼ばれる、便利な修理屋さん見たいなものであった。
錬金術の特性を活かし、尚且つ効率的で…最も馴染みやすい選択を、彼等は的確に選んでいた。
チームワークや情報力…それに適応力や忍耐力。どれを取っても彼等は最高のレベルと言っても過言ではない…仕事をする上で完璧な人材だ。
この店の仕上がりも…頷けるだろう。
彼等の売っている道具などは、最初こそウケなかったが…次第に馴染み、今では常連何かも居るらしい。
売り上げもそこそこで、そのお陰か、『協会』としての活動もかなり順調なようだ。
と、彼等の活躍に感心していると…隣でその話を聞いていたフィオラが、何とも言えない…困ったような表情をしていた。
「どうした? 何か気になることでもあったかフィオラ?」
「き、気になるも何も…最近私の作るお薬やお花の売り上げが落ちているんですけど…こう言う事だったんですか…がーん…。」
「あー…そう言えばフィオラも一応薬とか花の商売してたな…特に花か。
町でも結構見かける花はフィオラが作った花ってのは分かってたが…いやまさか売り上げを奪われてたとはな。」
「一応とは何ですか! うう…私の弟子と呼べる方々に先を越されてしまうとは…。」
「はは…何にも言えねぇや…。」
弟子に越えられると言うのは嬉しいことだとは思うのだが…こうも早くて差が付くと、複雑な気持ちになるのは分からないでもなかった。
「だ、大丈夫ですよ! まだ錬成の方はフィオラさんの方が格段に上ですし…。」
「そ、そうですよね! そんな簡単に越えられると訳は無いですもんね! うん、まだ行けるよ私!」
「フィオラ、それ滅茶苦茶後で悲しくなるからやめとけ。」
そんなこんなで彼等が開いた店にお邪魔していた所、店のドアが開き、二人の見知った顔が現れた。
大量の買い物を手に抱えながら、仲良く入ってくる二人は…カインとクウォーラだ。
「ただいまー!」
「結構素材買えたよジャック!」
「おー! 二人ともお帰り! 今リュウノスケとフィオラさんが来てるぞ!」
久しぶりの再会に、俺達は彼等と色々な話をした。
この店が出来るまでの事や、それからの事。
詳しい活動や、それに対する反感も減ってきたと言うことも聞けた。
どうやら、かなりこの町に『錬金術』と言うものが浸透してきているのは確かだ。
それも彼等のお陰…彼等と出会って良かったと、心から俺は思った。
これで、フィオラも町の人間の目を気にせず色々出来るなと、本人に言うと…フィオラも気にしていた様で、とても嬉しそうに笑っていた。
彼等もそれを知って、活動を始めて良かったと今更ながらに改めて喜んでいた。
「いやー、俺ももっと手伝おうと思ったんだけどなー。」
「リュウノスケさんはわたし達にかけがえの無い物をくれましたし…それだけでも十分ですよ。」
「そうか? まあそう言ってくれると助かるな。」
彼等が前回、共鳴で得た記憶の共有は…更に絆を深めただけでなく、お互いの気持ちを得ることになったのは言うまでもない。
それだけでも十分な手伝いが出来ていると…レンは言っていた。
所で…実は俺もレンについて気になっていた事がひとつあった。
彼等との共鳴で、俺は彼等の記憶を得た。
つまり、彼等の秘密や何かも…意図せずに得てしまった。
思いきって…目の前で俺を見つめるレンに対して、その質問をしてみた。
「なあ、レン…ちょっと聞きたいんだけど。」
「…? 何でしょう! わたしに答えられる事なら何でも答えますよ!」
「そ、そうか…実はな、あんたらの記憶や経験を得た時…レンの記憶に何だか違和感を感じてな。
その…何だ、聞きたいんだけどさ…。」
しどろもどろしながら…改めてその原因の記憶を呼び戻す。
幼少期から、少年期に掛けてのレンの姿。
今目の前に居るのは、可愛らしいスカートに、帽子を被っている『女の子の姿』だ。
しかし…その幼少期から少年期の記憶に映っているのは…可愛らしい顔立ちだが、ショートヘアーで半ズボンにTシャツと言った…どうみても『男の子』の姿だった。
「あのレン…もしかしてだけどさ…レンって…さ。
『男の娘』だったり…する?」
「「「ぶふーーーーっ!!!!」」」
「うおっ!?」
俺がそう言った瞬間…ジャック、カイン、クウォーラの三人は、休憩がてらに飲んでいた飲み物を一斉に吹き出した。
驚いたが…どうやら彼等も何か知っている様だ。
レンも、それを聞いた瞬間に…少しもじもじしながら恥ずかしがる様子を見せていた。
やはり…図星か。
すると彼女…いや、彼の口からその真実が告げられた。
「ご、ごめんなさい! 騙すつもりは無かったんですが…実は情報屋をしていると追われることが多くて…ある日お父さんの提案で女の子に変装したのですが、それがなんと言うか…癖になってしまいまして…えへへ。」
「それで身も心も女の子になっちまった…って訳か…まあ何と言う素晴らし…驚いた事だ。」
リアル男の娘何て…驚いたが、実際見ると本当に可愛いし正直美少女だ。
これでナニが付いてるとは思えねぇ…いや寧ろそれはそれで…って何考えてるんだ俺は。
「ま、まあ可愛いしそう言うことなら良いんだよ。すまなかったな、詮索する様なことして。」
「い、いえ! こちらこそごめんなさい!
その…わたし…リュウノスケさんの事好きなので…嫌いにはならないで欲しい…です。」
「おう! 俺もレンは好きだぜ。
見た目なんて関係ないしな! 要は心よ。」
「……そう言う好きじゃ無いんですけど……。」
「ん? レン?」
「い、いえ! 何でも!」
竜之介は、レンの秘密を打ち明けて貰い…少し戸惑いながらも改めてお互いを受け入れた。
彼等も、その竜之介の発言に危惧を抱いていたが…心の広い彼に、その心配は必要なかったようだった。
皆で笑いあいながら、また世間話を始めようとしたところで…一人、それに驚愕している子が居るのを、竜之介は気付いた。
「………あのー、フィオラさん? おーい…?」
「私より若くて可愛いレンさんが…男の子…私より可愛くて錬金術が上手いレンさんは男の子で……あれ? あれ?」
「戻ってくるんだフィオラ、現実は非情だ…。
大丈夫だ、フィオラも十分可愛いぞ。」
「ふぇええん! 私! 現実恨みますー!」
何と言うことか…本物の女の子よりも女の子らしいと感じたのか、そんなレンに対して…フィオラは苦悶の声をあげていたのであった。
フィオラも十分美少女だと思うのだが…やはり、女心は難しいものだ。




