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馴染みあるあの機械

ご閲覧ありがとうございます!

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「フィオラー! 出来たかー?」


「出来ましたよー!」


 あれから暫くして、何事もなく竜之介達は日々を過ごしていた。

 度々色々な話や噂をレンから手紙や何かで受け取ったり、ミッシェルが遊びに来たりと、毎日退屈しない。


 そんなある日、日差しが照りつける昼間っから汗を流しながら、竜之介は外で何かを作っていた。

 自分の世界から持ち出した工具を駆使し…フィオラに作って貰った"部品"を受けとると、それをそれまでに作っていた物に組み込んでいく。


 ハンマーを振るい、ドリルでネジを締め…更にそれに組み込まれた『機械』を、設定したり繋いだり…かなりの大きさの物だ。


 かれこれ竜之介は2,3時間は作業を続けている。


 フィオラやリベルさんは、そんな彼の為に飲み物を用意し…それを受け取った竜之介は一息つくことにしたのだった。


「はい♪ リュウノスケさんもどうぞ!」


「おっ、サンキュー…ふぅ。」


 ドリンクを逸機に飲み干したリュウノスケは、風に揺られる草の上であぐらをかきながら、目の前で作ろうとしている物を見て、よしっ、と頷いた。


 長方形で三段に分かれた特徴的なフォルム…人一人位の大きさの箱。

 後ろにはケーブルが繋がれ、それはこれを作る前に作っていたとある物に繋がれていた。


 フィオラはそれを見て、改めて彼が作っている物の事を聞くことにした。


「リュウノスケさん、あの後ろの黒い物と…この今作っているのは何でしょうか?」


「うん? これか?

 そうだな…まあ一言で言えば『機械』って言えば良いか?」


「これが…機械ですか?

 リュウノスケさんの持っている物より大分大きい見たいですけど…?」


「そりゃそうだ、機械って言っても色んな大きさがあるのは当たり前だ。

 何ならフィオラの家ぐらいの大きさの機械だって…俺の世界には、『東京』にはあったぜ?」


「ええ!? そんなに大きいんですか……リュウノスケさんは、その大きさの機械も作れるんですか!?」


「いや流石にそれは無理だ。

 でもまあ…これぐらいの大きさなら、大丈夫だけどな。」


 竜之介は立ち上がると、その灰色で大きな長方形の箱を叩いて言った。


 そして再び竜之介はその箱に手を加える。


 留まってない部品はないか、外れている箇所はないか、ちゃんと起動するか…等々、最終段階まで一気に行った。


 無事に完成したのを確認すると…彼はそれを一思いに持とうとした。

 だが…人の重さの倍はあるであろうその機械を持つには…少々彼の力は足りなかった。


「せー…のっ! ふんぬぅーー!!

ぬぅうう…ぶはっ! おっっっも!!」


「えーと…大丈夫ですか?」


「いや大丈夫じゃねぇわこれ、重く作りすぎたわ…あそこの回路切っとけば良かったなこれ…。」


 どうやら、重すぎて持てないようだ。

かといってフィオラに手伝わせるには少し荷が重い…正に言葉通りだ。寒いわ。


 竜之介はこの機械を家の中に運びたいらしいのだが…どうもそうは行かなくなってしまい、途方にくれていた。


 と、その時だった。

家の方へと向かってくる二人の人影が見え、その二人は手を振って叫んでいたのであった。



「ん…? あいつらは…?」



「おーーい! 少年、遊びに来たぞー!」


「リュウノスケさーーん!」


「あれっ!? ジャックとレンじゃねぇか!

何しに…いや待てよ…。

おーい! ちょっと手伝ってくれねぇか?」


「「???」」


※※※



 ジャックの手を借りた竜之介は、無事に家の中へとその大きな機械を運びいれた。

 丁度、調理場の隅がいいスペースになっていて、その場所へとピッタリはまったのであった。


 置き終わると、あまりの重さに手をブンブンと振りながら重さによる痛みを払っていた。


「助かったー! サンキュージャック!」


「良いってことよ…痛てて。

しかし重いなこれ…何だこの箱?」


「これか? そうだな…ついでだからレンとジャックも見ていくか?」


「はい! 何かは分からないんですが見たいです!」


「よし、決まりだな。ちょっと待っててくれ。」


 竜之介はジャック達とフィオラを調理場に待たせると…急いで家の外へと駆けていった。


 三人顔を見合せて首を傾げていると…その箱を置いた後側…丁度真後ろに当たる場所から彼の声が壁越しに聞こえた。


「良いぞー! 電源付けたから開いてみてくれ!」


「電源…って何だ? レン分かるか?」


「いえ…何の事でしょう?」


「と、取り敢えず開いて見ましょう!」


 フィオラが先陣切ってその箱に付けられた取手に手を掛ける。

 力を出来るだけ込めて握ったそれを…思い切り引っ張った彼女は…いや、彼女達は驚いた。


 その箱を開いた瞬間、何もしていないのに中から凄い冷気が出てきたのだ。


 それに驚いた彼女達は、拍子に転(こ)けてしまったのだった。


「痛っ! レン踏んでるって、踏んでる!」


「あわわ! ごめんなさいジャック!」


「こ、これは魔法……? いえ…そんな魔力は何処にも感じない…?」



「それはな…『冷蔵庫』だ。

 俺の世界では誰しも家に置いてる必需品って奴でな。驚いたか?」


「リュウノスケさん…『冷蔵庫』…ですか?」



 戻ってきた竜之介は、その箱の正式な名前を告げた。

 そう、彼の居た世界ならば誰しもが使うあの機械…冷蔵庫だ。


 彼は、ここに来たときから気になっていたのだ…食材の保存に関して。


 彼が見たのは棚に直接氷などと一緒に保冷する方法だったのだが…それではやはり鮮度や品質に悪影響を隠せない。


 実際、彼は数日前に買った食材が翌日に腐っていた事を受け…この冷蔵庫を作ることを決めたのであった。


「どうだ? 魔法じゃねぇぞ。

 これなら食材も腐らねぇし、生活にも余裕が出る筈だ。


 外にケーブルで繋いだのはさっき作った『電源コア』…この世界(ここ)には電気は通ってないからな…擬似的なソーラーシステムで電気を通してみた。


 因みに冷凍、保湿も出来るから…魔法でいちいちやる事はしなくていいぜ。」


「そーらー…何だっけ? 良くわからないが凄いものなんだなこれ…。」


「冷たい…魔力も必要ないのにこれは…。」


「凄いですリュウノスケさん! あっ、早速リベルさん呼んできますね!」


「おう、頼んだぜ。

 これで…リベルさんもある程度楽が出来るだろ。今度はIHと…そうだ、暗いから電球かライトでも作るか!」



 これは元々リベルさんの為に作っていた。


 魔力を使っての家事や何かは、やはり身体にある程度負担もあるようで…肩凝りや目眩といった症状も見られるみたいだ。


 この前もテーブルに座って頭を抱える場面を見た…このままキッチン面だけでも揃えれば、疲れる事は少なくなるだろう。


 そしてフィオラはリベルさんを引っ張ってくると…完成した冷蔵庫を開くように言った。


 冷蔵庫を開いたリベルさんは、彼女達と同様に、まあ! と驚いていた。

使い方は…まあリベルさんの"心眼のモノクル"があれば分かるだろう。


 そこで、竜之介は先程の事について提案をすることに。


「リベルさん、こんな感じでこの家に機械を取り入れようと思うんだけど…どうかな?

魔法と違って疲れないし、利便性も高い筈だけど。」


「そうですね…こんな道具があるのであれば、私も…まあ楽をしたいと言うわけではありませんが…欲しいかも知れませんね、うふふ。」


「うふふ…リベルさんも素直じゃないですね? 内心喜んでるのでは無いんですか?」


「…お嬢様、年上をからかうものじゃありませんよ…。」


「はは…まあまあ。」


 そんな事を言いながらも、どうやらフィオラの言葉は図星の様だ。

 まあ、人間ってのは出来るだけ楽したいのが本心だろう…そんなに隠すような事じゃ無いのにな。


 と、思いながらも、不思議と笑みが溢れているリベルさんの表情を見て…竜之介は機械製作を続けることを決めた。



「さて! そうと決まれば次…と言いたい所だが、その前に…。


 レン、ジャック。お前らの用事があるよな?」


 竜之介は一段落ついたところで、客人として来た彼等の用事を聞いた。ただ遊びに来たって訳では無い筈。


 そう彼が聞くと、お互いに顔を合わせた彼らは…元気そうな笑顔で竜之介達にとある報告をしたのであった。



「実はですね…我々"錬金術協会"はですね!」


「『王門通り前』に店を開いたんだ!!」

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