彼等の挑戦
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オイラも錬金術使えないですかねぇ…皆さんは錬金術使えたら何作るんでしょうか?
「すまなかったな、この前は怒鳴ったりして。
あんた達にはあんた達の考えや価値観があったってのに…余所者が口を出すことじゃ無かったかも知れねぇな…本当にすまん。」
「いえ!リュウノスケさんは正しかったです!
こうしてまたみんな…新しい気持ちで錬金術を知ろうとした切っ掛けになったのはリュウノスケさんのお陰ですから…。」
竜之介はこの前の一件の事を改めて彼等に謝罪した。
勿論彼等も、竜之介の言った通りに考えを改め…ようやくまともな人としての気持ちを持つことが出来るようになっていた。
それも踏まえ、お互いに非を認め、再び再会を果たしたのであった。
すると、竜之介が謝罪するのを見届けたフィオラは、満面の笑みを浮かべながら前に躍り出た。
「うんうん!やっぱり喧嘩は良くないですよね!
竜之介さんもちゃんと反省してますよね?ね?」
「お、おう…分かってるって…。」
「それでこそリュウノスケさんです…さて。
本題に入ろうと思うんですけど…いいですか?」
「えっ、もうちょっと話を…。」
「ダメです。」
「じゃあ良いかどうか聞くなよ!全く…。」
「あのー?フィオラさん…リュウノスケさん…何の話でしょうか?」
竜之介とフィオラが、一方的に何か話を進めているようで、それが気になったレンは話に割って入ってきた。
すると、竜之介達はにまーっと…どうも胡散臭い笑顔を浮かべると、レン達四人にずいずいと近寄り…そしてガシッと肩を掴んだ。
「ヒッ!?り、リュウノスケ…さん?」
「大丈夫だ君たち…今からちょーーーーーっと特別授業を受けて貰おうと思ってねぇ…なあフィオラ?」
「そうですそうですー、リュウノスケさんから話は聞きました…すこーーーーーしだけ『錬金術』と言うものを簡単に理解して頂こうと思いまして……大丈夫…怖がる事はありませんよ…うふふ…うふふふ…。」
「あわわわ…はわわわ!!」
「俺達…どうなるんだ?」
「聞くなよジャック!…でも俺達どうなるんだ?」
「聞かないでよカイン…でも私達どうなるの…。」
「聞くなよクウォーラ…ってこれじゃ埒が空かないぞ…。」
突然現れたと思ったら特別授業とやらを行うと言い出した二人…不安を感じずには居られない"錬金術協会"の彼等は…その不気味な笑顔の前に、従うしかなかったのだった。
※※※
「さあ皆さん!ここが私の家です!
錬金術の実験室は中にありますので案内いたしますね♪」
俺は言われるがまま、彼等を連れて自分の家に帰宅した。
フィオラも笑みを絶やす事なく彼等を招き入れた。
レンがちらりと不安そうにこちらを見るが…俺は何とも言えない苦笑いを浮かべるしかなかった。
何をされるのか分からないが…彼等は何だか嫌な予感を感じずには居られなかった。
彼女に連れられ…その実験室に入った所で…彼女から今回呼んだ目的が告げられたのであった。
「では!先ずこれが今回使う錬金箱です!」
笑顔のまま、彼女が部屋の中央を指差す…そこには普段彼女が使っている小さな物とは比べ物にならない大きさの箱…錬金箱が置いてあった。
神秘的な青い光を放ちながら、その存在感を表している神の遺物…その本物を目の当たりにした彼等は、目を丸くして驚いていた。
「これ…!本物の…錬金術の道具…。」
「ジャック、レン、クウォーラ!見ろよ!本当に光ってるぜ…。」
「本当ね!不思議な力を感じるわ…もしかして…今ここで錬金術を…?」
「えっ!?フィオラさんもしかして…わたし達に錬金術を見せてくれるのですか?」
レン達がそう聞くと、うーんと考えたフィオラは…ふるふると首を横に振った。
違うのかと思ったが…そうじゃない、彼女が告げたのは…ただ見せる訳と言うことでは無かった。
「見せる…ではなくて、今回この箱を…錬金術を、貴方達に使って貰おうと思いまして…。」
彼女のその言葉に、彼等は声を出して驚いたのは言うまでもない。
そう、彼等を呼んだのは…"この錬金箱を彼等に使わせる為"であった。
「えっ!?これを…俺達が使う?」
「どういう事だ!?」
「これって…錬金術の道具…よね?どうみても…。
それを…私達が使う…?」
ジャック達は、彼女の言葉にかなり困惑している様子だった。
無理もない…急に連れてこられたと思ったら、要するに彼女は…彼等に"錬金術をさせる"と言っているのだから。
たまらずレンがフィオラに何故急に錬金術を…と聞いたところ、彼女は笑顔でその質問に答えた。
「あの…錬金術をわたし達に使わせるって事…ですよね?
その…急にどうして…?
そもそもわたし達初対面ですし…それに…。」
「えっ?でも…貴方達は"錬金術協会"何ですよね?だったら本当の錬金術…知りたいんじゃ無いんですか?
本ではなく…資料でもない…本当の錬金術を。」
フィオラがそう言うと、不安がっていた彼等は目を合わせ…首を縦に振った。
当たり前だ、だって彼等が掲げているのは"錬金術"…知りたくない訳がない。
その姿を見て…俺はふっと笑うと、フィオラと目を合わせて頷き…彼等に言った。
「決まりだな。
本当に錬金術を知りたいって気持ちに嘘は無さそうだしな…。何だかんだ…俺もこの箱を使うのを見るのは初めてだな。」
俺は、実は彼等の元へ向かう前…フィオラとこの計画の内容を話していた。
彼等の気持ちが本当ならば…試してみる価値があると、彼女が提案したことだったのだ。
※※※
時間は少し遡る。
俺がその彼女の提案を聞いたときだ。
彼女は片付けと支度を済ませると、俺を実験室に呼び…とある話をした。
「…あいつらに錬金術を教えるだって!?」
「はい!そうすれば、きっと間違った概念を持つことも無くなりますし…それに、本当に錬金術を知りたいと思ってくれているなら…私も嬉しいですから…。」
「いやだからってな…そんな簡単に教えていいのか?
それに…錬金術ってのはそんな直ぐに出来るようになるわけじゃないだろ?」
そう、彼女は彼等に錬金術を教えると言い出した。
しかし、俺の懸念を拭い去る様に彼女が示したのは…目の前にあるこの大きい錬金箱。
彼女が言うには、あの小さな物とは箱より時間は掛かるが…誰でも力の使い方さえ分かれば、こちらの箱で錬金術が可能だと言う事だ。
使ったところを見たことは無いが、彼女が小さい頃はこちらで練習していたみたいだ。
因みにそれだけでなく、あの小さな箱と違い、比較的大きなものを錬成する為にも用いられるらしい。
「とは言え…本当に良いのか?
もしも考えが変わってなかったら…。」
俺が彼等に言った考えの改め…もしもそれが変わってなかったら、フィオラのその好意は…無駄になってしまうかもしれない。
そう言うと、彼女は腰に手を当て…自信満々に答えた。
「大丈夫ですよ!だって…リュウノスケさんの言葉が届かないわけ無いじゃないですか!
だってリュウノスケさんは…完璧な人じゃないですか?
ただでさえ周りより変人で頭が良い?ュウノスケさんの言葉…少なくとも私なら絶対に心に響いてると思いますよ!」
「おいフィオラ、それ貶してるのか褒めてるのかわかんねぇぞ。」
彼女はそう言うと、歪みない笑顔で見つめてきた。
俺は、はあ…とため息を付いたが、彼女がそこまで強情に言い張るなら仕方がない。
俺の言葉が彼等に影響を与えてくれてれば良いんだけど…。
※※※
どうやら、彼女の言う通り…懸念は必要なかったみたいだ。
全く持って彼女の方が俺の事を理解していると言うのは度しがたい…そう言う急に強情だったりするところがフィオラの魅力なのかも知れないな。
「では!簡単な錬金術を私自ら教えようと思います!
かなり難しいですけど…きっと出来ます!
リュウノスケさんはサポートをお願いしますね!」
「あいよ、サポート位朝飯前だ。
…頑張れよ…ジャック、カイン、クウォーラ。それから…レン。
お前達の錬金術への思いが確かなら、きっとやれるはずだ。」
「少年……。」
「俺らの名前を…。」
「あんた…。」
「はい…!
頂いた貴重な機会…絶対に無駄にはしません!」
こうして、彼等に錬金術を教えることとなり…早速俺達は彼等に錬金術の試用方法と記録の説明…そしてどういう力なのかをまず丁寧に説明した。
俺は彼等のサポート…記録の整理や道具の調達等を手伝った。
幸い、使う道具は既に揃っていたので、持ってくるだけで済んだのだが、問題は記録の方だった。
「フィオラ、道具は揃ったが…何を作らせるんだ?」
「それがですね…今回つくって貰うのはとある花何ですけど…見てください。」
俺は、彼女から受け取った記録を見ると…そこには俺が彼女に買ってきた『キラメキ』を利用したとある花の記録だったのだが…少々誤算が生じていた。
素材は足りる、時間も申し分ない。
正に初心者が作るには最適な花だ…しかし。
その記録には、その完成形である花の姿が描かれては居るが、それを実際に具現かするのに問題があった。
つまり、イメージの力…それ次第と言うのが気掛かりだった。
「…成る程、これだと完成形の姿は作るコイツら次第って訳か…何か問題があるのか?」
「うーん…それなんですけど、その形で間違いないけど…その姿にどんな印象だとか、どんな臭いだとか…そう言うのが無いと…成功しないかも知れないんですよね。
多分リュウノスケさんなら分かってくれるとは思いますが…彼等には少し難しかったかもと思いまして…。」
「……あー成る程な。
俺は辛うじてフィオラの経験や記憶が一部"共鳴"してるから、こう言うシンプルなのはほぼ考えることが同じになるわけだ…そうだろ?。」
「そうです!リュウノスケさんは"共鳴"の経験があるから良いのですが…。」
実は、この目の前の記録に描かれている花…これは『ピカピ花』と言って、水を与えると発光し、甘い蜜を出すと言う花であった。
何故わかるかと言うと…これ、過去に彼女が作ったことのある花だった。
俺はあの一件の際、"共鳴"で得た彼女の記憶の中に、この花の存在を"思い出した為"に分かったのだが…簡単に見えて結構複雑かもしれない。
湖で咲かせた花、『活生花』の記録を作った時でさえ、案外色々イメージして出来た物だったし…。
記録作成者ではない彼等が成功する確率は、完全に彼等のイメージ力次第で変化してしまうと言う状態だった。
「困ったな…これならコイツらに記録その物から作らせるべきだったんじゃないか?」
「ですね…でも今から素材集めは…少し厳しそうですね。」
外はお昼前、今から素材を集めて錬成となると、時間的にも難しいのが現実だった。
俺とフィオラがそう悩んで居ると…レンが突然記録を俺の手から取り、真剣な表情で見つめ始めた。
後ろに居た三人も同じく、真剣にそれを見て考えている様だった。
「お、おい…ちょっとそれはあんた達には難しいかもしれないぞ。
ちょっと待っててくれ…今フィオラと俺で新しい記録を…。」
そう言い、フィオラと一緒に急いで別の記録作りを始めようとしたところで、彼等はそれを止めた。
「大丈夫です!わたし達ならできます!」
「レン…それはフィオラが考えた物だ、それと同じ事がイメージ出来るのは難しいかもしれないぞ?
基礎的な知識が有れば多少同じにはなると思うけど…無理じゃないか?」
「「いや、出来ます!やって見せます!」」
俺がそう言うと、彼等は何故か自信満々に出来ると声を揃えて言った。
すると、それを見たフィオラが俺を止め、頷いた。
何も彼女は言わなかったが…多分それでもやる時言い張る彼等のその心意気を潰したくは無かったのかも知れない。
難しいと言っても、構造は簡単だ。
多分俺がフィオラの記憶を貰ってなくても、これぐらいなら思い付くことが出来ただろう。
と、言ってもまあ…俺自身実際錬金術をしたことは無いから、虚勢に終わるかも知れないけどな。
だが、イメージは出来るレベルだ…それが彼等に出来るか…それが見物だ。
フィオラはそんな彼等に、それを考える前の…この箱の使い方だけ教えることに。
「皆さん!取り敢えずそれは置いておいて…先ずはこの錬成する際のコツを教えます!絶対に聞き漏らさないで下さいね♪」
「「はい!フィオラ先生!」」
「いつの間にか先生になってるし…。
だけど…応援してるぜ、お前ら。」
彼等に一通り、力の使い方と集中力を切らさない注意など、簡単な錬成方法を教えたフィオラ先生。
部屋の隅で見守る俺は、そんな小さな先生と大きな生徒の光景を見ながら、心の底で彼等を応援し…傍観していたのだった。
「……俺もついでに教われば良かったな…。」




