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フィオラの企み…?

ご閲覧ありがとうございます!

 特に言うことはありませんが…ブックマーク等をしてくださった方々並びに、アクセスしてくださった方々…本当にありがとうございます(迫真

 あれから一週間程、帰って来た竜之介は町に出ることは無かった。

 フィオラもリベルさんも、彼のその深刻そうな表情に話を聞くことも出来ず、ただ日が過ぎていく。

 ある程度世間話や家事の手伝い…相談や花の世話などは普通にやっているが、どうも腑に落ちない雰囲気だった。


 そんな彼を見るに耐えないと思ったフィオラは、ある日の朝…朝食を取っていた彼に話しかけることにした。


※※※


「リュウノスケさん、おはようございます。」


「ん?おお、おはようフィオラ。

 今日は何だか早いな…やることでもあるのか?」


「はい、前にリュウノスケさんが持ち帰って来てくれた素材で記録(レシピ)を作ろうと……それはそうとして…リュウノスケさん、ちょっといいですか?」


 そう言うと、彼女は俺の隣に座り…何だか眉を寄せた顔を近づけてきた。


 急に顔を近づけてくるもんだから、俺としても少し困惑しながらも、その理由を訪ねる。


「むー……?」


「な、何だ?俺の顔に何か付いてるか?」


「リュウノスケさん……何か隠し事してますね?

はぁ…分かりやすいんですから…もう。」


「……あー…あはは、バレたか…いやまあそうだろうな。」


「ふぅ…やっぱり…。

何があったんですか?…話してくれませんでしょうか…?」


 ずっと気掛かり…と言うよりも半分後悔していたのだ。

 昔から俺は嫌なことや考え事をすると直ぐ顔に出るタイプの人間だったからな…分かってた筈なのに、フィオラには要らぬ心配を掛けていたみたいだ。


 少し前、俺が町で噂を聞いた"錬金術協会"の話…そのリーダーであるレンと偶然出会ったこと。

 そしてレンが追われているのを助け、その協会本部に連れていって貰った物の…その仲間達の考えに腹を立て、出ていってしまった事を彼女に話した。


「あれはこの前の事だ…。」


──────────────────────

 時は(さかのぼ)り、竜之介が最後に小屋を出ていってしまった時だ。

 レンが小屋を飛び出ると、そこにはすたすたと歩く竜之介の姿が。


「ま、待ってください!!」


 レンが叫ぶと、竜之介は立ち止まり…振り向いて顔を見た。

 どうにも腹を立てているのが分かる…それでも、レンの顔をみた瞬間に、それは穏やかな表情へと戻った。


「レン…。」


「あ、あの!何か気に(さわ)る事があったのなら…わたし謝ります!だから…。」


 レンは息を切らしながらも、竜之介が怒った理由について謝ると、頭を何度も下げながら言った。

 その様子に、流石に気が引けた彼は、レンのその行動を止めるように…しゃがみこんで目線を合わせて話した。


「待てレン…君が謝ることじゃ無いんだ。

 それに、君は被害者だ。それを受け止めようとしないあの三人に腹を立てただけなんだ。」


「ですが!彼等もわたしが失敗した事を許して…」


「違うんだレン、そもそも…あの"考えが失敗"なんだよ。

 錬金術は私利私欲(しりしよく)の為に使うものじゃない…彼等の思いに"他人の為"と言う根本が無かったから怒ったんだ。


 別に君のせいじゃない…君はただ魅力に取り付かれた被害者だからな…。

 もし、もしも彼等が考えを改めるなら……俺は力を貸したいと思ってる。


 まだ未熟故(みじゅくゆえ)の浅はかな信仰なんてよくある話だからな…時間が必要だと思うんだ。」


「リュウノスケさん…あの!」


「……また来る。」


 レンが止めようとしたが、彼はそう言うと、もう振り返る事なく…町の方へと戻るように、消えていってしまった。


──────────────────────

 最後の時の事まで、彼女に…フィオラに詳しく話した。

 話している途中に、心苦しくなる感覚に襲われながらも、包み隠さず全てを打ち明けた。


 彼女は事情を把握すると、少し考えながら…それでも微笑んで俺のその思いを共感してくれた。


「成る程…その人達は錬金術で自分達のしてきたことを拭えると思っていて…それにリュウノスケさんが一喝入れてしまった訳ですね。

 リュウノスケさんが怒るなんて…でもリュウノスケさんならもっと他に方法があったのでは無いのですか?

 最後だってその…レンって子が引き留めてくれたのでしょう?もしかしたら…まだ話さなくてはならないこともあったのでは無いですか?」


 出す言葉も無い、正直もう少し穏便に話をする事も出来ただろう。

 言い訳がましいとは思いつつも、彼女にはその怒声を浴びせてしまった理由を答えた。


「言い訳になっちまうけど、フィオラとほら…東の湖で"共鳴"したときに、君の記憶や過去の経験何かが俺にも流れ込んだだろ?

 その努力を知っちまったからさ…どうしても怠惰(たいだ)なあの考え方を聞くと…フィオラをバカにされてるような気がして…。」


 共鳴で得た記憶から、フィオラがどんな経験を積んで今の錬金術の力に至るかを、俺はあの時知った。


 だから、彼女の苦労を踏みにじるようないい加減な考えを錬金術に持ち込んでは欲しくなかったのだ。


 すると、それを聞いたフィオラは余計に眉をしかめ、膨れっ面になると…俺に注意を浴びせた。


「あのですねリュウノスケさん!その経験は、私が何年も掛けて得た経験…いくら共鳴で私の記憶を得たからと言って、リュウノスケさんが語る資格はありませんよ!ぷんぷん!」


「うぐっ……面目ねぇ…確かにまだここに来て間もない俺が、知り合ったばかりのフィオラの事を語るのは…ちょっと筋が違ったよな…。」


 俺は彼女のその言葉に猛省(もうせい)した。

 当たり前の事だ、知り合って間もない…一応他人の事をまるで知ったように言うのは冒涜(ぼうとく)だ。


 共鳴で得た記憶とは言え、知った気になって少し調子に乗っていたのかも知れないと、そう感じた。

 俺はそう思うと、プンプンと怒る彼女に勢いよく頭を下げ、謝罪を述べた。


「すまんフィオラ!今度からは気を付ける!

 やっぱり、語るならもっとフィオラの事を深く知り合ってからじゃないとな!」


「えっ!?そう言うと事…って、ふ、深く知り合う…。」


「そうだ!もっとフィオラを知りたい…だって同じ夢を抱いた仲だろ?」


「そ、それって…その…私の深い部分をって事ですよね…それはごにょごにょ……。」


「ん?何かおかしなこと言ったか?」


「べ、別に何でもないですよ!」


 フィオラは急にごにょごにょと小さな声で何か言い出したが…何かまた良くないことを言ってしまったのかと思ったのだが…違うみたいだ。

 彼女は何でもないと強く言うと、座っていた椅子から立ち、頬を押さえてウロウロし始めた。


 彼女が何をしているのか分からないが、満更でも無さそうな表情をしているので、取り敢えず許してもらえたようだ。


 すると、はっ!と何かを思い出すかの様に彼女が再び椅子に座り直し、話を続けた。


「そ、それですよ!やっぱり"知ること"が大切じゃ無いんですか?

 ほら!錬金術でも記録(レシピ)を作るときは自分で歩いたり…見たり…聞いたり…それから触ったりして…。

 そうした方が彼等も本当の錬金術と言うものを知るきっかけになるんじゃないですか?


 それに…今のままだとリュウノスケさんもまた情けない顔に戻っちゃうと思いますし…。


そうと決まればやることは一つです!」


「情けない顔って…酷いなぁ、まあ強ち否定は出来ないが…ってあれ?」


 すると、いつの間にか彼女が目の前から消えている。

 よく見渡すと、実験室に入ったようだ…。どこからそんな足の速さが出てきたフィオラさん!?


 彼女は、急に直ぐ側の実験室へと駆け込み…ドタバタと何かし始めた。

 扉を空けっぱなしにして…見に行くと、中からは何やら大量の(ほこり)が出て来て居る…思わず咳き込みながら、彼女に何をしているのか聞いてみることに。


「ゴホッ!ふ、フィオラ!何やってんだ?急に…ゴホッ!埃すげぇんだけど!?」


「ちょっと部屋の整理をしてまーす!」


「はあ!?」


 急に部屋の片付けを始めた彼女は、ものの数分でそれを終わらせ…中を見ると、散乱されていた筈の本や道具がしっかりと整頓されていた。


 フィオラがふうと一息付くと、今度は疾風の如く早さで俺の横を走り抜けると、厨房に居るリベルさんに会いに行った。


 その衝撃でスケートの様に、俺はその場で4回転程してしまい、目を回していた。


「リベルさん!今日お客様を呼ぼうと思ってるんですけど…良いですか!?」


「お、お嬢様?良いですけど…突然どうしたんですか?」


「ちょっとね!うふふ…楽しくなってきたよ!」


「変なお嬢様…でもいつにも増して元気そうですね。」


 リベルさんに、今度は来客に備えるように言うと、またしても俺の横を雷神の如く早さで実験実に戻ってきた。


 今度は逆方向に回転させられ…思わず目が回りすぎて、俺は倒れてしまったのだった。


 すると、彼女は不思議そうな…いや(とぼ)けた表情で俺の事を(かが)んで見下ろすと、満面の笑みを浮かべて言ったのだった。



「リュウノスケさん?床で寝ている暇はありませんよ!ほら!支度して支度して!」


「ふぁ!?はいっ!?支度致します!?」



 見下ろす彼女の、満面のその笑みは…何やら奥で小さな企みを帯びている様にも見えた。

 訳も分からないまま…彼女に引っ張られ…俺は"支度"とやらを始めたのであった。

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