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小さなリーダー

ご閲覧ありがとうございます!

 この話からまた新しい話になります…よろしければ気長にご閲覧くださいまし♪

「ふあ…おはようございます、リベルさん。」


「あらお嬢様…おはようございます。

 随分と疲れて居たみたいですね…もうお昼前ですよ?」


「うっそ!?私そんなに寝てたの!?」


 朝早く…いや、昼早くに起床したフィオラは、どうやら熟睡も熟睡…寧ろ爆睡していたことに気がつき、驚きの声を上げた。


 リベルさんは笑っているが、彼女は時間が勿体ないと嘆いている。


 夜遅くまでどんちゃん騒ぎをしていたのだ、普段の生活リズムから多少外れても仕方のない事…実はリベルさんもさっき起きたばかりと言うのは内緒である。



 リベルさんがお昼前の間食に、小さな団子の様なお菓子を二つ、綺麗な青と赤色をしている。

 それを二人でつまみながら、甘味が口に広がるのを感じ、ゆったりと過ごしていた。


 と、そこでフィオラが周りをキョロキョロと見渡し始めた。


 リベルさんは首を傾げ、その行為の理由を尋ねることに。


「どうしたのですか?お嬢様?」


「リベルさん…リュウノスケさんはまだ起きてきてないの?」


「ああ…それでしたら、私が起きたときには既に居ませんでしたよ?

 もしかしたら…また町の方に出掛けているのかも知れませんね。」


「そうなんですか…朝早くから行くなら私も起こしてくれれば良かったのに…むー…。」


 フィオラは、ちびちびとかじっていた団子を二つ一気に口に頬張ると、不機嫌そうなジャンガリアンハムスターの様にむきゅむきゅ頬を動かしてむすっとした表情で言った。


 リベルさんはその顔にクスッと笑いそうなのを堪えながら…彼女とは裏腹に、その小さな菓子を堪能していたのだった。


※※※



 所変わって、ここは東の大陸の町…昼間の太陽を真下に受け、ぽかぽかとした陽気が人々を動かしていた。

 先日と変わらず、意気揚々と商売に励む人達は、昨夜の出来事などすっかり忘れ…日常の仕事に没頭していた。


 その町で、周りの人間とは一風違う服装をした少年が…改めて町の中を探索していた。


「おっちゃん!何売ってるんだ?」


「おう坊主!もしかして昨日の坊主か?」


「おうよ!天下の竜之介さんですよ!今日も天気が良かったからな…ちょっと寄ってみた。

で、それ何売ってるのさ?」


「これか?これは『キラメキ』って言う木材だ、刺激を与えると光るんだ、ほら、昨日の店の装飾にもあっただろ?」


「あーあれか!へぇ…そう言うのもあるんだなぁ。」


 少年…竜之介は、昨日宴会場で見た…自分の知っている現実には存在しないその物を実際に手に取ると、光輝くその木材に興味を示していた。


 基本的には装飾や補強にしか使われないみたいなのだが、竜之介は別の使い方が無いか…とか考えながらそれを物色していた。


 他にも様々な食材や木材…それに一風変わった道具なんかもあったが、彼はそれをそのまま使うことを考えては居ないようだった。


「中々素材に使えそうなのが多いな…。

何に使おうとしてたのか忘れちまったぜ。」


「ん?坊主、もしかして…錬金術師なのか?」


「いや、俺は錬金術師じゃないぜ。

 ほら、昨日の女の子…フィオラが錬金術師だ。

何か彼女の錬成に使えるものが無いかと思ってな…うーん。」


 竜之介が探しているのはフィオラの使う錬金術の為の素材だった。

 それを知った店のおじさんは、何やらほっと胸を撫で下ろしていた。


 気になった竜之介は、その行動に疑問を抱き、話を聞くと…快(こころよ)く彼は話してくれた。


「何だあのお嬢ちゃんの為か…ビックリした…もしも錬金術師って言うなら跳び跳ねてたかもしれないぞ。」


「ん?どうしてだ?」


「知らないのか?錬金術師って言うのはもう古い存在なんだ。

 あのお嬢ちゃんの事は結構知れ渡ってるが…この東の大陸ではもう、彼女以外の錬金術師は居ないと言われているんだ。」


 おじさんはそう言うと、悲しげにフィオラの家の方へと目を向けた。

 どうやら更に詳しく聞くと、何でも昔大量虐殺があったらしく…その大半が錬金術師だったそうだ。


 錬金術師自体、不満を買うことが多い存在だけに、誰かが荒くれを雇って事件を引き起こしたと言われているみたいだ。


 大陸で一人の錬金術師…彼女が知っているのか分からないが、悩み努力する理由の一辺を垣間見た気がするのだった。


「可哀想だよな…昨日の宴もあのお嬢ちゃんのお陰だっつーのに、まだグチグチ言う輩が多くてな…。」


「…おっちゃんは錬金術師が嫌いじゃないのか?」


「そんなことあるかよ!

 あのお嬢ちゃんの作った薬や植物は、俺達町の人間の病気や食物になってるんだぜ?


 当たり前の様に蔑(さげす)むやつらを見ると…悲しくなるぜ。」


 その言葉に、ほっと胸が暖かくなる気がした竜之介は、おじさんと同じようにフィオラの家のある丘へと目を向けた。


「おっちゃん優しいな…彼女が聞いたら大喜びだろうよ。」


 町の人間の大半は、彼女の事を頼りにしてるし、それどころか錬金術を学びたいとか言い出す人も最近増えているとの事。

 それに、昨日の噂を聞き付けた人が、更に錬金術復活への活動をし始めている様だ。


 一個人の依頼を受けたつもりが…どうやら町の批評にも影響を与えたらしい。

 願ってもない事だ、もしそのリーダーが居るなら…是非ともあってみたいと思う竜之介だった。



 竜之介は素材となりそうなもの…『キラメキ』を一つ購入すると、昨日メテロン料理長に渡されたチップを差し出して支払った。


 帰って来たのは90枚の銀チップ…。

少し話を聞くと、お金には金、銀、銅、白、赤…色々と種類があるらしい。


 それを聞いた竜之介は、購入した素材をリュックにしまい、手を振って商売人のおじさんと別れた。



「『キラメキ』は10セピア…金のチップで払うと銀が90枚帰って来た…って事は銀が1セピアで、金が100セピアって事か…それより下もあるけど、多分別の単位だろうなぁ。」


 そんなことを口ずさみながら、チップをポケットに入れ、町の探索に戻る竜之介。

 その後も幾つかの店を見て回り、気になるものを買いながら、帰ってくる硬貨の種類を調べていた。


──────────────────────


「はぁ…はぁ…。」


「待て! このガキ…止まりやがれ!」


「回り込むぞ!」



 お昼頃になり、お腹の虫が鳴り始めそうな頃…竜之介が小さな路地を歩いていた時だった。


 路地の奥から何やら声が聞こえる。

 二人…いや、三人か? どうやら怒号にも似た声が聞こえ…それは次第に近くなっていく。


「追えッ!!逃がすなー!」


「はぁはぁ…!」


「何だ?……追われてんのか?」


 ふと、その声が聞こえる方を見ると…一人の子供が息を切らしながら走ってくるのが分かった。


 青い帽子にクリーム色をしたジャンパーの様なものを羽織っている。

 下は短いフリルスカートにニーソックスを履いた子だった。


「はぁはぁ…あっ…!」


 うつ向きながら走っていたその子がふと顔をあげると、竜之介と目があった。

 が、そのまま勢い余ってぶつかってしまうのであった。


 ドン!と竜之介の胸にその子の身体がぶつかり、倒れそうになるのを、竜之介が手を引っ張って助けた。


「うおっ!?大丈夫か?」


「きゃっ!…あっ!…あの!…すいません!……。」



 ぶつかったその子は、平謝りするようにペコペコと頭を下げ、こちらの顔色を怯えるように見ていた。


…まるで助けを求めているかの様な目…それを見た竜之介は、何かを感じ…行動を起こした。


「君…ちょっとこっちに…。」


「えっ!?あっ…!えっ?」


「怪しいやつじゃないさ、早く!」


 走ってきたその子を脇に抱えると、人目の多い大通りまで走り、側にあった店の片隅に自分の身体を盾にして、その追っ手と思われる男性二人組からその子を隠したのだった。


 その子を壁に、そのままドン!と壁に手をついてその目から守る。


「ふぇっ!?あ、あの……?」


「シッ……静かにしてろ…。」


 そのまま動かないように…路地から飛び出してきた男達をしっかりと横目で見据えながら、その子を匿(かくま)った。


 荒くれに似た格好…昨日のパーティーに居た奴等と似ている服装だ。


「居たか!?」


「いや…向こうに行ったのかも知れない、絶対に捕まえるぞ!」


 二人はそう言うと、血相変えた表情の他、怒りに似た感情を表に出しながら、明後日の方向へと走り去っていった。


※※※


「……行ったか。」


 それを確認し、ふう…と一息付いた竜之介は、その目の前の子にしている行為に気づき、…慌ててその子を解放した。


「うおっ!?すまん!ついつい壁ドンしちまってたわ!」


「か、かべ…どん?」


「い、いや…何でもない。」


 その子は、スカートに付いた埃をパンパンと払うと、改めて周りを確認し…ほっと息を付くとにこりと笑ってお礼を言った。


「ありがとうございました…どうなることかと思いました…。」


「ああ、何に追われてたか分かんないが…無事でよかったよ。

 全く…こんな可愛い子を追っかけるなんて…相当な変態だなあいつら。」


「か…可愛い!?」


「ん!?あっすまん!つい…な。

どうも美少女を見ると口が…あははは…。」


 ついつい口が紳士の枠を飛び越えて言葉を発してしまったことに反省をしながらも、照れ隠しに笑う竜之介だった。


 だが、その言葉を受けたその子は満更でもない表情で照れているため…余計にやってしまった感を押さえきれないのであった。



 落ち着いた辺りで、改めてその子に何故追われていたのか、良ければ聞かせてほしいと竜之介が頼むと、快くその子は話を始めたのだった。


 が、その子の話と言うのは…正に竜之介がさっき思っていた事の話であった。


「実はわたし…"錬金術協会"を立てようとしてまして…それで…」


「な、何だって!?」


 その言葉に、竜之介はぎょっとした。

 まさかまさかの言葉が、こんな子供から出てくるとは思わなかったからだ。


 "錬金術協会"…この子の話だと、錬金術を普及しようと考える慈善団体みたいなものだと。

 それが正に活動を始め…そのリーダーがなんとこの子だと言うのだ。


 先程のおっちゃんの話と同じだ…偶然って言うのは怖いと思った竜之介は、思わずそのまま強くその子の肩をガシッと掴んで話に食いついた。


「ひゃっ!?え?え?」


「れ、"錬金術協会"だって!?じゃ、じゃあもしかして…町の人が言ってたその活動のリーダーって…?」




「あっはい!そうです…わたしが"錬金術協会"リーダーの……

レン・フリーセクスと申します!これからよろしくお願いしますね♪うふふ♪」

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